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和書>小説・ノンフィクションハーレクインシルエット・ディザイア

ミステリアスな彼

ミステリアスな彼


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ディザイア恋を知った男たち
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 スーザン・クロスビー(Susan Crosby)
 作品がベストセラーリストに度々登場する実力派作家。夫と二人の成人した息子がおり、カリフォルニアのセントラルヴァリーに住んでいる。七年半かかって大学を卒業し、数年前に英語の学士号を取った。シンクロナイズドスイミングのインストラクター、おもちゃ会社の面接官、トラック会社の管理者として働いた経験を持つ。長年、地元のコミュニティシアターの裏方をつとめ、一度だけ舞台に立った経験もある――らくだの後ろ足として! さまざまな経験が、おもしろい小説を書くのに役立っていると語る。

解説

 ジュリアンヌがプロモントリー島を訪れてから、数週間がたつ。ここに来たのは島にあるホテルで雇われたからだが、実際はホテルとは名ばかりで、広大な屋敷に宿泊客の姿はない。仕事も、よくわからない数字をパソコンに入力するだけの毎日だ。何より不可解なのは、雇い主のザック・ケラー。ハンサムでとてもセクシーなのは認めざるをえないけれど、プライベートがまったく見えず、謎めいている。ある日ザックの留守中、ジュリアンヌは好奇心を抑えきれなくなり、入ってはいけないと言われていた彼の部屋に忍び込んだ。それが悪夢の始まりだった。
 ★ご好評いただいたミニシリーズ『恋を知った男たち』もついに最終話。2007年8月も、リッチで孤独な影を持つヒーローが登場します。彼の秘密とはいったい?★

抄録

 ジュリアンヌの心臓が突然激しく打ちはじめた。勝手に仕事部屋へ入ったことに、ザックは気がつくだろうか?
 落ち着くのよ。でないと、人一倍観察力の鋭い彼に、後ろめたいことをしたのがばれてしまう。「もしザック宛《あ》ての郵便物があったら、渡しておくわ」
 リルは二通の封書を握りしめた。「わたしも一緒に行くわ」
 近づいていくと、ザックは二人に手を振った。ミスター・ムーディはジープに先に乗りこんで待っている。
「散歩に出てきたの」ジュリアンヌは彼にきかれる前に言った。彼の返事を待つ間、明るいブルーの瞳にじっと見つめられ、きまりが悪くなった。「それで、ええと、帰りは車に乗せていってもらおうかと思って」
「いいとも」ザックはリルと同じように怪訝《けげん》そうな目つきでジュリアンヌを見つめた。やがてその目をリルに向けた。「調子はどうだい?」
「上々よ」リルが郵便物を手渡した。「そっちは?」
「まあまあだ。何か変わったことは?」
「別に」リルが答える。「特に何も」
 二人の間にはなにやら独特の空気が漂っている。まるで二人だけに通じる暗号を交わしあっているかのように、特別な何かが。ジュリアンヌはのけ者にされた気分だった。二人の間にあるものはひょっとして、秘密の部屋の壁に貼られていた写真と関係があるのだろうか? リルもあの写真とかかわりがあるの? だとしたら、それはいったいなんだろう?
 ジープを降りると、ザックはジュリアンヌに声もかけずにさっさと屋敷へ戻ってしまった。困惑とかすかな胸の痛みを覚えながらジュリアンヌは急いで彼のあとを追ったが、ザックの姿はとっくに見えなくなっていた。ジュリアンヌはぶらりとリビングへ入った。ピアノ用の椅子の上に、紐《ひも》で縛られた茶色い包みが置かれていた。ジュリアンヌは周囲を見回した。わたしにかしら?
 紐をほどくと、紙袋の中から楽譜の束が出てきた。ディズニーの曲からカントリーミュージック、映画音楽、ラグ、スタンダード・ナンバーに至るまで、ありとあらゆるジャンルの楽譜が揃《そろ》っている。ジュリアンヌの目頭が一瞬熱くなった。わたしはザックの信頼を裏切るような行為をした。それなのに、彼はわたしのために楽譜を買ってきてくれたのだ。
 ジュリアンヌは楽譜の束を抱きしめ、熱い胸のときめきを噛《か》みしめた。ザックの部屋に勝手に入ったことを打ち明けるべきだろうか? ええ、そうよ。子供じゃないのだから、自分のしたことの責任はとらなければ。夕食がすんで、ザックがくつろいだ気分でいるときに打ち明けよう。
 それまでこの楽譜にひと通り目を通し、どれかを選んで練習しよう。
「ジュリアンヌ」
 ザックが戸口に立っていた。
「ザック!」ジュリアンヌは彼のもとへ駆け寄った。「どうもありがとう。まさかあなたが――」
「ちょっと来てくれ」
 ザックの顔つきはこれまで見たことのないものだった。感情を抑えているが、ぞっとするほど冷たく、人を寄せつけない雰囲気が漂っている。ジュリアンヌは彼のあとに従い、廊下を進んでいった。ザックは秘密の部屋の前で立ち止まり、ドアノブを回して扉を押し開けると彼女を中へ促した。耳の奥で、心臓の鼓動が激しく高鳴った。
 ザックは知っている。気がついているんだわ。
 ジュリアンヌがぎこちない足取りで部屋の中へ入ると、ザックは背中で静かに扉を閉めた。音もたてずに。目に見えない生き物のごとく、緊張感が部屋じゅうに漂っている。壁に貼られたおびただしい数の写真の目が、責めるようにジュリアンヌに向けられている。
「ジュリアンヌ、ぼくはきみにひとつだけ忠告したはずだ。この部屋とタワールームには決して立ち入るな、と。きみはその指示を破ったんだな」
「今夜、打ち明けようと思っていたの。わたし――」
 ザックは手で彼女の言葉を制した。
「きみは大きな罪を犯したんだ。取り返しのつかないことを」彼は指で髪をかきむしった。「おかげで、大変なことになってしまった」
「わたしには、何がなんだか訳がわからないわ」ジュリアンヌは室内を見回し、この写真が何を意味しているのか改めて考えてみた。ザックはこの部屋に監視カメラを設置していて、わたしの侵入を悟ったのだろうか。
 ザックのほうへ歩み寄った瞬間、ふいに、あの女性が誰だったかを思い出した。改めて写真に目をやった。先月テレビ報道で見た女性だ。何者かに拉致《らち》され、無残な死体となって発見された被害者だった。
 ジュリアンヌは思わず後ずさった。
 ザックがすっと目を細めた。「この写真のどれかに見覚えがあるんだな」
「いいえ、そんな――」
「知っているはずだ」ザックは戸口に立ちはだかり、ジュリアンヌの行く手をふさいだ。「どれだ?」
 ジュリアンヌは女性の写真を指差した。「彼女よ。この人」ジュリアンヌはザックの脇《わき》へ回りこもうとした。
「ぼくが怖いのか」ザックは驚いたように言った。まるで、怖がられる理由など思いつかないとでもいうように。「ぼくが彼女の誘拐事件にかかわっていると思っているのか? 彼女を殺した犯人だと?」
「そうなの?」
「いいや。断じてそんなことはない。信じてくれ」
「どうして信じられるの?」
「ぼくがそう言ったからさ」
「ぼくがそう言ったから?」ヒステリックな、引きつった笑い声がジュリアンヌの口からもれた。「あなたの信頼を裏切ったことは後悔しているわ。でも――」
「後悔している? ああ、そうだろうとも。だが、本当に後悔するのはこれからだ」ザックは彼女の顎に手を当て、顔を上向かせた。「きみはぼくと結婚するんだ」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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