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大富豪と灰かぶりの乙女

大富豪と灰かぶりの乙女


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジェイムズ(Julia James)
 十代のころに初めてミルズ・アンド・ブーンのロマンスを読み、それ以来の大ファン。ロマンスの舞台として理想的な地中海地方、そしてイギリスの田園が大好きで、とくに歴史ある城やコテージに惹かれるという。趣味はウォーキング、ガーデニング、刺繍、お菓子作りなど。現在は家族とイギリスに在住。

解説

彫像のように美しいギリシア富豪が、人生の喜びを教えてくれた。

ゴージャスな大富豪マックス・ヴァシリコスにエスコートされる鏡の中の自分を見て、エレンは息が止まりそうになった。これが“象みたいに大柄で醜い”と継姉に嘲られている私なの?マックスが手配した美容師たちの手で美しく変身したエレンは華やかな慈善舞踏会で彼とワルツを踊り、その翌日からは彼に誘われるままカリブ海の島で夢のようなバカンスを過ごす。夜ごと情熱的な愛撫に溺れながら、エレンは自分に言い聞かせた。世慣れた彼にとって、これはビジネスの一環にすぎない――私が命より大切にしている屋敷を奪うための策略なのだ、と。

■意地悪な継母たちに父の遺産を食い荒らされ、窮地に陥ったエレンに幸せは訪れるのでしょうか?超人気作家ジュリア・ジェイムズの真骨頂、情熱的な王道シンデレラストーリーをご堪能ください!

抄録

 さまざまな考えをめぐらせながら、マックスは湖へ向かおうとした。だが突然、頭の中からすべての考えが消えた。一人の女性が石造りの建築物に寄りかかっている。やがて彼女はまっすぐ体を起こし、こちらに向かって走りはじめた。ランニングの格好をしているのはわかるが、誰なのかはわからない。
 彼は顔をしかめた。もし近所の人がここをランニングコースとして使う習慣があるのなら、知っておいたほうがいいだろう。
 マックスは木の陰を歩いて、女性にゆっくりと向かっていった。だが相手との距離が近くなると、息がとまりそうになった。
 まさか! そんなはずはない!
 彼女があの太りすぎで野暮ったく、哀れみさえ抱いたエレン・マウントフォードであるわけがない。ありえない。
 だが、間違いなくエレンだ。
 エレンが近づいてくると、その軽やかな足取りにマックスの目は釘づけになった。背が高い彼女は脚も長く、髪を旗のように背後になびかせている。そして体は……衝撃的なほどすばらしかった。
 しなやかな全身を上下に分かれたランニングウェアで包んでいても、豊かな胸の形のよさがはっきりと見て取れる。細くくびれたウエストには贅肉などひとかけらも見あたらず、ショートパンツに包まれたヒップの下からは、薄く日焼けした引きしまった太腿が伸びている。
 ああ、エレンは太ってなどいない。申し分のない体は、健康的でセクシーなだけだ。
 彼女に対する今までの考えが、マックスの頭の中で完全に並べ替えられた。衝撃を受けるとともに、まったく別のものも感じて体じゅうの血がわきあがる。
 エレンの姿を見たせいで……。
 ギリシア語が口からもれた。自分の目が信じられないということや、このうえなくすばらしいエレンの体をほめるたぐいの言葉だ。しかし、やがて疑問が浮かんできた。なぜ僕はエレンの魅力に気づかなかったのだろう? 隠れていたものを、ほんの一瞬たりとも疑いさえしなかったとは。いったいどうしてだ?
 答えはわかっていた。あのぎょっとするような服のせいだ。口にするのもおぞましい紫色の運動着では、ぶくぶくと太ったでくの坊にしか見えなかったし、品がなく体に合わないグレーのスカートや白いブラウスも、悪い印象を強調しただけだった。だが腕が太く見えたのは、筋肉がついているからだ。近づくにつれ、そのことがはっきりとわかった。
「やあ」マックスは木陰から出て声をかけた。
 愛想よく穏やかな声だったが、まるで空からコンクリートの塊でも目の前に落ちてきたかのように、エレンはその場に立ちどまった。
 悲鳴ともあえぎともつかない声をもらし、ぎょっとして男性を見つめる。マックスは、私がいちばん会いたくない人なのに!
 マックスが裏口のドアを閉めたとたん、ホートン邸を売るつもりはないと伝えなければ、という緊張でエレンはすっかり調子を乱し、二階に行ってランニングウェアに着替えた。ストレスや動揺やつらい不安をどうにかしたかった。しばらく全速力で走れば、少しは気持ちも落ち着くはずだ。
 彼女は長い時間走った。敷地内の私道を下って森を抜け、野原を駆けたあとは一休みして、その後は湖を一周して戻る予定だった。屋敷に帰ったころには、マックスも彼の派手な車も消えていてくれるのではないかしら。そんなはかない希望を抱いていた。
 でも彼はここにいた。パントマイム劇の魔王のように、どこからともなく現れたのだ。
 その目に浮かぶ表情に、エレンはいたたまれなくなった。
 身につけているランニングウェアが気になってならない。よく鍛えられた体が容赦なくさらされている動揺を悟られまいと、エレンは顎を上げた。クロエの隣に座り、彼女とは正反対の姿を披露したときだって、平然としていられたでしょう?
「君がクロエと全然違うのはわかっていたが、ここまでとは! 君たちは違いすぎる。姓が一緒でも、絶対に姉妹には見えない」
 マックスは信じられないというように頭を振った。その言葉を聞いてエレンの目につらそうな表情が浮かんだことになど、まったく気づいていない。
「申し訳ない。ランニングのじゃまをするつもりはないんだ。脚を動かしてくれ」彼は早足でエレンと同じ方向に歩きはじめた。「さあ、続けて。だが、話ができる程度にスピードをゆるめてくれないか?」
 鼓動がいつもよりずっと速いのを意識しつつ、エレンはふたたびランニングを始めた。頭の中には言われたことが残酷に鳴り響いていたけれど、傷ついているとは気づかれたくなかった。気持ちを抑えつけ、肌を出した汗びっしょりの体や後ろでまとめただけの髪、眼鏡をはずしていることをひどく気にしながらも、軽やかな足取りでマックスの横を走った。
「話って、どんな?」会ってしまったのは不愉快でも、この機会を利用して、ホートン邸をあきらめさせられないかしら?


*この続きは製品版でお楽しみください。

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