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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ディザイア

秘密を宿したダイヤモンド

秘密を宿したダイヤモンド


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 トレイシー・ウルフ(Tracy Wolff)
 すばらしい小説を読むと、自分が誰でどこにいるかも忘れるほどのめり込んでしまうという。幼少の頃から本を愛していた彼女は、6歳で初めての物語を書き、10歳の頃には地元の書店にある子供向けの本をすべて読み尽くしてしまった。母親から渡された1冊のロマンス小説がその後の人生を決め、今は講師をしながら多彩なジャンルのロマンスを書いている。

解説

今夜だけ、彼は私のもの。明日からは、思い出を胸に生きていく。

パーティ会場で、シャンパンのグラスを手に近づいてくる長身の男性からデジは目が離せなかった。なんてゴージャスな人なのかしら。たくましく広い肩、魅力的な笑みをたたえたセクシーな口もと。危険な光を放つエメラルド色の瞳に見つめられ、心臓が激しく打ちだす。ニックと名乗った彼にダンスに誘われ、気づくとデジは唇を奪われていた。そして抗い難い衝動に突き動かされるまま、ニックと一夜を共にするが、情熱のあまりの激しさに怖くなり、翌朝早く彼の屋敷を逃げ出した。もう二度とニックとは会わず、思い出だけを胸に生きていくつもりで。やがて妊娠に気づいたデジは彼が億万長者のニック・デュランドだと知る。彼に知られてはならない。あの夜、赤ちゃんを授かったことは……。

■D−1708『億万長者の非情な提案』の関連作をお楽しみください。MIRA文庫『5つの恋と夢の時間』収録の刺激的な官能ロマンス「深紅のドレスと真珠のプレイ」で注目を集めたトレイシー・ウルフ。今作も、冒頭から引きこまれるセクシーな作品です

抄録

 ニックが眉をあげてみせ、デジは吹き出さないように必死にこらえた。「セクシー、うーん、そうかもしれない。いま頭に浮かんでるのは“謙虚”って言葉なんだけど」
「いいね。当たっている。広報のプロフェッショナルは謙虚なことで世に知られているから」
「それがあなたの仕事なの?」デジは初めてかいま見えた彼の実生活に興味を引かれた。「広報の仕事をしているの?」だったら、この屋敷や調度が豪華なのもうなずける。
 彼は肩をすくめた。「そんなようなものだ」
「それじゃ答えになってないわ」
 ニックは驚いた顔をしてみせ、シャンパンにオレンジジュースを混ぜたミモザ・カクテルを差し出した。「質問をはぐらかすのは自分だけと思っているわけじゃないだろう?」
 デジは思わず笑った。今度はこらえきれなかった。こんなちゃめっけたっぷりの楽しい人に会ったのは初めてだ。この先も彼を超える人は現れないかもしれない。
 デジは目の前に置かれたシャンパングラスに手を伸ばし、ゆっくりと飲んだ。そのあいだにニックはカウンターからデジのスマートフォンを手にとった。
「何をしてるの?」キーを操作しはじめたニックを見て、デジは言った。
「ぼくの電話番号を登録している。いつでもかけてこられるように」
「どうしてわたしが電話をしたがると思うの?」
 ニックがこちらに目を向けた。彼としてはいちばん謙虚なまなざしなのだろう。「なぜ電話をしたくならないと思うんだ?」
「ひと晩じゅうお互いに答えのもらえない質問をしつづけるつもり?」
「わからない。そうなのか?」
 デジはあきれて目をくるりとまわした。けれど返事をする前に、ニックの電話がレンジの脇あたりで鳴りはじめた。彼は動こうとしない。
「出なくていいの?」デジは尋ねた。記者の本能が、夜中の二時に電話をかけてきたのが誰か知りたがっていたし、ニックの立っている位置が近すぎてひどく息苦しかった。ふれ合ってはいなかったけれど、彼の体が発する熱気が感じとれた。
「ぼくがかけたんだ、きみの電話から。こうすればぼくもきみの番号を手に入れられる」ニックはデジの目を見つめて言った。そのまなざしと声には何かが感じられ、彼が話しているのはデジの電話を鳴らす十桁の番号のことだけではないような気がした。
 急に、デジは落ち着かない気分になった。
 こんなふうに感じるのは好きではない。こちらが望む以上に、彼に自分のことを知られていると感じるのも。そこで、こういうときにいつもすることをした――こちらから攻勢に出たのだ。「わたしには、あなたに番号を教えるつもりがないとしたら?」
 ニックは眉をあげた。「教えたくなかったのか?」
「問題はそこではなくて」
「まさしくそこが問題だよ」
「いいえ、問題は――」デジは口ごもった。「あなたってやりにくい人ね。よくそう言われない?」
「一度か二度はあるかな」ニックはいったん言葉を切り、続けた。「ひとつ提案があるんだが」
「いいえ、けっこうよ」デジは立ちあがろうとしたが、ニックが椅子に押し戻した。
「まだ何も言っていない」
「そうね。でも、男性がよく知らない女性にそういうことを言うとき、結末はたいてい決まってるのよ。女性がどこかの地下室で鎖につながれて、男性が彼女の皮膚で服を縫うために型紙を作りはじめる」
「なんと」ニックは言った。「疑い深いんだな」
「『羊たちの沈黙』を観たことがあるから、そういうことはわかってるつもりよ」
「そのようだ。だが、残念ながらこの家に地下室はないし、手錠もない。それに、ぼくが知るかぎり、ぼくに精神疾患はないし、裁縫もできない。だから、たぶんきみは安全だ」
「安全かどうか判断するのはわたしよ」デジはわざと疑い深げな目をニックに向けた。「それで、提案ってなんなの?」
「きみの番号は登録しておく。たとえ喜んでもらえなくても。ただ、きみから連絡してくるまで、ぼくからは電話をかけない。これならフェアだろう?」
「わたしが連絡しなかったらどうするの?」
「がっかりするだろうが、こちらから連絡して迷惑をかけることはしない。これで取引成立かな?」
 デジはしばらく考えた。この夜が終わっても、わたしはまたニックと話したいと思うだろうか。そんなことはわからない、とデジは思った。いま決めることはない。電話をかけたくなかったら、穏便に縁を切れるとニックは言っているのだから。
「わかったわ」デジは言った。
「よかった」ニックはほほ笑み、腕をあげてうなじをこすった。気がつくとデジは、彼の六つに割れた腹筋と、ローライズジーンズのウエストのV字の切れこみを見つめていた。
 すると、彼のおもしろがっている声が聞こえた。「何か気に入ったものが見えるのか?」
「あなたが気に入ってるのよ」声にするつもりのない言葉がこぼれ出て、デジははっと口を押さえた。
 いまのはなかったことにしたかったが、手遅れだった。口にされた言葉が、破裂寸前の爆弾のように、ふたりのあいだにいつまでも残っていた。
 もっとも、ニックはいっこうに動じる気配がなく、デジが落とした爆弾から身を守ろうとしているようにも見えなかった。それどころか、ひどくうれしそうだった。まるでプレゼントをもらったように……あるいは、人生最大の快感を味わったかのように。
 取り繕う言葉を探しているうちに、ニックが近づいてきた。スツールを回転させてデジと向き合うと、さらに距離をつめて脚のあいだに入りこんだ。
「ぼくもきみが好きだ」ニックはデジの額に唇を押しあて、頬に、そして唇にキスをした。
「そうなの?」デジは尋ね、頭を後ろに倒して、首もとに彼が唇を這わせられるようにした。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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