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オフィスの愛人【ハーレクイン・セレクト版】

オフィスの愛人【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

イタリア人実業家リカルドの秘書アンジーは転職を考えていた。何年も彼の手足となって働き、ときには恋の後始末さえしてきた。──日ごとにつのるリカルドへの想いはひた隠して。彼にとって私はただの地味な秘書。このままでは惨めすぎるわ。ところがオフィスのパーティが催される日、突然リカルドから美しい赤いドレスをプレゼントされて、アンジーは驚く。ドレスに着替えたアンジーはまるで別人のように魅力的に変身し、リカルドのエスコートで夢のような一夜を過ごした。そして翌朝、夢は儚く消えた。彼に冷たくあしらわれたばかりか、トスカーナ出張へ秘書兼愛人として同行するよう命じられたのだ!

■人気作家シャロン・ケンドリックが描く、王道のオフィス・ロマンスをお楽しみください。尊大なボスのリカルドが、地味な秘書アンジーに贈った赤いドレスには驚くべき秘密が隠されていて……。
*本書は、ハーレクイン・リクエストから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「血筋を絶やさない?」
「同意できないって顔だな」
「結婚をそんなふうに考えるなんて冷酷だわ」
「冷酷なんかじゃない。非常に現実的だよ。だが、きみはそうは思わないらしい。結婚問題に関する豊富な経験からくるものなのかな?」
 その手厳しい言葉はアンジーを傷つけただけでなく、怒りをかき立てた。どうして彼は、貧しい妹を最高値をつけた男性に嫁がせるみたいな言い方をするの?
「何か言い忘れている大事なことがあるんじゃありませんか? あなたは愛を無視しているけれど、情熱についてはどうなんです? 結婚に情熱は必要ないの?」
 情熱。
 その言葉は静かな水面に投げ込まれた石のようにリカルドの意識の中に沈んでいき、波紋が広がっていった。アンジーのような地味な女性が使うにはふさわしくない言葉だ。だが、情熱を象徴する色を着ている今は、まさにぴったりに思えてくる。
 リカルドは脈が早くなり、突然、下腹部が熱くなるのを感じた。さっき、レストランでもそうなった。欲望が頭をもたげる。肉体の甘い悦びの記憶ははるか昔のことのように思える。そういえば、最後に女性とベッドをともにしたのはいつだっただろう? リカルドの視線は無意識のうちに目の前に立つ女性の胸元の、深紅の絹に映える白い肌に注がれていた。
「情熱?」繰り返すリカルドのこめかみが脈打ち始めた。「きみは情熱の何を知っている?」
「その……本で読んだわ」言いすぎたかもしれないと思いつつ、アンジーはすぐに答えた。
「本だけ?」リカルドはどこか挑むように言った。
 突然、雰囲気が変わったのをアンジーは感じていた。なんとなく危険で、それでいて刺激的な雰囲気。わたしの気のせい? リカルドのしなやかな体が硬くなり、突然、身構えたように見える。レースを目前にして最高の状態にあるアスリートのようだ。その黒い目は、自分が贈ったドレスを着たわたしを最初に見たときのように、わたしをじっと眺めている。だが、そのそのまなざしの奥にはさっきとは違う何かがある。欲望に近いものが……。
 感覚が目覚め、ほおが赤くなっていくのを感じる。この信じられない状況に、アンジーはどうしていいかわからなくなっていた。リカルドがここにいる、そして、マルコはリムジンの中で主人を待っている。アンジーはそこに飛びこむ危険をじゅうぶん承知しつつ、暗く渦巻く水をのぞいている人のような気持ちを味わっていた。
「ああ、遅いわ。これ以上、お引き止めするべきではないわね。送ってくださってありがとう。それから、ドレスも。とても気に入ったわ」そうは言ったが、もう二度と着ることはないだろう。こうしたドレスがふさわしい場所に行くチャンスなどあるはずがない。考えなしに着ていったら、目立ってしまうばかりだ。それに、目立つのはわたしらしくない。わたしが毎月ローンで支払わなければ手に入れられないドレスは、わたしのような女性には似合わない。
「喜んでもらえてうれしいよ」刻々と強くなっている下腹部の疼きをリカルドは無視しようとしていた。だが、突然、アンジーの顔に浮かんだわびしげな表情にますます落ち着かなくなった。ドレスのことをおおげさに考えなくていいと告げるべきだろうか? 彼女に話したら……。
「アンジー」アンジーの唇がかすかに震えているのに気づき、リカルドはそっと言った。
 リカルドのそんなやさしげな声をアンジーはこれまで聞いたことがなかった。「何?」リカルドを見上げ、ささやくような声で尋ねた。よく知っている、そして、大好きな男らしくてハンサムな顔。
 アンジーが頭を動かすと、香水の匂いが漂ってきた。リカルドはそれを深く吸いこまずにはいられなかったし、肩に揺れている赤褐色の髪から目が離せなかった。彼女の目は今夜は陰りを帯びている。いつものアンジーではない。そして、唇はこっちをじらすかのように輝いている。こんな彼女は初めてだ。リカルドは危険を感じていた。だが、そこから離れられそうにない。動けないのは、なめらかな深紅の絹に包まれた彼女の体、人の心を惑わせるその魅惑的な肉体に力が奪われてしまったせいなのかもしれない。
 ふいに、強烈な衝動がつき上げてきた。高まる欲望に屈し、リカルドはアンジーを抱き寄せた――これは間違っていると自分につぶやきながら。あってはならないことだ。彼女のほうから止めてほしい。分別があるアンジーが拒否してほしい。
 だが、アンジーは今夜、分別には休みを取らせることにしたらしい。ひたとリカルドを見つめるその目の奥には、リカルドが感じているのと同じものがあるようだ。こみ上げる欲望を抑えるように唇をかんでいる。リカルドはつと頭を下げ、唇を重ねた。すると、アンジーは命綱にすがるようにキスを返してきた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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