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和書>小説・ノンフィクション>恋愛小説>ロマンス小説

著者プロフィール
ヘザー・グレアム(Heather Graham)
新作を出すたびニューヨークタイムズをはじめ数々のベストセラーリストに顔を出す人気作家。作品は15カ国語に訳され、発行部数は世界中で2000万部を超える。フロリダで生まれ育ち、大学では舞台芸術を専攻した。卒業してからは女優やモデルなどの職業を経験し、第三子出産後に執筆を始める。受賞歴も豊富で、テレビのトークショーに出演したり、雑誌で取り上げられたりするなど実力と人気を兼ね備えている。
新作を出すたびニューヨークタイムズをはじめ数々のベストセラーリストに顔を出す人気作家。作品は15カ国語に訳され、発行部数は世界中で2000万部を超える。フロリダで生まれ育ち、大学では舞台芸術を専攻した。卒業してからは女優やモデルなどの職業を経験し、第三子出産後に執筆を始める。受賞歴も豊富で、テレビのトークショーに出演したり、雑誌で取り上げられたりするなど実力と人気を兼ね備えている。
解説
★ウォールデン・ブックス・アワード受賞! ヘザー・グレアムの新感覚サスペンス★
長い歴史を誇る館、メロディー邸を継いだマットはうんざりしていた。最近、夜中に白い影を見たとか、危害を加えられたとか言う者が後を絶たない。周囲は幽霊だと騒いでいる。幽霊などいるわけはないが、悪意ある生きた人間の仕業ならなお問題だ。たまりかねたマットは調査を依頼した。やってきたのは調査員ダーシー。困ったことに、若く、目の覚めるような美人で、おまけに霊感が強いのだという。不審に思いながらも、マットは彼女から目が離せなかった。
長い歴史を誇る館、メロディー邸を継いだマットはうんざりしていた。最近、夜中に白い影を見たとか、危害を加えられたとか言う者が後を絶たない。周囲は幽霊だと騒いでいる。幽霊などいるわけはないが、悪意ある生きた人間の仕業ならなお問題だ。たまりかねたマットは調査を依頼した。やってきたのは調査員ダーシー。困ったことに、若く、目の覚めるような美人で、おまけに霊感が強いのだという。不審に思いながらも、マットは彼女から目が離せなかった。
抄録
しばらくのあいだダーシーは歯をくいしばり、じっと彼を見つめつづけた。
「誰かがわたしの頭を殴ったわ!」やがて彼女はいらいらした声で言った。
「なんだって?」マットの態度が一変した。彼は歩み寄ってダーシーの顎に手をかけ、彼女の目をのぞきこんだ。「怪我《けが》をしたのか?」 ダーシーは頬と顎にマットの指を感じながらかぶりを振った。彼の体がすぐそばにあったが、身を引かなかった。「怪我はしていないわ。でも、ここに誰かがいたの。そして……その、どう言ったらいいか……ちょうど人間が消えてしまったような感じだったわ」
「本物の人間が?」
「ええ」
「クララのときとは違うな。クララは幽霊に頬をぶたれたと言った。きみは転んで……そう、つまずいてなにかに頭をぶつけたんじゃないのか?」
マットの声には気づかわしげな響きと、それ以上のなにかがあった。彼は、ダーシーが昨日の午後に抱いたのと同じ、ある種の満足感を覚えていたのかもしれない。彼は幽霊の存在を信じていない。望むと望まざるとにかかわらず、屋敷には幽霊がついているというのに。だが、今回はマットが正しかった。本物の人間がバルコニーにいたのだ。
「誰かがいたわ。血肉を備えた人間が……今夜、ここに」ダーシーは言った。マットは身じろぎもしなかった。彼の肌の香りは濃密で、不思議な酩酊《めいてい》感をもたらした。ダーシーは動きたくなかった。マットの裸の胸に頭をもたせかけたかった。
