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清く儚い愛人 ディ・シオーネの宝石たち 5

清く儚い愛人 ディ・シオーネの宝石たち 5


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンスディ・シオーネの宝石たち
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 シャロン・ケンドリック(Sharon Kendrick)
 ウエストロンドン生まれ。写真家、看護師、オーストラリアの砂漠での救急車の運転手、改装した二階建てバスで料理をしながらのヨーロッパ巡りなど、多くの職業を経験する。それでも、作家がこれまでで最高の職業だと語る。医師の夫をモデルにすることもある小説のヒーロー作りの合間に、料理や読書、観劇、アメリカのウエストコースト・ミュージック、娘や息子との会話を楽しんでいる。

解説

たった1日だけのシンデレラ。ささやかな望みを、どうか叶えて。

空港で搭乗を待つウィローは、ハンサムな男性に声をかけられた。彼はダンテ・ディ・シオーネと名乗り、澄んだ青い瞳を輝かせると、顔を赤らめて戸惑うウィローの心を瞬時に開いて惹きつけ、去り際には大胆にキスまで奪って消えていった。私は夢でも見ているの?だがウィローの物思いはすぐにさめた。彼の鞄を取り違えて持ち帰ってしまったことに気づいたのだ。しかも驚いたことにダンテは名門一族の大富豪だとわかった。もしも彼が私の恋人として姉の結婚式に同席してくれたら、どんなに素敵だろう。1日だけでいい、お願いしてはだめかしら?

■幼い頃から病気がちで、大人になった今でも家族から何かにつけ過保護に扱われているウィロー。姉の結婚式に出席するためのパートナー役をダンテに頼みますが、それが予想外の熱い展開に……。イタリアの名門一族を描く作家競作シリーズ、いよいよ佳境へ!

抄録

「君はきっとインターネットで僕のことを調べたに違いない」ダンテは言った。
 ウィローがぱっとこちらを向いた。彼女の顔に初めてためらいがうかがえた。「ええ、調べたわ」
「それで知りたいことはすべてわかったんじゃないのか?」
「そうでもないわ。曖昧な点もあったし」
「自分のプロフィールを曖昧にしておくために、大金を払っているんだ」
「なぜ?」
「君が投げかけたがっているような質問を避けるためだ」
「その長い私道をまっすぐ進んで。右側の大きな木を過ぎたところが玄関よ」ウィローは身を乗り出してそちらを指さしてから、再び革張りのシートにもたれた。「あなたにはきょうだいがたくさんいると書かれていたわ。それから双子のお兄さんも。双子がいるってどんな感じなのかと思っていたの。よく言うように、口に出さなくてもお互いの意思が伝わったりするのかしら。それに――」
「それに、なんだ?」ダンテが鋭く口をはさんだ。
 ウィローは言葉を切ると肩をすくめ、静かに続けた。「あなたのご両親についてはほとんど書かれていなかったわ」
 ダンテは大きな屋敷の前で車を止めた。立派な建物だが、はげた塗装や古めかしい雰囲気のせいで、その魅力は色あせてしまっている。ダンテはハンドルにかけた手に力をこめた。ウィロー・ハミルトンは仲たがいしている双子の兄についてのんきな感想を口にした。それだけでも腹立たしいのに、さらに悪いことに、僕が自分の過去から冷酷に消し去った事実にまで触れた。僕のプロフィールで両親のことがほとんど触れられていないのは、理由があるからに決まっている。彼女はそれに気づかないのだろうか?
 ダンテの中にゆっくりと怒りがわいてきた。ティアラのことさえなければ、彼女をここに置いてさっさと走り去るところだ。家族に関して立ち入った質問をすることは許さない。それはどんなデートのときも相手に最初に伝える基本ルールだ。
 だが、これはふつうのデートではない。目的達成のための手段だ。あらわになったウィローの膝を見おろし、ダンテはかすかな欲望を覚えた。こういう無用ないらだちを避けるために、明らかに手に入るはずの見返りをそろそろ求めてもいいころだろう。
「僕の生まれやきょうだいについて知ることが、今の状況でとくに役に立つとは思えないな」ダンテは冷静に言った。「そんなことより、お互いがどうしたら興奮するか知っておくほうが大事だろう。恋人同士として、僕たちはおおいに親密な雰囲気を漂わせる必要がある。君のことをもう少し詳しく知っておかなくては」
 そして、ウィローが何が起きているのか察する前に、ダンテは二人のシートベルトをはずし、彼女を腕の中に引き寄せた。ウィローはブルーの瞳がサーチライトのように体を這うのを感じたが、その瞳の奥にある何かに不吉な予感を覚え、背筋がぞくりとした。この男性は私の手には余る相手で、関わるべきではないとわかったからだろうか? 彼女は本能的に身を引こうとした。けれども、ダンテは穏やかな声で笑い、キスするために身をかがめた。
 二人の唇が触れ合うと、ウィローは信じがたい思いで鋭く息を吸いこんだ。空港で交わした物憂げなキスとは違っていた。ダンテは別人のようで、自分がどれだけ女性に対して手慣れているかを臆面もなく見せつけた。あらゆる意味で男らしいダンテ・ディ・シオーネがこの場を支配するのだと宣言するように。ひとかけらの感情もこもっていないそのキスが彼にとってなんの意味も持たないことは、ウィローにもわかった。
 それでも、キスに応えるのをやめられなかった。
 まるで真っ暗闇からまぶしいほど明るい光の中へ踏み出したみたいな気分だわ。
 さぐるようなダンテの唇に巧みに誘われ、ウィローは唇を開いた。彼が舌を使ってキスを深めてくると、胸の先が硬くなるのを感じた。最初に触れられた瞬間から私がなんの抵抗もできずにいたことを、彼は知っているのかしら? だからワンピースの上からうずく胸に触れてきたの? ウィローは喜びの声をもらし、ダンテの首に腕を回した。脚の間が急に熱くなり、欲望のせいで甘く脈打っている。信じられないほど心地よい。ウィローは有頂天になった。もっと欲しい。彼が欲しくてたまらない。
 ウィローがかすかにもらした声を聞き、ダンテが顔を上げた。ブルーの瞳は欲望に陰っていたが、その奥底にはまぎれもなく嘲りの気配があった。
「やめてほしいかい、ウィロー?」彼がからかうように尋ねた。その言葉は甘い愛撫のようで、ウィローは一日じゅうこんなふうに話しかけてくれたらいいのにと思った。「それとも、もっと触れてほしい?」
 ダンテの手がワンピースの裾から入りこんできて、ウィローは息をのんだ。彼の指先が素肌に触れ、キスが再開されると、脚の間がさらに熱くなった。ダンテは冗談っぽく同じ質問を繰り返したが、その声は、重なったウィローの唇にかき消された。ダンテの指が彼女の腿へと少しずつすべっていく。
「どうなんだ?」
 鼓動がますます激しくなるのを感じながら、ウィローは質問に答えようとして口を開いた。その瞬間、砂利を踏む足音がいきなりキスに割りこんできた。まるで固い岩が薄い氷を粉々に砕くように。ウィローはしぶしぶ目を開け、ダンテから唇を離した。すると、車の窓ごしに自分たちを見ている姉の仰天した顔がちょうど目に入った。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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