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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ディザイア・エクストラ

一夜だけの恋人

一夜だけの恋人


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ディザイア・エクストラ
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リアン・バンクス(Leanne Banks)
 USAトゥデイのベストセラーリストにも登場歴を持つ彼女は、アメリカのロマンス小説界でナンバーワンの売り上げを誇る人気作家の一人。現在、夫と息子、娘とともに、生まれ故郷のバージニアで暮らしている。コミカルでセクシー、かつ読み終えたあとも印象に残るような人物が登場する作品を好むという。そんな彼女を、超人気作家ダイアナ・パーマーも「シルエット・ディザイアの作家陣のうちでもっとも優れた作家の一人」だと大絶賛している。

解説

 ウォーカーとキスをかわしているなんて! トリナは天にものぼる心地だった。仕事仲間だったウォーカーに、トリナはずっと憧れていた。挙式直前に花嫁に逃げられてしまった彼を慰めるうちに二人の間には親密なムードが漂い始めたのだ。ウォーカーが求めているのは、ほんのいっときの慰めだとわかっている。でも今夜だけでいい。彼と一緒に過ごせるなら。夢のような夜を胸に、トリナは翌朝ウォーカーのもとを去った。一年後、思わぬかたちで再会することなど想像もせずに。

抄録

 ウォーカーが担当者として名乗りを上げ、パリには戻らないと宣言するなり、役員室の緊張が少なくとも六十パーセントは解けたと彼には感じられた。それが自信の回復につながり、ひいては会社の増収にもつながるのは間違いない。
 たしかにブルック・タランティーノには、テレビの生中継の最中に祭壇の前で捨てられたかもしれない。プライドを踏みにじられ、笑い物にされた。男の面子を取り戻すために、アトランタを去るはめにまで追い込まれた。
 だが、ウォーカーはなんとしてでも〈ベラージオ〉を手放すまいと決めていた。最初から大切に育ててきた顧客であり、会社の収入に占める割合は年々増えている。たとえアトランタがふたたび北軍の攻撃によって炎に包まれ、陥落するようなことがあっても、ほかの広告代理店に横取りされるわけにはいかない。
「安心したよ」アルフレード・ベラージオが口を開いた。「では、金曜にもういくつか広告案を出してもらって、検討するとしよう」
 ウォーカーはうなずいた。アドレナリンが全身をかけ巡る。企画書をまとめるにはかなりの時間とエネルギーが必要だが、自信はあった。幾度もくぐり抜けてきた道だ。アルフレードの言葉が会議の延期の合図となり、全員が席を立った。
 ウォーカーはアルフレードと、その隣の副社長たちと握手をした。そのとき、ドアのほうへ歩いていくトリナ・ロバーツの姿が目に入り、彼の脳裏にあの熱い一夜がよみがえった。
 ふとトリナが視線をそらす。おかしい――ウォーカーは腑に落ちなかった。あの日は互いに笑顔で別れた。ひと晩だけの関係だった。記憶にあるかぎり、すばらしい夜だった。あいにく酔っていたせいで、よく思い出せないが。
 今気まずくなるのは、どう考えても不都合だ。〈ベラージオ〉の社員一人一人の支持が必要なのだから。ウォーカーは頭のなかで個人的に接触すべき人物のリストを作っていた。マーク・ウォーターソンの支持はほぼ確実だろう。何しろ、彼の婚約者のジェニー・プリラマンは、ブルックの結婚取りやめ騒動のあおりを食って解雇されたのだから。幸い、その後ジェニーは復帰することができたのだが。
 ウォーカーはマーケティング部の部長もリストに加えた。
 それからトリナだ。今すぐ彼女のオフィスで捕まえたほうがいいかもしれない。彼はアシスタントに向き直ると、プレゼンテーションの資料を指して言った。「悪いが、先に片づけておいてもらえないか、ステファニー。十五分で戻る」
 会議室を出たウォーカーは、一年ぶりに会う顔見知りの人たちと挨拶をかわしながらトリナのオフィスへ向かった。もはや冷静を装うこともなく、周囲のぎこちない態度や哀れみ、それに無神経なジョークにも動じない覚悟ができている。ブルック・タランティーノとの破局から一年で、彼はすっかり立ち直っていた。一年どころか、一カ月で十分だった。
 実際のところ、ブルックに心を打ち砕かれたわけではない。プライドを傷つけられ、一時的に仕事のプランを妨げられただけだ。一年間、ヨーロッパの市場を開拓して、独創的で思いやりのある若いフランス女性に囲まれて生活するうちに、ウォーカーは生まれ変わったような気分になった。
 彼はエレベーターのボタンを押して、受付の女性に声をかけた。「久しぶりだね、セルマ。子どもたちはどうしている? 元気かい?」
 セルマは目をぱちくりさせた。「まあ、覚えていてくださったなんて思わなかったわ。もうずいぶん前のことでしょう。あなたが――」彼女は口ごもり、なんと言っていいのかわからない様子で|咳払いをした。
「まあ、いろいろあったが、すべては過ぎ去ったことだ」ウォーカーは明るく言った。「子どもたちは?」
「元気よ」セルマはほっとした表情で答えた。「ベンジャミンは今年からリトルリーグでプレーしているわ」
 ウォーカーはかぶりを振った。「子どもの成長は早いものだ。よちよち歩きを始めたと君から聞いたのが、まるで昨日のことみたいだよ」
「まったくそのとおりね」セルマが相槌を打ったとき、エレベーターのドアが開いた。「それじゃあ、また。会えてうれしかったわ、ミスター・ゴードン」
「ウォーカーだ」彼は訂正した。「これからは会う機会も増えるだろう」そう言ってエレベーターに乗ると、二階下で降り、広報部のオフィスが並ぶ一画を目指して歩き出した。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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