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伯爵がいざなう破滅のキス

伯爵がいざなう破滅のキス


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

たった一度のくちづけが、わたしのすべてを奪い去った――ローラ・リー・ガークが贈る、甘く危険な英国社交界ロマンス。

アメリカ富裕一族の令嬢リネットは、落ち込んでいた。一族に爵位をもたらすため夫となる英国貴族を探すよう母に命じられ、ロンドンに渡ったのは1年前のこと。だが、近づいてくるのは持参金目当ての男ばかりで、すっかり傷ついたリネットは、故国アメリカに戻ってきたのだった。英国貴族にはもううんざり――そう思っていたが、運命は実に皮肉だった。帰国後のとあるパーティで、あろうことか“持参金目当ての英国人伯爵”ジャックに公衆の面前で唇を奪われてしまったのだ。あげく、彼と結婚せざるをえない状況に追い込まれ……。

抄録

 ぞんざいな口調とぶっきらぼうな問いかけの裏に、気遣うような響きを聞き取って、ドアへ向かっていたリネットは驚いて足を止めた。そして肩越しに振り返り、真意を探るように彼を見つめたが、無表情の細面からは何も読み取れなかった。ただの聞き違いかしら、とリネットは思った。この男性が彼女とフレデリックとの噂話が広まるのを心配する理由には、まったく心当たりがないからだ。「お医者さまは、そう簡単には口外したりしないはずよ」
「だが、かならずしもそうとは限らないだろう? 話がもれたらどうする?」
 噂の的になるなど、まっぴらだったが、どうやって防げばいいのか、リネットにはわからなかった。「いずれにしても構わないわ」彼女は指摘した。「フレデリックに求婚されたら、すぐに受け入れるつもりだから」
「きみがそう言うのを心配していたんだ」フェザーストーンはため息をついて言った。「ミス・ホランド、彼との結婚はおそらく人生最大の過ちだろう」
「にもかかわらず、あなたはその理由を説明することができない」
 彼は答えなかった。リネットはふたたびドアへ向かいかけたが、一歩進んだところで、入り口の向こう側から聞き違えようのない声に呼びかけられた。
「リネット? リネット、どこにいるの?」
「まあ、どうしましょう」彼女ははっと息を止めると、呆然として、背後にいる男性を振り返った。「母だわ」
 フェザーストーンが答えないうちに、別の女性の声が彼女の名を呼び、リネットはすでに台無しになっていた晩が最悪の事態を迎えたことを悟った。「ミセス・デューイも? 大変。あの人は社交界で一番の噂好きとして有名なのよ」
「きみは噂を気にしないものだと思っていたが」そう言いながら、彼はオリエンタル調の鮮やかな色彩をした衝立に手を伸ばした。「広まっても構わないものだと」
「そうよ、わたしとフレデリックの噂は。だけど、あなたとの噂となると話は別だわ」うつ伏せになったフレデリックの身体の前に伯爵が衝立を動かす様子を、リネットはとまどいながら見つめた。「その衝立をどうするつもり?」
「証拠を隠すんだ」彼は曖昧に答えたが、リネットの予想に反して、フレデリックとともに衝立の陰に隠れるのではなく、後ろに下がって、みずからの作業の出来栄えを眺めた。そして満足そうにうなずくと、彼女に歩み寄った。「できることなら、三人ともここにいるのを見られないのが一番だが」
 その点についてはリネットも同意見だった。彼女は向きを変え、ふたたび立ち去ろうとしたが、入り口の手前まで行くと、またしても母の声が聞こえてきた。
「リネット? いったいパゴダのなかで何をしているの?」
 驚いて後ろに飛びのいたリネットはフェザーストーン卿にぶつかった。彼に腕をつかまれ、しっかり支えられると、たちまちパニックに襲われる。リネットは身体をよじって彼の手を振りはらい、くるりと彼に向き直った。「あなたは外に出ないで」低い声で告げる。「姿を見られたわ。ふたりで出ていけば、あなたも見られてしまう。だから、とりあえずここにいて。わたしがひとりで出ていって、母たちの注意をそらすから、その隙にこっそり逃げるのよ」
「リネット?」母が問いかける。「誰と話しているの? 誰と一緒なの?」
「こんなに近くまで来られては、もうこっそり逃げることはできない」フェザーストーンはドアに目を向けてつぶやいた。「万事休すだ」
「リネット・キャサリン・ホランド、いますぐそっちに行くわ」だんだんと大きくなるヘレンの声は、彼女がすでにその脅しを実行に移していることを物語っていた。「いますぐよ。聞こえた?」
「窓から外に出て」リネットは切羽詰まった口調で、ささやくようにフェザーストーンに命じた。
「もう時間がない」
「それなら隠れて」リネットは衝立を指さした。「早く」
 だが、彼は頑として動かなかった。「もう手遅れだ。きみがここでひとりではないことは、とっくにばれている」
「とにかく、ただ突っ立っていないで何かしてよ」
「きみがそう言うなら」フェザーストーンは深く息を吸いこむと、彼女の手を両手で包みこんで片膝をついた。「リネット・ホランド」びっくりするほど大きな声に、彼女が驚きのあまりもらした声がかき消された。「ぼくと結婚してもらえますか?」
「立って」リネットは小声で叫んだ。「お願いだから立って」
 彼の手を振りほどこうとしたが無駄だった。すっかり取り乱して肩越しに振り向くと、ちょうど母が足早にパゴダのなかに入ってくるところだった。ミセス・デューイもあとから続く。目の前で繰り広げられている光景を見るなり、ふたりとも戸口で立ち止まった。ショックを受ける彼女たちの顔に、リネットは自分がのっぴきならない状況に追いこまれたことを悟った。
 フェザーストーンが立ちあがる。リネットは振り向いて、この到底信じがたい行為に怒りの抗議をぶつけようとした。
 だが、彼はその隙を与えなかった。リネットの手を放すと、フェザーストーンは彼女の腰に腕を回し、もう一方の手をうなじに添えて力強く抱きしめた。
「何をしてるの?」驚いたリネットは小声で問いただす。
「きみの評判を守るためだ」フェザーストーンはささやき、彼女に顔を近づけてキスをした。

 *この続きは製品版でお楽しみください。

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