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令嬢マレーザの運命

令嬢マレーザの運命


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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解説

 ★百年に一度の愛かもしれない。愛を知らない少女がたどる数奇な運命を、男は優しく見守っていた。★
 18世紀末の英国。荒野にたたずむ貴族の館で産声をあげたのは、待望の世継ぎでなく五人めの娘だった。母の命と引き替えに生まれたその子はマレーザと名づけられ、愛を知らないまま美しく成長した。社交界の華となり、大勢の紳士たちに求愛されてもなお癒えぬ心の渇きを抱えていたマレーザは、ある日突如として知ることとなる――戦火よりも激しく、清らかに燃えあがる愛の炎を。ベストセラー作家が激動の時代を描く魅惑のヒストリカル・ロマンス。

抄録

「あなたも幸せだと言って」マレーザはパーシーに言った。ふたりは海を見下ろす崖《がけ》の上を歩いていた。
 パーシーはなにも言わず、顔をそむけて海のほうを見た。
「明らかにあなたは怒っているわ。あなたにはほかの誰よりもわたしの幸せを願ってほしいのに」
「ぼくの意見がそんなに重要かい? それともきみはぼくの祝福を求めているの?」
「両方よ。わたしはあなたに祝福されたいし、わたしにとってあなたの意見はいつだって大切だった。どうしてそれがわからないの? あなたはわたしの親友なのよ」
「ぼくは時々わからなくなるよ。きみが本当に求めているのは友達なのか、それとも、つねに自分に同意してくれる人間なのか」
「あなたの意見はわたしにとってはとても大切なの」
「もちろん、自分と同じ意見を持つ場合にかぎってということだろう」
「べつに賛成してほしいと頼んでいるわけではないわ。わたしはただ、あなたに喜んでもらいたいだけなの」
「同じことさ。でもあえて答えを返すなら、ぼくは今回のきみの結婚を祝福してはいない。なぜなら、きみがスティーヴンのことを愛しているとは思えないからさ。スティーヴンのほうはどうしようもないほどきみを愛しているけれどね。残念だが、スティーヴンの心は最後に粉々に打ちくだかれるだろう」
「あなたは間違ってるわ、パーシー。彼の心を傷つける気などわたしにはこれっぽっちもない。だいたい愛してもいないのにどうしてプロポーズにイエスと答えられるの?」
「未熟さ、若気の至り。呼び方はいろいろある。自分の好きな理由にするといい。問題は、きみはまだまだ若くて分別もつちかわれていないということだ。愛に関することだって、なにもわかってはいない」
「三歳も年上なら分別はあるし、優位に立っていろいろ説教できるということ?」
「マレーザ、ぼくはきみより三歳年上なだけでなく、それなりの経験も積んできている。ぼくは男だ。同情心のあつい使用人たちや親類のつき添い役《コンパニオン》に甘やかされて、ヒースの荒野を駆けまわるだけに人生を費やしてはいない」
 マレーザはこみあげる涙をこらえた。
 それでもパーシーは動じなかった。
「だったら好きにすれば!」マレーザはとげとげしい声で言った。「あなたの友情を失ってまでわたしがスティーヴンと結婚できるはずないでしょう」
「まあ、いずれにしろそうはならないさ。きみはすぐにべつの男を気に入って、スティーヴンのことなんて昨日の夕食みたいに忘れてしまうに違いない」
「なんてひどい人! どうしてそんなことが言えるの?」
 パーシーは振りかえってマレーザの腕を取った。「どうしてって、ぼくはきみが自分を知る以上にきみという人間を知っているからさ。きみは想像に想像を膨らませて、自分が恋をしていると思いこんでるんだ。分別という名の箱にはしっかりと蓋《ふた》をしてね。きみとスティーヴンが永遠の絆《きずな》で結ばれているだって? ぼくはそうは思わない。そんなのは虚《むな》しくもはかない望みにすぎない。絶対にあり得ないよ」
「あなたが間違っていることをわたしが証明してみせるわ」
「そうしてくれることを願うよ」
「わたしはスティーヴンを愛してるの、あなたがなんと言おうと」
「いまのところはね」
「本当に愛しているの。口づけされた瞬間に確信したわ」
「その確信はどこから?」
「あんな気持ちは一度も抱いたことがなかったもの」
「これまでに口づけされた経験は何回あるんだ?」
「はじめての口づけだったことはあなたも知ってるでしょ」
 パーシーはぐいとマレーザの体を抱き寄せた。彼女の胸のぬくもりを肌で感じるほどぴったりと。そしてパーシーは頭を傾けた。
「な……なにをするつもり?」
「実験さ。それ以外のなにものでもないよ」パーシーはそう言うと、唖然《あぜん》とするマレーザをよそに思いがけない行動に出た。おそらくふたりとも心の準備などしていなかった思いがけない行動に。
 パーシーはマレーザにキスをした。
 彼が腕を解くなりマレーザは言った。「ああ、どうしましょう」
「どんな気持ちだい?」
「どうしてそんなこときくの、すでに答えは知っているくせに」
「きみは自信を持って言える? 愛しているのは本当にぼくの兄上だと? もしかしたら、一時的なのぼせかもしれないだろう」
「あなたらしくないやり方だわ」
「たしかにそうかもしれない。でも、必要に迫られてのことだったんだよ」パーシーはそれ以上マレーザに考える時間を与えず彼女の手を取った。「さあ、戻らないと。もうじき暗くなる。あまり長いこときみを連れまわしていたら、きみのおば様に生皮をはがれかねないからね」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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