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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ディザイア

誘惑は一度だけ

誘惑は一度だけ


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ディザイア
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 アン・マリー・ウィンストン(Anne Marie Winston)
 ベストセラー作家で、“ロマンス小説界のオスカー賞”ともいわれるRITA賞の最終候補者にもなった経歴を持つ。赤ん坊やあらゆるタイプの動物、これから開花しようとするものすべてを愛し、執筆活動以外の時間は、子供たちの運転手や読書をして過ごす。ちょっとした刺激ですぐに踊りだしてしまう陽気な性格。庭の手入れは、雑草で太陽が見えなくなってからするという。

解説

 目の前に立つ男性を見てフィービは言葉を失った。姉の恋人だったウェイド――私がこれまでに愛した唯一の男性だ。一年ほど前のあるパーティの夜、フィービはずっと憧れていたウェイドに思いきってダンスを申し込んだ。だが、その姿を見た姉が激しい嫉妬にかられて会場を飛び出し、車を暴走させて事故死したのだ。二人は思わぬショックにうちひしがれ、葬儀が終わったあと、慰めを求めてベッドをともにしてしまった……。もう一度君に会いたかったと言うウェイドに、フィービは背を向けた。姉をまだ思いつづける彼に、あの日生まれた秘密を知られるわけにはいかないのだから。

抄録

 ポーチに上がると、ひどく大柄な男性の姿が目に入った。そして男性がぶらんこから立ち上がりかけた瞬間、フィービの全身をアドレナリンがかけめぐった。フィービは男性に正面から向き合った。
「ここで何を――まあ、ウェイド!」
 その男性が誰なのかがわかった瞬間、フィービの全身を衝撃がかけ抜けた。まさか、そんなこと。
 ウェイドは死んだはずよ。
 膝がくずおれそうになり、フィービは背後の手すりを手探りでつかんだ。鍵束が大きな音をたてて落ちる。「あ、あなた――ウェイドなの?」私ったら、何ばかなことを言っているの。どう見ても、ウェイドに間違いないじゃないの。
 ウェイドは笑みを浮かべながらも、こちらの様子をうかがうような目つきで一歩彼女に近づいた。「ああ。ひさしぶりだね、フィービ」
「で、でも……」
 フィービが一歩後ずさると、ウェイドの笑みが消えた。片方の眉が弓形につり上がる。鏡のなかの自分自身の笑顔と同じくらい見慣れた表情――もの問いたげなこの表情も、ウェイド・ドネリーのなかでフィービが好きなもののひとつだった。「でも、なんだい?」ウェイドが静かに尋ねた。
「あなたは死んだと思っていたんだもの!」そう叫ぶと同時に脚から力が抜け、フィービは階段のいちばん上にしゃがみ込んで、膝に頭を埋《うず》めた。信じられないという思いと、ヒステリックに泣きわめきたい衝動が心のなかで争っている。
 ポーチを歩いてくる足音が響き、階段のいちばん上の床が沈み込んだ。ウェイドが隣に座ったらしい。大きな手がフィービの背中に触れた。
「信じられない」フィービはくぐもった声で言った。「本当に、本当にあなたなのね」
「ああ、そうだ」ウェイドに間違いなかった。この男っぽい声は、どこにいてもすぐに彼のものだとわかる。彼の手が再び背中に触れた。おずおずと、ためらいがちに。その腕のなかに飛び込みたい衝動を、フィービは懸命にこらえた。
 ウェイドは結局私のものじゃなかったんだから。彼女はそう自分に言い聞かせた。

「悪かった、驚かせて」ウェイドの声は静かで深く、真摯《しんし》な響きがあった。「たしかに二日ほどは死んだと思われていたんだが、そのあと無事に部隊に戻ったんだ。だがもう何カ月も前のことだよ」
「戻ってきてどれくらいになるの?」ウェイドはメラニーの葬儀のあと、すぐに召集された。それを思い出すと、忘れようと努めてきた別の記憶までがよみがえってくる。フィービは過去に懸命に目をつぶり、ウェイドの返事に神経を集中させた。
「五週間ほどだ。ずっと君を捜していたんだ」ウェイドは一瞬ためらってから続けた。「ここの住所はジューンに教えてもらったから、ジューンは僕が生きて帰ってきたことを知っている。てっきりジューンか、故郷の誰かから、君の耳にも入っていると思っていたが」
「いいえ」フィービは顔を上げずにかぶりを振った。ウェイドの死亡記事を目にした日から、フィービは故郷からの便りを読むのをやめていた。今年もジューンにクリスマスカードは送ったものの、こちらへ引っ越してきてからは、お互いにカードにも名前をサインするだけになっていた。
 沈黙が流れた。自分と同じく、ウェイドもなんと言えばいいかわからない様子だ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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