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愛は命がけ

愛は命がけ


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆3
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著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 アラバマ州の小さな田舎町で生まれ育ち、現在もそこで夫ギャリーと暮らす。"ロマンスの女王"と呼ばれ、ニューヨークタイムズやUSAトゥディのベストセラーリストの常連。アメリカのロマンス小説部門でさまざまな賞を獲得し、日本でも女性読者の熱狂的な支持を受けている人気作家である。6人兄弟の2番目として生まれ、幼いときから読書を好んだ。初めて創作を手がけたのは9歳のとき。それ以来、自分の楽しみのために物語を書き続けていた。地元の短大に進学したが中退。その後はトラック運送会社に勤め、17年間にわたって経理関係の仕事に携わる。24歳のときに結婚し、同時に、夫の先妻の子である3人の母となった。1980年、思い切って原稿を出版社に送ったことをきっかけに、ついにプロの作家としてデビュー。30歳のときであった。その非凡な才能が世に認められ、1986年からは作家業に専念している。1998年には『マッケンジーの山』で、ハーレクイン社の読者コンテストでベスト作品賞、ベストヒロイン賞、ベストヒーロー賞の三冠を獲得している。その他、『炎のコスタリカ』などの作品がある。

解説

 暗闇に横たわり、ベアリーは恐怖と憎悪と闘っていた。ギリシア大使の娘を狙った政治的誘拐であるのは明らかだ。先ほど受けた暴行のせいで、体中が悲鳴をあげている。再び連中の言いなりになるくらいなら、死んだほうがまし……。そのとき暗い部屋にするりと黒い影が忍びこんだ。ベアリーの背筋に冷たいものが走る。だが男はすぐさま、合衆国の救出隊員だと名乗った。危険なほどに屈強な戦士ゼイン・マッケンジーとの、二人きりの逃亡劇が幕を開けた!
 ★リンダ・ハワードの最高傑作シリーズマッケンジー家の物語★

