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大富豪の情熱の流儀

大富豪の情熱の流儀


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニファー・ヘイワード(Jennifer Hayward)
 悩めるティーンエイジャーだったころ、姉のハーレクインをくすねて読んだのが、ロマンス小説との出会いだった。19歳のとき、初めて書いた小説を投稿するも、あっけなく不採用に。そのとき母に言われた「あなたにはもっと人生経験が必要ね」という言葉に従い、広報の職に就いた。名だたる企業のCEOと共に世界中を旅して回った経験が、確かに今の仕事に役立っているという。2012年、ハーレクインの新人作家コンテストで入賞し、ついにデビューを飾った。カナダ、トロント在住。

解説

情事の相手にしかならない女──どんな男性も私の愛は求めない。

会社を立ちあげたばかりのアレクサンドラは、巨大企業デカンポ社から新商品の仕事を打診されて喜んだものの、一方で不安も隠しきれなかった。じつはこの企画の責任者である副社長ゲイブは、アレクサンドラの実姉の夫の弟で、すでに面識があった。彼はなぜか初めから私に手厳しい。一緒に仕事をする気はあるの?案の定、ゲイブから挑発的に扱われたアレクサンドラは傷つき、溢れる感情のまま彼に詰め寄るが、それは大きなミスだった。次の瞬間、彼女は力強い腕に抱かれ、問答無用で唇を奪われて……。

■R−3196『仕組まれた復縁』に続く、期待の新作家が描く愛憎渦巻くデカンポ家のロマンスをお楽しみください。互いの過去を知るうちに、ぶつかってばかりいたふたりの関係に変化が……。

抄録

 ゲイブは唇をすぼめ、飲み物を一口飲んだ。「僕を納得させてくれ。仕事を君に任せるべきだ、と」
 立ちあがった彼女は、ブリーフケースからファイルを一冊とり出した。「ここに五つのアイディアがあるわ。どれも今回と同じくらいの短期間で成功させたものよ」ファイルを渡す。「私はあなたのワインを、最高に華々しくデビューさせてみせる。約束するわ」
 ゲイブはページをぱらぱらめくった。「見事なものだな」
「だったら決断して」
 コーヒーテーブルにファイルを置き、ゲイブはソファにもたれかかった。そのとたん、アレックスは彼のたくましい太腿に目を奪われた。あまりにすばらしくて、どうしても見つめずにはいられなかった。「ここで僕が君を選ぶのが正解だとしても、まだ話し合わなければならない別の問題がある」
「別の問題って?」
「あのことだ」
「なんの話か、さっぱりわからないわ」
 彼は眉を上げた。「じゃあ、あのときの表情は誘っていたわけじゃなかったのか?」
「ぜんぜん違うわ。あれは――」
「アレックス」ゲイブは彼女の方に体を向け、目と目を合わせた。「部屋に入った瞬間から、君が神経質になっている理由はわかっているはずだぞ。ずっと考えているんだろう、リリーとリカルドの離婚パーティでのことを。キスをしていたらどんなふうだっただろうと、僕も考えているんだ」
 ああ、あの日の記憶は、どんなにがんばっても頭から追い出せない。パーティが終わって客が全員帰ったあと、アレックスはほろ酔いのままスツールの上に立って、木からランタンをはずしていた。するとさがしに来たゲイブに不意をつかれ、スツールから落ちそうになった。彼はアレックスを受けとめて下ろしてくれたものの、両腕を彼女の腰にまわしたまま、いつまでも離れようとしなかった。キスをされると気づいて、アレックスは脱いでいた靴をつかんで逃げ出したのだ。
「私は四時間しか眠らずに働いているの。神経質になっているのはそのせいだわ。あなたがイエスと言ってくれれば――」彼女は目を見開いた。「なにをしているの?」
 ゲイブは手を上げ、アレックスの顎をとらえた。「どれほど問題になりそうかを見極める。心を決めるのはそれからだ」
「問題なんかないわ。それに一緒に仕事をするなら、私は――」
「僕はまだイエスと言っていないから、現時点ではまだ仕事上の関係ではないはずだ」
 全身が熱くなり、アレックスはごくりと唾をのみこんだ。「もしぜんぜんよくなかったら、あなたはイエスと言ってくれるの?」
「よくないことはないと思うが」
 アレックスの心臓が激しく打った。とにかく落ち着いて。自制心を保つのよ。二人が惹かれ合っていようと、気持ちは抑えられると証明するの。しかし彼の親指が唇の合わせ目に触れると、彼女はあっさり降参した。
 初めて知るゲイブの唇は、想像していたとおりだった。熱く、なめらかで、次にどうすればいいのか完全にわかっている。ゆっくりと始まったキスはすべてをくまなくさぐるようで、アレックスは思わず彼のシャツにしがみつきたくなった。まだわずかに残っている意志の力であらがってはみたものの、地上三十メートルの岩棚からぶらさがっているときに“手を放すな”と言われるのと同じで、いずれ逆らえなくなるのはわかりきっていた。
 一分……ほんの一分だけ、このすばらしい時間に溺れたい。その誘惑はあまりに大きく、アレックスは頭を空っぽにして、長い間望んでいた口づけを味わいはじめた。
 その決心を感じとったのか、ゲイブの唇がさらに情熱的になる。われを忘れさせるキスは果てしなく続き、アレックスはとうとう立っていられなくなって彼のシャツにしがみついた。
「アレックス、もっとだ」
 あと五秒だけ、そうしたらやめるから。アレックスは唇を開いて、いっそうゲイブを受け入れた。舌と舌が触れ合うのを感じたとたん、体の奥がきゅっと引きしまる。キスは彼女の常識を崩しつつあった。
 アレックスは彼の腕から身をもぎ離した。もう時間切れだ。五秒はとっくに過ぎている。
「キスするなんてフェアじゃないわ」
「問題があると、君も認めざるをえないだろう?」ゲイブは乾いた声でつぶやいた。「これでわかったはずだ」
「だけど、どうにかできることもわかったわ。あっという間に終わったし」アレックスはさっと手を振った。「二度とは起こらない。好奇心は満たされたもの」
 ゲイブはファイルを持って立ちあがった。「明日の十時に、僕のオフィスへ来てくれ」
 アレックスは信じられないという顔をした。「結論は保留ってこと?」
「ファイルを読ませてほしい」
「いまのキスに意味はないわ、ゲイブ」
「ちょっと知りたいことがあるんだ」
 シャツを直すゲイブを見て、アレックスは屈辱感にさいなまれた。いったいどうして唇を許してしまったの? 私が証明するはずだったのはプロ意識の高さであって、キスを誘う技術じゃないのに。
「発表イベントの仕事は私に任せて。後悔はさせないわ」
「ケ・レスタ・ダ・ヴェデーレ」
「どういう意味?」
「“それはまだわからない”」
 そう言い残して、ゲイブは出ていった。アレックスが靴をつかんでドアに投げつけると、遠くからやわらかな笑い声が聞こえた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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