なぜかマットがいっそう近づいた。
彼の指が羽根のように軽く彼女の髪をなで、続いてこめかみにふれた。「どこを殴られたんだ?」
「ええと……側頭部よ」
「こぶができているのか?」
ダーシーは首を横に振った。「できていないと思うわ」
「めまいはどうだ?」
「しないわ」嘘《うそ》だった。しかし彼女が感じているめまいは、頭を殴られたのとはなんの関係もない。
「大丈夫か?本当に平気なのか?」
マットの吐く息が彼女の額を愛撫《あいぶ》する。ダーシーの唇は乾ききっていた。彼女はうなずいたが、身動きしなかった。彼はまだ両手を彼女の頭に添えている。ダーシーの唇がマットの肌にふれそうだ。
「わたしなら……大丈夫」
マットが再びダーシーの顎に手を添えて上を向かせ、目をじっとのぞきこんだ。彼の頬にはうっすらと無精ひげがのび、髪は寝乱れていた。その肉体が放つ熱で、夜はかえって冷え冷えと感じられる。筋肉のこわばりと息遣いに彼の緊張が表れていた。ダーシーは彼の鼓動を聞いた。自分の鼓動も聞こえた。
「こんなのはどうかしている」マットがささやいた。
「ええ、そうね」ダーシーは同意したものの、ふたりとも動こうとしなかった。微風はさらに涼しさを増して、ふたりのあいだに高まりつつある緊張に快さと、じれったくなるような興奮とをもたらした。
やがてあたたかな息を耳たぶに感じ、ささやき声を聞いたとき、ダーシーの体内を熱い血潮が狂ったようにめぐりだした。
「きみはどうかしていると思うのかい?」マットがきいた。
「ええ、まったくどうかしているわ」ダーシーはささやきかえした。
またもやマットの手がダーシーの顎に添えられたと思った次の瞬間、彼の口が彼女の口を覆っていた。それはゆっくりしたやさしいキス、互いに相手を知るためのキスとして始まったが、たちまち情熱に駆られた激しくむさぼるキスへと変わった。マットの両腕がダーシーの体にまわされて、ふたりの肉体が薄いネグリジェ越しに密着し、たくましい体の感触がじかに伝わってくる。ふたりの唇がぴったり合わさり、彼らは夜の外気のなかに立ったまま欲望に促されてキスをした。ダーシーが味わったことのない、たとえようもなく甘いキスを。彼の唇や歯や舌の動きが、来るべきものをほのめかしているようだ。こんなのわたしじゃないわ、とダーシーは思いながらも、露骨なほどの執拗《しつよう》さで彼の求めに応じた。これほど美味なごちそうは生まれてこのかた味わったことがなく、喜びのあまり気が変になりそうだった。自分がなにをし、なにを考えていようと、そしてまた彼がなにをし、なにを信じていようと、そんなことはどうでもよかった。明日という日さえも存在しなかった。マットに抱かれ、その口で情熱を注ぎこまれ、欲望にたぎる肉体を押しつけられていると、彼女をきりきり舞いさせて高みへと運んでいく、このすばらしい嵐《あらし》が最高潮に達するのを望むほかはなにも考えられなかった。
*この続きは製品版でお楽しみください。
「誰かがわたしの頭を殴ったわ!」やがて彼女はいらいらした声で言った。
「なんだって?」マットの態度が一変した。彼は歩み寄ってダーシーの顎に手をかけ、彼女の目をのぞきこんだ。「怪我《けが》をしたのか?」 ダーシーは頬と顎にマットの指を感じながらかぶりを振った。彼の体がすぐそばにあったが、身を引かなかった。「怪我はしていないわ。でも、ここに誰かがいたの。そして……その、どう言ったらいいか……ちょうど人間が消えてしまったような感じだったわ」
「本物の人間が?」
「ええ」
「クララのときとは違うな。クララは幽霊に頬をぶたれたと言った。きみは転んで……そう、つまずいてなにかに頭をぶつけたんじゃないのか?」
