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銀の沙漠にさらわれ

銀の沙漠にさらわれ


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

求婚を断った相手が、まさか沙漠の君主だったなんて。大人気作家J・リンジーの伝説のデビュー作、満を持して登場!

18歳になった令嬢クリスティーナの初めてのロンドン滞在は、フィリップという男のせいで台なしになる。裕福そうな身なりに、社交界で異彩を放つ漆黒の髪と浅黒い肌――セクシーな風貌に惹かれたのも束の間、彼はいきなりクリスティーナに求婚し、唇を奪ったのだ。思わず彼の頬を打ち、クリスティーナは逃げだした。数日後、彼女は就寝中に襲われる。目隠しをされ、肩に担がれ、何日も経て辿り着いた場所は、見渡すかぎりの砂の国。暴漢が顔を覆っていた布を取る。クリスティーナは息をのんだ。それは、あのフィリップだったのだ。

抄録

 クリスティーナは自分を捕らえている男を観察した。長身の男はクリスティーナに背を向け、カフィエとローブを脱いでいるところだった。それらを戸棚の上に置き、山羊革の袋からグラスに何かを注ぐ。男は膝まであるブーツを履き、短いチュニックを着ていて、ゆるいズボンをブーツにたくし込んでいた。
 男が流暢な英語で話しかけてきたので、クリスティーナは驚いた。
「ティーナ、この状況に慣れるのが難しいのはわかる。だが、君はもうここにいるのだし、君は僕のものになったわけだから、あまり頻繁に逃げ出そうとしないほうがいいだろう」
 クリスティーナは耳を疑った。男は振り返り、クリスティーナのほうを向いた。クリスティーナの目はショックに見開かれ、口はぽかんと開いた。
 男は大笑いを始めた。「ティーナ、その表情が君の顔に浮かぶのをずっと、ロンドンで置き去りにされたあの夜から待っていたよ」
 この男はいったい何を言っているの? 頭がおかしいに違いない!
 クリスティーナの頬は怒りで真っ赤になり、体は憤怒に震えた。「あなた!」叫ぶように言う。「ここでいったい何をしてるの? よくも私を誘拐して、こんな辺鄙な場所に連れてきたわね? 兄が殺しに来るわよ、フィリップ・カクストン!」
 フィリップはまたも笑った。「ティーナ、君はもう僕のことが怖くないんだな。よかった。君が僕に泣きついて、慈悲を乞うのを聞くのも悪くないと思っていたが」
「ミスター・カクストン、あなたを喜ばせるつもりはないわ」クリスティーナが立ち上がり、フィリップと向かい合うと、髪が腰まで落ちた。「なぜ私をここに連れてきたのか、そろそろ教えてくれてもいいんじゃない? 身代金が目的なら兄がいくらでも払ってくれるわ。私はとにかくこの問題をさっさと片づけて、この場所ともあなたとも縁を切りたいの」
 フィリップはクリスティーナにほほ笑みかけた。その異様な目に見つめられ、クリスティーナはぼうっとした。なぜこんなにもハンサムなの、という場違いな思いが頭に浮かぶ。
「君をここに連れてきた理由を説明しなくてはいけないようだな」フィリップはクリスティーナの向かい側のソファに座り、クリスティーナにも座るよう身振りで促した。グラスの中身を飲み干し、クリスティーナをじっと見つめてから、話を続ける。「普段は自分の行動を誰かに説明することはないが、君には例外を作ってもいいだろう」自分が使いたい言葉を探すかのように、間を置く。「クリスティーナ、ロンドンの舞踏会で初めて君を見た瞬間、君が欲しいと思った。だから、君たちに合わせた方法でそれを試みた。君に自分の気持ちを伝え、結婚を申し込んだんだ。君に拒まれると、自分流の方法で、今すぐ君を手に入れようと決めた。君が僕を拒んだ晩に、お兄さんがこの国に送られるよう手配したんだ」
「お兄さまをここに来させたのは、あなただったのね!」クリスティーナはあえいだ。
「話が終わるまでは黙っていてくれ。わかったか?」フィリップはぶっきらぼうに言った。
 クリスティーナは単に話を最後まで聞きたいという好奇心のためにうなずいた。
「さっきも言ったとおり、僕はお兄さんがここに送られるよう手配した。そんなことは、しかるべき人間を知っていればできることだ。もし君がイギリスに残っていれば、お兄さんはそばにいないわけだから、君を僕の家に連れてくるのは簡単だったはずだ。そのぶん君も簡単に逃げ出せただろうが、その場合はもっと早く君をいただいていただろうな。ここでは、君が僕から逃れられる見込みは低い。人をさらうのはこの地の習慣だから、野営地の人間が助けてくれるとは思わないでくれ」フィリップは意地悪な笑みを向けた。「ティーナ、君は僕のものになった。そのことを早く自覚したほうが、君のためになるよ」
 クリスティーナはソファから飛び上がり、怒って床の上をうろついた。「そんな言い分は信じられない! こんなことをしておいて、どうして私があなたと結婚すると思うの?」
「結婚!」フィリップは笑った。「結婚は一度申し込んだから、もう申し込むつもりはない。この地では、君を手に入れるために、君と結婚する必要はないんだ!」クリスティーナに近づき、腕を回して抱きしめる。「君は僕の妻ではなく、奴隷だと思ってくれればいい」
「私は誰の奴隷にもならないわ! あなたに屈するくらいなら、自分で死ぬ!」クリスティーナは叫び、フィリップの腕から逃れようともがいた。
「ここまで待ったのに、僕が君を死なせると思うか?」フィリップはかすれた声で言った。クリスティーナに唇を近づけ、左右の手でそれぞれ頭と両腕を押さえ、激しくキスをする。
 クリスティーナは奇妙な感覚が、またも体を這い上がってくるのを感じた。私はこのキスを楽しんでいるの? でも、そんなことはありえない。この男を憎んでいるのだから!
 クリスティーナはフィリップの腕の中でぐったりしたが、蹴ろうとする前に抱き上げられ、テントの中に彼の笑い声が響いた。
「その技はもう通用しないよ、ティーナ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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