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危険な恋人

危険な恋人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンゼイ・アームストロング(Lindsay Armstrong)
 南アフリカ生まれ。現在はニュージーランド生まれの夫と五人の子供たちとともに、オーストラリアで暮らす。オーストラリアのほとんどの州に住んだことがあり、農場経営や馬の調教など、普通では経験できない職業を経てきた。彼女の作品にはその体験が大いに生かされている。

解説

上司の広告代理店役員ブラッドの皮肉と嘲りの混じった声を聞き、ヴェリティはため息をついた。またご機嫌斜めなのだ。彼の部屋に行き、「問題ありません」となだめながら、ヴェリティは心の中で、“問題はあなただけ”と付け加えていた。この6週間、ブラッドがガールフレンドと休暇を楽しんでいた間、彼の仕事のフォローはすべてヴェリティが引き受けていた。感謝されていいはずなのに、なぜ私を貶めるようなことを言うの?もう我慢できないわ。ヴェリティはブラッドに退職すると告げ、部屋を出て行こうとするが、予想外の展開にショックを受ける。ブラッドにいきなり抱き寄せられ、唇を奪われてしまったのだ!

■予想のつかないユニークなストーリーで多くの読者を魅了するリンゼイ・アームストロング。尊大なプレイボーイのボスに振り回される純粋なヒロインの恋を描いた今作は1994年初版の隠れた名作です。

抄録

 ヴェリティはブラッドの目を見つめた。彼はまぶたをなかば閉じて見下ろしている。本気でキスするつもりなのだ。
 ヴェリティは全神経を集中して、理性を保とうとした。「いいえ。それにそのつもりもありませんわ。手を放してください、ミスター・モリス。こんなことをして、ご自分のプライドを傷つけていると思わないんですか?」
 ブラッドは静かに笑い、片手をヴェリティのうなじに滑らせた。「僕はプライドを気にする人間じゃない。君ならよくわかっているはずだ」彼は体を屈め、ヴェリティの恐れていたことを始めた。
 ヴェリティはもがいた。ブラッドの手からは逃れられなかったが、唇はうまく避けた。だがブラッドは顔を上げただけで、ヴェリティがおとなしくなるのを待っていた。
「キスから始めるのは嫌いなようだね。どうするのが好きなんだい? 君の望みに従うよ」
 ヴェリティの呼吸が激しくなった。「あなたが雷に撃たれて倒れるところを見るのが、今の私の望みよ!」
 ブラッドはにこりと笑ったが、すぐ真顔になった。「僕は実行するよ。君は目を閉じてイギリスを夢見ていればいい。僕はそんな遠くに行きたいとは思わないけど……」肩をすくめ、腕の力を少し緩めた。しかし視線はヴェリティに落としたままだった。
 ヴェリティは息をのみ、かすれ声で尋ねた。「なぜ?」再び頬を赤らめて唇を噛んだ。
「なぜだって?」ブラッドは考えながら、長い指をヴェリティの髪に這わせた。「今日、僕たちのあいだに火花のようなものを感じたからだよ、ヴェリティ。君は僕をひと目見るなり、殺すとは言わないまでも、床に叩きつけたくなるような衝動を覚えた。同時に僕は、その報復として君を侮辱したい気持に突き動かされた。僕たちが憎み合う理由なんてないから、過熱状態になったのは、男女間の感情に関係があると思ったんだ。ところで、君は髪を伸ばしたことはあるかい?」
「イエス。でもノーです。私は……」
「どうして切ったんだい? すばらしい色だし、この感触がいいね」
 ヴェリティはなす術もなく目を閉じたが、ブラッドの手が頬に触れたので、思わず身を引いた。
「君のそばかすは、まるで金の粉のようだ。すぐにわかることだけど、体中に散らばっているのかい?」ブラッドの手は顔を離れると、すぐに彼女のジャケットの下に滑り込んだ。「何を言おうとしていたんだい?」
 ヴェリティは目を開け、ブラッドを見すえた。「決して諦めないんですね、ミスター・モリス?」
 ブラッドは眉をひそめた。「そう簡単にはね。ところで、イエスでノーとは?」
「イエスは髪を伸ばしたことがあるという意味で、ノーは、私たちが過熱状態になった理由は男女の問題とはまったく関係がないという意味です。あなたがわがままだからです。自覚すべきですわ」
「たまにね」ヴェリティの瞳が金色に光ったのを見て、ブラッドは続けた。「わかったよ。しばしばだ。だが普段は、衝突せずにうまくいってるじゃないか。どうして今日は違うんだい?」
 ヴェリティは無意識のうちにため息を漏らした。ブラッドにずばりと指摘されてしまったのだ。言い逃れはできない。「今朝、面倒なことを片づけなくてはいけなかったものですから。それで気持が苛立っていたんですわ」
「何があったの?」
「なんでもありません」ブラッドの嘲るような表情を見て、ヴェリティは唇を噛んだ。「プライベートなことです」
「屋根の上から大声で叫んだりしないよ」
「あくまで私個人のことです。そのことが……態度に出ていたのなら、お詫びします。でも、あなたも挑発的でした」
「挑発的」ブラッドは考えながらつぶやいた。
 そのときヴェリティは、ブラッドが無意識に彼女のジャケットの下にある手を背骨に沿って上下に軽く動かしていることに気がついた。不思議にも、気分が落ち着いた。
 ブラッドの唇が歪んだ。「それなら僕も謝るよ。はっきりと態度でね。つまり、仲直りの方法としてこれ以上すばらしい方法はないってことさ!」ブラッドは体を屈めると、ヴェリティの唇に軽くキスした。
 ヴェリティは拒みもしなければ受けいれもしなかった。少しリラックスしていただけだった。だがそれが致命的だったのだ。ヴェリティだけではなく、ブラッドにとっても罠だった。しかし、ブラッドの腕に包まれることを望んでいたかのように、ヴェリティの緊張は少しずつとけていった。長いこと否定しようとしてきたブラッド・モリスに対する愛情が、一挙に溢れ出てきたようだった。
 二人は磁場に捕らわれた感じに見えた。オフィスもビルもドアの外の騒音もすべて消え去り、お互いの存在だけがはっきりしていた。ヴェリティに考えられるのは、彼女の体にぴったり合ったブラッドの体のこと、体に回されたブラッドの腕のこと、背中に当てられたブラッドの手のことだけだった。ヴェリティは期待にうち震え、ブラッドの知性溢れるまなざしに酔っていた。唇は突然甘美なものとなり、胸は痛いほど敏感になった。キスや愛撫を受けないままでは虚しいだけだろう。
 ヴェリティは頬を紅潮させ、突き動かされたように唇を開いた。ブラッドは何かをつぶやき、唇を求めた。
 激しいキスだった。ブラッドはやっと唇を離したが、手はヴェリティの体をさまよい、ジャケットのボタンを外し、彼女を抱き寄せた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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