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水辺の幻惑

水辺の幻惑


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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解説

 未解決の殺人事件が眠る美しい湖畔で、ソフィーは危険なほどゴージャスな謎めいた男に出会う。どうやら彼は、かつての事件と関わりがあるらしい。あの魅惑的な仮面の下には、獲物を求める狂気が潜んでいるのかもしれない……。警鐘を鳴らす心とは裏腹に、ソフィーはなすすべもなく男の愛に溺れていく。初めて知った切ないほどの喜びが、おぞましい惨事を引き起こそうとは夢にも思わずに。全米ベストセラー作家が贈る珠玉のロマンティック・サスペンス。

抄録

「男が嫌いなだけ。それとも、この俺が嫌いなのかい?」
 ソフィーが抱えていた恐怖はほんの少し薄れ、やがてそれは確固たる怒りに変わった。「あなたが嫌いなのはたしかね」ソフィーは言った。「さあ、そこをどいてちょうだい」
「じゃあ、証明してもらおうか」
「なんですって?」
「今からそれを証明してもらう」ミスター・スミスは言うと、驚いたことにその場で身を乗りだしてソフィーにキスをした。
 背中を車の側面に支えられ、両わきを腕ではさまれていなければ、動揺のあまりそのまま地面に倒れこんでいたかもしれない。かわそうとは試みたが、手で顔を押さえられ、それもできなかった。ミスター・スミスはみずからの口を開くようにして唇を重ねあわせた。それは念入りに時間をかけた、しっとりとした接吻《せっぷん》だった。
 ソフィーは目を閉じ、この場はもうこうするほかない、逃げようにも逃げられないのだからと自分に言いきかせた。それでも彼の顔は見たくはなかった。ミスター・スミスは強引に彼女の腕を取り、それを自分の腰に回した。ソフィーは強く押しつけられる彼の体にしがみつきながら、その感触に心を奪われた。固く、たくましい体。しっとりと濡《ぬ》れた唇。その手は抱きしめる力をけっしてゆるめようとはしなかった。
 実際、ソフィーのほうもあえて抱擁から逃れようとは思わなかった。太陽のもとでゴージャスな男にキスをされたいという欲求はつねにある。だがその相手として想像するのはあくまでもほかの誰かであって、想像もつかないほどの秘密を抱えているこの男ではなかった。
 けれども頭でなにを考えようと、体が、口が、そして心が彼を求めていた。ソフィーは欲するようなため息が漏れるのを耳にしたが、それは間違いなく自分の口から発せられたものだった。
 長い口づけはやがて終わりを迎えたが、ミスター・スミスはその場を動こうとはしなかった。腰を押しつけたまま、車の側面にもたれるソフィーの顔を両手でなでつづけている。ソフィーは目を開け、ぼうっとしたまま顔を上げた。彼の表情は今ひとつ読みとれない。この人は眼鏡をしたままキスをしていたのだろうか、とソフィーは思い、いまだに彼の体にしがみついていることにふと気づいた。しかも引きしまった彼の腰に腕まで回している。ソフィーはさっと腕を戻し、相手の体を押しやろうとした。
 ミスター・スミスはあいかわらず押されてもびくともせず、ただこちらを見つめていた。「俺のことはそんなに嫌いじゃないみたいだな」ささやくように言う。
「放して」
「もう少し」物憂げな彼の声は刺激に満ちていた。そしてミスター・スミスはふたたびキスをしてきた。そして今回、ソフィーもそれに応《こた》えた。
 両手を背中に回され、ぐっと抱きよせられたソフィーは、相手の性器が硬くなっているのを感じた。本来ならその事実に驚いても、あるいは嫌悪感を覚えても、まったくおかしくなかった。けれどもソフィーはかわりに自分から腰を押しつけ、ゆっくりと、欲するように動かした。ミスター・スミスがうしろのほうで手を伸ばし、車のドアを開けようとしているのがわかった。「後部座席に」かすれた声で言い、もう一方の手でスカートを上げはじめた。
 ソフィーが我に返ったのはそのときだった。ミスター・スミスはこの期に及んで押しやられるとは思ってもいなかったらしい。バランスを崩した彼はよろけるようにあとずさった。相手の腕を振りきってその隙《すき》に助手席へと回ったソフィーは、車に乗りこむと、ドアというドアをすかさずロックした。そして激しく肩で息をしながら、勝ち誇ったように相手を見据えた。
 彼は息を切らしている様子はまったくなかった。彼の性器が硬くなっていると感じたのは錯覚だったのだろうかと思ったソフィーは、視線の高さにある彼の股間《こかん》に思わず目を向けた。やはりそれは勘違いなどではなかった。
 ソフィーはドアを開けろと言われるのを待った。そうすればいい気味だとでも言いかえしてやることができる。しかしミスター・スミスは慌てた様子もなくポケットに手を入れ、明らかに膨らんでいる股間をさらにきつくしながら鍵《かぎ》の束を取りだした。
 ソフィーは飛びつくようにしてふたたびドアをロックしようとしたが、動きの速さではかなわなかった。ミスター・スミスは運転席のドアを開けて車に乗りこみ、片手で彼女の手首をつかんで強引に座らせた。「ひとこと嫌だと言えばそれでよかったのに」彼は穏やかな声で言った。
「言ったわ」
「聞こえなかったな」
「やめて」ソフィーは怒りをあらわにして言った。「わたしに触らないで」
「はいはい。俺はきみのお母さんにも、妹さんにもちょっかいを出してはならない。もちろん、きみにもね。ほかに注文は?」ミスター・スミスはジャガーのエンジンをかけた。座席の下から重々しい振動が伝わってきて、ソフィーは夢に誘いこむようなその音を必死に頭から追い払った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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