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忘れるために一度だけ【ハーレクイン・セレクト版】

忘れるために一度だけ【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ロビン・ドナルド(Robyn Donald)
 ニュージーランド北部の牧場主の家に、一男五女の長女として生まれた。十五歳で師範学校に学び、十九歳で結婚、同時に小学校の教師となる。子育てを終えて一時休んでいた教職に戻り、かたわら執筆を始めた。蘭の花が咲き、キウイやオレンジの実る美しい北部の村に住む。

解説

年上の富豪キアに想いを寄せていた18歳のホープは、ある日、彼女の継父とキアの信じがたい話を立ち聞きしてしまう。キアが継父の会社を買収することになり、その見返りとして、継父はホープを差しだす提案をしたのだ。それに対してキアは、ホープは欲しいが妻に迎える気はさらさらない、と拒絶した。深く傷ついたホープは、翌日逃げるように家を出た。4年後、ホープが働く宝石店に突然キアが現れた。キアは臆面もなく彼女に4年間の空白を埋めるよう迫り、彼を忘れられなかったホープは一夜だけと誓い純潔を捧げてしまう。キアのもとを去った彼女だったが、ほどなく妊娠に気づき……。

■圧倒的なパワーでヒロインを骨抜きにし、心も体も支配してしまうヒーロー像は、R・ドナルドならでは。今作のヒロインも、そんなヒーローに必死に抗いますが……。最後まで目の離せない展開です。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「こんなやり方はきみのボスの発案なんだろうね」キアの声は、タイタニック号を沈没させた氷山ほど冷ややかだった。
 ホープは肩をすくめた。セクシーなドレス姿でそのしぐさは自殺行為だと気づき、あわてて胸のあたりをさりげなく押さえる。「あのときはいい考えに思えたんだけど」
「たぶんね」キアはホープのむきだしの肌に視線を這わせている。「だけど、彼は服の選択を間違った。誰もネックレスなんて見やしないよ。みんな、きみが売り物かどうかで頭を悩ませていることだろう。しかもそのドレスは、きみのいいところをすべて見せている」
 口調は変わらなかったが、キアの声にこめられた軽蔑がホープを切り裂いた。
 何層にも塗られたメイクに感謝しながらホープは深く息を吸い、怒りを慇懃さに変えた。「お褒めの言葉、恐れ入ります。でもわたしは、外見よりもっといいものが自分にはあると信じたいわ。それにわたし、これまで売り物になったことはないの」
 キアの顎がぴくっとこわばり、張りだした頬のあたりが引きつった。「きみがこんな展示方法に同意するとは意外だな」
 ホープは顔を赤らめ、鋭い一瞥をキアに投げつけてきびすを返した。
 華奢な肩にキアの手がかかった。「すまない。よけいなことだった」
 ホープが肩を揺すっただけで、彼は解放してくれた。指の感触が残る肌が燃えるように熱い。
「きみはいまだに、怒ると目に火花が散るんだね」
 面白がっているキアの頬をぴしゃりとたたきたかったが、ホープはなんとか自分を抑えた。「目そのものは変わらないって知ってた? 色も表情も。変わったように見えるのは、顔のわずかな筋肉の動きのせいなの。だから、わたしの目に火花が散るように見えたとしたら、それは幻想よ」
 驚いたことにキアは笑いだした。「ほかの部分も同じだ」薄青色の目がホープの口元に移った瞬間、彼の表情が変わった。「唇はどうなんだ、ホープ? ぼくが見つめるときみの唇はふっくらとなるが、それも筋肉のせいなのか? それとも、きみはぼくのキスを求めていると解釈してもいいのかな?」
「違うわ!」絶好の機会を逃してしまった。ホープはすぐさま後悔した。にっこり笑ってまつげをぱちぱちさせ、あなたを求めているわと表情で明確に示すべきだったのに。「あなたはとっても自制心があって……」
 ホープは最後まで言わせてもらえなかった。キアの親指が彼女の下唇に触れ、唇と肌の境目に沿って軽くなぞっていく。心臓が肋骨にあたって砕けそうなほど激しく鼓動しはじめた。彼女は渇望感がのぞくキアの目を見つめるばかりだった。冷たい炎が彼女の心と体を包みこむ。
 タイミングよく通りかかったウエイトレスが、シャンパンのトレイをさしだした。「お飲み物はいかがですか?」
 ホープはグラスを受けとったが、キアはわきに腕をたらしたままだ。
「シャンパンはいかがですか?」ウエイトレスが重ねて彼の気を引こうとする。
「いや、けっこう」キアは断り、ウエイトレスが立ち去るのを待って言葉を続けた。「きみは、根拠もないのにぼくに自制心があると信じている。男と女のあいだですべてに勝る武器は美しさであり、ぼくにはとてもじゃないが美に対する免疫はない。初めて会ったころのきみは危険なまでに美しかった。今はそれにいっそう磨きがかかっている。金色の輝きを放ち、豊かでエキゾティックで、さながら摘まれるのを待っている桃だ」
 キアの言葉とまなざしが、のみで削ったような唇が、ホープの体中の細胞を熱く焦がす。彼の顔に一瞬、むきだしの欲望がのぞいた。
「まるでわたしが盛りを過ぎた果物みたいな言い方ね」
「身構えなくても大丈夫だよ、ホープ。ぼくは無理強いはしないから」
 緊張をはらんだ沈黙が流れた。ホープは顔を上げ、小さな声で尋ねた。「なぜヌーサに来たの?」
「きみに会うためだよ、もちろん」
 嘘ばっかり。キアから視線を離したホープの目が、眉をひそめて二人の様子をうかがっているマーカスをとらえた。
「まことしやかなお返事ね。さあ、わたしはそろそろ失礼して、少し歩きまわらなくちゃ。あなたもそうしたほうがいいんじゃない? あなたと話したがっている人がたくさんいるみたいよ。この授賞式で手に入る利益を追求すべきなんじゃないかしら」
「残念ながら、今夜は別の約束があってね」キアは冷たい笑みをかすかに浮かべた。「解放してあげるから販売促進を続けてくれ。おやすみ」
 ホープは歯を食いしばり、しなやかに歩き去るキアを見送った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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