抄録

 犯人グループにあれだけの屈辱と苦痛を与えられたあとでは、ゼインの気づかいや優しさは鎮痛剤のようによく効いた。ベアリーは自分が受けたダメージの深さをはかる間もなく癒され、慰められていた。そして自分でも気づかないうちに、彼を異性として見るようになっていた。それが自然ななりゆきだったのだ。
 犯人グループは彼とは正反対で、わたしを辱めるのが楽しくて仕方がないようだった。連中はいまもまだ街じゅうを捜しまわっているのだろうから、リビアから脱出するまではまたつかまる可能性がある。そしてつかまったが最後、今度こそレイプされてしまうだろう。
 いやだ。そんなことには耐えられない。でも、もしその耐えられないことが起こったとしても、あいつらの卑しい期待には絶対こたえたくない。あんな連中にバージンを奪われてたまるものですか。
 これまでは処女なんて単なる未経験の別名だというぐらいにしか思っていなかった。スイスの学校にいたときには、たまに男の子と知りあってもたいしてときめかなかったし、卒業してからは父親の監視が厳しく、大使館の仕事が忙しかったせいもあって、外でのつきあいはほんのわずかしかなかった。たまたま出会った男性にもやはり心はひかれなかった。エイズの脅威もあることだし、ただ経験してみたいからというだけで男性と関係を結ぶ気にもなれなかった。
 でも、わたしなりにロマンスへの夢はあった。出会って、恋して、結ばれて……。実に単純な、ごくふつうの夢だ。
 その夢もあやうくあいつらにめちゃめちゃにされるところだった。もし救出がもう少し遅れていたら、わたしは心に癒しきれない傷を負い、もう一生男性を信じることも愛することもできなくなっていただろう。ゼインが助けてくれなかったら、わたしの初体験はレイプによる暴力的なものになっていたのだ。
 いや。絶対にいや。
 たとえまたあいつらにつかまったとしても、あの夢を踏みにじられるのはいやだ。
 ベアリーはふらりと立ちあがり、ゼインが座っているほうに二、三歩踏みだした。その動きで彼の全身にたちまち緊張感がみなぎったが、彼は動こうとはしなかった。ベアリーは彼の前で立ちどまった。薄闇《うすやみ》の中でグリーンの目をきらめかせ、彼をじっと見おろす。彼はなんとも読みとりがたい表情でベアリーを見つめかえした。
「わたしを抱いて」ベアリーはかすれ声で言った。
「ベアリー……」言いかけたゼインの声は優しいが、彼が拒絶するつもりでいるのは明らかだった。
「いや!」ベアリーは激した口調で言った。「よく考えろとか、自分の言ってることがわかってないんだなんて言わないで。あなたは信じてないんでしょうけど、わたしレイプはされなかったわ。力ずくで裸にされ、なぐさみものにされたのは事実だけど」そこで気を落ち着けようとして深呼吸する。「わたしもばかではないから、まだ危険が去ってないってことはわかるの。この国から脱出する前にあなたやあなたの部下が負傷し、あるいは殺され、わたしは結局またあの連中につかまってしまうかもしれない。わたし、まだ一度も男性経験がないの。初めての経験がレイプなんていやなのよ。わかってくれるでしょう?初体験の相手はあなたであってほしいの」
 ゼインはびっくりしたようだが、例によって感情はほとんど表に出ていない。壁に預けていた上体を起こし、射るような目でじっとベアリーを見つめている。
 まだ拒絶する気なのだ。そんなの耐えられない。「ほんとうにレイプはされなかったのよ。経験がないんだから、病気を持っているはずもないわ。もしそれを心配しているならね」
「違う」どこか緊張をはらんだ声音でゼインが言った。「そんな心配をしているわけではない」
「だったらこれ以上哀願させないで」ベアリーは両手を握りしめながら言った。
 ふとゼインの目つきがやわらぎ、あたたかな表情をたたえた。「哀願なんかしなくていいよ」そっと言うと、しなやかな身のこなしで立ちあがってベアリーと向きあう。その瞬間ベアリーは彼との体格の差を強く意識し、自分はいったい何をやっているのかと頭が混乱しそうになった。ゼインは彼女の横をすりぬけ、毛布のところまで行って手でしわを伸ばすと、その上にあおむけに横たわった。すべてを知りつくしているような老成した遠い目で、ひたとベアリーを見つめる。
 彼にはわかっているのだ。わたし自身もいまのいままで気づいていなかった、わたしのほんとうの欲求を。彼の目を見て、自分が何を望んでいるのか初めてわかった。彼はじっと横たわり、わたしのなすがままになろうとしている。ベアリーは胸をしめつけられる思いがした。彼はわかっている。わたしの内に渦巻く思いを。わたしがこんな慎みのないめちゃくちゃなことを言いだした理由を。わたしはただ初めてのセックスを自分の意思で、自分の選んだ相手と経験したいだけではないのだ。ゼインは犯人グループがわたしから奪ったものを返そうとしてくれているのだ。わたしはあの連中に裸にむかれ、縛りあげられ、なすすべもなくなぶりものにされた。その屈辱を晴らし、男という人種への復讐《ふくしゅう》を果たし、自分の体を自分のものとしてとりかえしたい。それをゼインは、自らの肉体を投げだすことによって手助けしてくれようというのだ。
 わたしは受け身の形で抱かれたいのではない。わたしのほうが彼を抱き、わたし自身のペースでことを運び、最後までリードする立場でありたいのだ。そしてゼインはそれをさせてくれるつもりでいる。自分の体をわたしの前に投げだしている。
 ベアリーは息をつめて彼の横にひざまずいた。よく日焼けした肌に吸いよせられるようにそろそろと手を近づけ、衝動が不安に打ち勝った瞬間、心臓をとどろかせながらも彼のたくましい胸にそっと指先を触れる。まるで虎《とら》を愛撫《あいぶ》するような手つきだ。危険と知りながら、豊かな手ざわりを確かめたくて手を出さずにはいられない。用心深く手のひらをおろしていくと、弾力に富んだ分厚い筋肉が、そしてその下のがっしりした骨格が感じられた。心臓はリズミカルに鼓動を刻み、肋骨《ろっこつ》は呼吸にあわせて上下している。呼吸も心臓の鼓動も通常より速くなっているようだ。
 それに気づいたベアリーはちらりと彼の顔を見て、思わず頬を染めた。彼の目は熱にうかされたようにとろんとして、唇は血の色をましている。彼の中で、男の欲望に火がついたのだ。誘拐犯たちの顔にむきだしになっていた欲望は醜悪で残忍だったけれど、ゼインの顔には欲望の甘美な一面が表れている。それでもベアリーはこの瞬間まで男の欲望という要素を度外視していたので、思わず手を引っこめた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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