マットの声には気づかわしげな響きと、それ以上のなにかがあった。彼は、ダーシーが昨日の午後に抱いたのと同じ、ある種の満足感を覚えていたのかもしれない。彼は幽霊の存在を信じていない。望むと望まざるとにかかわらず、屋敷には幽霊がついているというのに。だが、今回はマットが正しかった。本物の人間がバルコニーにいたのだ。
「誰かがいたわ。血肉を備えた人間が……今夜、ここに」ダーシーは言った。マットは身じろぎもしなかった。彼の肌の香りは濃密で、不思議な酩酊《めいてい》感をもたらした。ダーシーは動きたくなかった。マットの裸の胸に頭をもたせかけたかった。
なぜかマットがいっそう近づいた。
彼の指が羽根のように軽く彼女の髪をなで、続いてこめかみにふれた。「どこを殴られたんだ?」
「ええと……側頭部よ」
「こぶができているのか?」
ダーシーは首を横に振った。「できていないと思うわ」
「めまいはどうだ?」
「しないわ」嘘《うそ》だった。しかし彼女が感じているめまいは、頭を殴られたのとはなんの関係もない。
「大丈夫か?本当に平気なのか?」
マットの吐く息が彼女の額を愛撫《あいぶ》する。ダーシーの唇は乾ききっていた。彼女はうなずいたが、身動きしなかった。彼はまだ両手を彼女の頭に添えている。ダーシーの唇がマットの肌にふれそうだ。
「わたしなら……大丈夫」
マットが再びダーシーの顎に手を添えて上を向かせ、目をじっとのぞきこんだ。彼の頬にはうっすらと無精ひげがのび、髪は寝乱れていた。その肉体が放つ熱で、夜はかえって冷え冷えと感じられる。筋肉のこわばりと息遣いに彼の緊張が表れていた。ダーシーは彼の鼓動を聞いた。自分の鼓動も聞こえた。
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「ええ、そうね」ダーシーは同意したものの、ふたりとも動こうとしなかった。微風はさらに涼しさを増して、ふたりのあいだに高まりつつある緊張に快さと、じれったくなるような興奮とをもたらした。
やがてあたたかな息を耳たぶに感じ、ささやき声を聞いたとき、ダーシーの体内を熱い血潮が狂ったようにめぐりだした。
「きみはどうかしていると思うのかい?」マットがきいた。
「ええ、まったくどうかしているわ」ダーシーはささやきかえした。
またもやマットの手がダーシーの顎に添えられたと思った次の瞬間、彼の口が彼女の口を覆っていた。それはゆっくりしたやさしいキス、互いに相手を知るためのキスとして始まったが、たちまち情熱に駆られた激しくむさぼるキスへと変わった。マットの両腕がダーシーの体にまわされて、ふたりの肉体が薄いネグリジェ越しに密着し、たくましい体の感触がじかに伝わってくる。ふたりの唇がぴったり合わさり、彼らは夜の外気のなかに立ったまま欲望に促されてキスをした。ダーシーが味わったことのない、たとえようもなく甘いキスを。彼の唇や歯や舌の動きが、来るべきものをほのめかしているようだ。こんなのわたしじゃないわ、とダーシーは思いながらも、露骨なほどの執拗《しつよう》さで彼の求めに応じた。これほど美味なごちそうは生まれてこのかた味わったことがなく、喜びのあまり気が変になりそうだった。自分がなにをし、なにを考えていようと、そしてまた彼がなにをし、なにを信じていようと、そんなことはどうでもよかった。明日という日さえも存在しなかった。マットに抱かれ、その口で情熱を注ぎこまれ、欲望にたぎる肉体を押しつけられていると、彼女をきりきり舞いさせて高みへと運んでいく、このすばらしい嵐《あらし》が最高潮に達するのを望むほかはなにも考えられなかった。
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