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いけない口づけ【ハーレクイン・セレクト版】

いけない口づけ【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 レベッカ・ウインターズ(Rebecca Winters)
 アメリカの作家。十七歳のときフランス語を学ぶためスイスの寄宿学校に入り、さまざまな国籍の少女たちと出会った。これが世界を知るきっかけとなる。帰国後大学で、多数の外国語や歴史を学び、フランス語と歴史の教師になった。ユタ州ソルトレイクシティに住み、四人の子供を育てながら執筆活動を開始。これまでに数々の賞を受けたベテラン作家である。

解説

夏休みの間、イタリアの大学に留学しているガービーは、唯一親しくなった苦学生の友人から自宅のディナーに招かれた。じつは彼は公爵家の後継ぎで、ガービーを婚約者として家族に紹介するために呼んだのだと聞かされ、彼女は驚く。無理よ。嘘はつけないわ。ガービーの動揺を知ってか知らずか、友人の兄ルカが冷ややかな態度でこちらに鋭い目を向けた。はっとして瞬時に惹きつけられる。なんて素敵な人なのかしら。聞けば彼は公爵家を継ぐことを拒み、近々司祭になるのだという。ディナーを終え、ガービーが帰宅するとすぐに誰かが訪ねてきた。ルカだわ!彼は思い詰めた顔で彼女に迫り、外へ連れだすと……。

■ハーレクイン・イマージュの人気作家レベッカ・ウインターズ、1999年初版の人気作をお贈りします。初めて恋した相手が聖職者だったら……?ヒロインのせつない想いが胸に迫ります。
*本書は、ハーレクイン・イマージュから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「ルーク?」ガービーは思わず彼の名前をアメリカ式にニックネームで呼んでしまった。びっくりしたのだろう。ルカの体が一瞬揺れた。「シニョール……」ガービーは自らの非礼を慌てて謝った。「ごめんなさい……」
「謝る必要はない。そういう発音で名前を呼ばれるのに慣れていないだけだ。で、なにがききたい?」
 つかのま、ガービーの思考は停止した。薔薇の強い香りがあたりに満ちて、感覚を麻痺させた。わたしたちはジョヴァンニのことを話していたんだったわ。そうは思ったが、目の前に立っている男性的な魅力にあふれたルカのことしか考えられなかった。彼のそばにいると、気持がどんどん彼に傾いていく。
 やわらかな風が吹きはじめ、彼の豊かな黒髪が乱れた。日焼けしたひたいに、褐色の首筋に、癖のある黒い髪がかかる。あの髪に触れたら、彼に触れたらどんな感じがするのかしら。
「シニョリーナ?」
 あたりが暗くてよかった。明るかったら、赤面したところを彼に見られてしまっただろう。
「弟のとった行動がきみの誤解を招いたようだ。彼は責任を持つことに疲れて、王子をちょっと休んで乞食になってみたのかもしれない」
 ルカがそれっきりなにも言わなかったので、ガービーは早口で話しはじめた。「きっと、これはルネッサンス祭のためにと彼が考えた余興かも……。この地方を支配する一族の家を訪れてみると、そこがたまたま彼の家だった。それでわたしはびっくりする。彼も満足する……。ジョヴァンニくらい冗談が好きならやりかねないでしょう?」
 ルカはまだ無言だ。ガービーがいらいらするほど彼女をじっと見つめている。
「彼がわたしを妻にと望んでいたなら、わたしにはもっと前にわかっていたはずよ。なのに……」
 ルカのいかめしい表情に、ガービーはあとの言葉をのみこんだ。「ジョヴァンニはきみとの結婚をぼくに承諾してもらいたがった。だからぼくは帰ってきたんだ。あすの朝にはローマに帰らなければならないのに」
「もう帰ってしまうの?」ガービーはうっかり口を滑らせた。思ってもみないほどの失望感が広がった。
 ルカの胸が上下するのが薄い絹のシャツを通してはっきりわかる。ガービーはこれまでにないほど彼の存在を意識した。のどがからからに渇き、唾をのもうとすると痛いくらいだ。
「かわいそうなジョヴァンニ。あなたが帰ったらがっかりするわ。あなたのことをとても愛しているのよ。わたしにはわかるわ。あなたの言うことならいつもきちんと聞くんでしょう?」
 彼の体が緊張したのがわかった。「そうだ」ルカは苦しげに答えた。
「それじゃ、手遅れになる前にわたしを結婚相手としては認めないと彼に言ってちょうだい。もともとそのつもりなんでしょう? お願い、ルーク……」ガービーは苦痛に満ちた声で訴えた。
「ペル・ディオ」ルカの口から罵りの言葉が漏れた。「それはできない相談だ。これはジョヴァンニが計画したことだ。弟の夢を砕いて、せっかくの機会をぶち壊しにするつもりはない。きみにもそんなことはしてもらいたくない」その口調にはうむを言わせぬ響きがあった。「弟がきみを寄宿舎に送り返すまでは、きみもぼくも弟に合わせるしかない」
 認めるのは癪だが、彼の言うとおりだ。ガービーは考えた。ジョヴァンニを傷つけるつもりはないけれど、はたして夕食の席でぼろを出さずにふるまえるかしら。そしてそのあとで彼とちゃんと向き合って話し合えるの?
「弟は狡猾な人間ではない。だからみんなに好かれているし、弟を苦しめようという者はひとりもいない。弟が電話してきてアメリカ人女性に会ってほしいと言ったときの声はとてもうれしそうだった。だから、ぼくはきみに実際に会うまで弟を幻滅させないようにしようと思った」
 わたしの勘は当たっていた。「あなたに嫌われていることはわかっていたわ」声が震えるのがいやでたまらなかった。わたしがどれだけ深く傷ついているか、彼に知られてしまう。
 深々と息を吸いこむ音が聞こえた。「嫌いじゃないよ、シニョリーナ。これまでは弟に合う女性がいるとは思えなかった。今度はその考えを改めなければならないと悟ったよ」
 まさか彼の口からそんな言葉が聞けるとは思わなかった。ガービーは不思議な気がした。
「これが数百年も前のことなら、きみの感情など無視して、弟を幸せにするためにきみを無理やり結婚させただろう」
 ガービーは驚いて青い目を丸くして顔をあげた。「あなたが公爵なら、その言葉は絶対だということね。でも、長男はあなたなのにどうしてジョヴァンニが爵位を受け継ぐの? 理解できないわ」
 夜のとばりが下りても、ルカの顔はすぐ間近に見えた。彼が心を閉ざしたのがわかって、ガービーはまた当惑した。ほんの少し前、互いに親近感を覚えたと思ったが、それも消えてしまった。
 ガービーは打ちひしがれた。「ごめんなさい。詮索するつもりはなかったの」
「だれだってききたくなる。だが、残念ながら今その話をしている暇はない。ジョヴァンニが探しに来るだろうし、ぼくも主人役をしなければならない」
 ルカが玄関のほうに歩きだしたが、ガービーはためらっていた。階段で立ちどまった彼は堂々としている。ガービーのひたいに汗が吹きだした。「怖いわ、ルーク」
 ルカは手で髪をすいて意外なことを言った。「ぼくもだ。なかでまた会おう」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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