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あなたを忘れたい テキサスの恋 33

あなたを忘れたい テキサスの恋 33


発行: ハーレクイン
シリーズ: シルエット・ディザイアテキサスの恋
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。

解説

 テリーはJ・Bに、七年ものあいだ片思いをしている。J・Bは富と権力を持つ名うてのプレイボーイで、身よりのないテリーを引き取ってくれた、彼女にとって家族同然の存在だ。いつかは彼が振り向いてくれるかもしれない……そんなテリーの淡い願いは、ある日J・Bに浴びせられた言葉によって完膚無きまでに打ち砕かれた。「僕がきみみたいな小娘を求めると思うか? 」心を引き裂かれたテリーは、家を飛び出し、雨の中車を走らせた。ひどい雨と込みあげてくる涙のせいで、視界がぼやける。もうこんな思いをするのはいや。何もかも忘れられたらいいのに……。カーブを曲がりきれず、道に車が横転したのはそのときだった。
 ★大人気シリーズ『テキサスの恋』の最新刊をお届けします。随所に登場する、懐かしい人物たちの近況にもご注目ください!★

抄録

 テリーはJ・Bに夢中になった。とても裕福で気性の激しい男性。ジェイコブズビル付近に何百エーカーもの牧場地を所有し、純血種のサンタ・ガートルーディス牛を育て、百年の歴史を誇る牧場で地元の名士たちをもてなす。屋敷には一流のフランス料理のシェフと、すさまじい癇癪《かんしゃく》持ちのネルという家政婦がいた。ネルは家だけでなく、J・Bも切り盛りしていた……ある程度は。ロデオ大会のチャンピオンとして腕を鳴らしたJ・Bの交友関係は、高名な政治家、映画スター、海外の王族など多岐に及んだ。洗練された物腰はスペイン人の祖母譲り、莫大《ばくだい》な富は英国貴族の祖父から受け継いだものだ。いかにもアメリカ人らしく家畜事業を展開しているが、先祖をさかのぼればヨーロッパに行き着いた。
 J・Bの存在は人々にとって脅威でもあった。地元では、『ロード・オブ・ザ・リング』の秘剣のレプリカを振りまわし、ラルフ・バローズを着の身着のまま追い出したことで知られていた。バローズは酔って牧場に帰り、明け方に家畜の駆り集めをしている最中に宿舎にこっそり戻ろうとした際に、J・Bのお気に入りのジャーマン・シェパードに吠《ほ》えかかられて発砲したのだ。牧場では飲酒は禁じられていた。動物を傷つける者もいない。牧場長から報告を受けるなり、J・Bは銃の棚の鍵《かぎ》を取りに行くのももどかしく、とっさに壁に飾ってある剣をつかむと宿舎めがけて飛び出した。犬は一命を取りとめたが、ひどく足を引きずるようになった。以来、バローズの姿を見かけた者はいなかった。
 牧場で盛大なパーティを催しながらも、J・B自身は社交的な人間ではなかった。プライベート・ジェットで連れまわす数多《あまた》の美女を除けば、他人とかかわることはない。とにかく短気で、富と地位のおかげで好き放題にふるまっていた。そんな彼にとってテリーは誰よりも、実の妹マージよりも近い存在だった。父親の死後、酔って暴れまわった彼を、当時十四歳のテリーが面倒を見た。J・Bが部屋じゅうの物やパソコンを壊しているとネルがあわてて連絡してきたとき、彼の家に駆けつけたのはテリーだ。J・Bをなだめて落ち着かせ、シナモンコーヒーで酔いをさまさせたのもテリーだった。
 それ以来、せっせと世話を焼くテリーをJ・Bは黙認してきた。傍目《はため》にはJ・Bは彼女の所有物、特別な男性のようだった。もっとも、誰も口には出さなかった。テリー自身でさえ。だがJ・Bを独り占めしたい気持ちは強く、年ごろになると、ひっきりなしに彼の人生に出入りする女性たちに嫉妬《しっと》心をつのらせた。おもてに出すまいとするものの、その努力は徒労に終わった。
 十八歳のとき、J・Bの恋人に心ないことを言われたテリーは、ついかっとなって言いかえした。“彼の家族に失礼な態度をとったら、捨てられるのも時間の問題よ”
 その女性が帰るなりJ・Bは怒りを爆発させた。緑の目はエメラルドのごとく燃えあがり、豊かな黒髪は怒りで逆立っていた。“僕はきみの所有物ではない。わがもの顔にふるまうのをやめなければ、出ていってもらおう。そもそもきみは家族でもないんだ”彼は無慈悲にもつけ加えた。“どんなことであれ、僕の人生に口を出す権利はないはずだ”
 テリーも負けてはいなかった。“あなたの恋人はみんな似たり寄ったりだわ……脚が長くて、胸が大きくて、見た目は美しいけれど頭はからっぽ”
 J・Bはテリーの小さな胸に目をやり、冷たく言い放った。“きみとはまったくタイプが違うな”と。
 頭に血がのぼったテリーは、彼に平手打ちを食らわせた。すぐに後悔したが、謝る間もなく引き締まった長身に抱き寄せられ、四年後のいまも思い出すと膝が震えるほどのキスをされた。あれはたしかに罰だった。だが抗議しかけて力なく口を開くなり、たくましい体に包みこまれてかすかな震えが走った。
 そのままソファに押し倒され、J・Bがおおいかぶさってきた。キスは少しずつ激しく、執拗《しつよう》に、熱を帯びた。骨ばった大きな手がブラウスに潜りこんで胸に達すると、頭が真っ白になった。あまりの衝撃に、彼を押しのけて逃げようとした……。
 テリーは現在に意識を戻した。あのとき無理やり体を離したJ・Bは、ますます激高していた。許しがたいことをしたかのように彼女をにらみつけ、僕の前から消えろ、二度と近づくな、と激しい口調で言い捨てた。その週、テリーは大学へ出発する予定だったが、J・Bは別れも告げなかった。あの日以来、彼はテリーを無視しつづけた。
 休暇がやってきては過ぎた。緊張は少しずつやわらいだが、J・Bは二人きりになるのを避けていた。テリーの誕生日やクリスマスにはプレゼントを贈ってくるものの、パソコンやソフトウェア、彼女の好きな伝記や歴史書など、他人行儀なものばかりだった。一方のテリーはネクタイを贈った。正確には、毎年の誕生日とクリスマスに、同じ柄のネクタイを贈りつづけた。たまたま出かけた閉店セールで二箱分買ったのだ。これでJ・Bのプレゼントには一生困らないわ、とテリーは考えた。毎回同じ奇妙な贈り物に、マージは首をかしげたけれど、本人は文句ひとつ言わなかった。箱を開けるたびに礼は言うが、それだけだった。おそらく捨てているのだろう。一度も身につけたことはなかったから。テリー自身、彼が身につけるとは思っていなかった。何しろ恐ろしくセンスが悪い。黄色地に、赤い目をした不気味な緑の竜の柄。たっぷりあと十年分はある。
「支度はできた、テリー?」入口からマージが呼ぶ。
 長身で髪が黒いところは兄と同じでも、マージの目は茶色でJ・Bの緑とは異なる。親切で性格は穏やか。仕事にも熱心で誰からも好かれていた。夫に先立たれて長いが、ほかの男性には目もくれない。“相手を失っても愛が消えないこともあるのよ”折に触れてマージは語った。“あの人以上の男性にはめぐりあえないわ。めぐりあいたいとも思わない”
「あとブラウスを何枚か詰めるだけ」テリーは笑顔で答えた。
 ドーンとブランディは寮の部屋を興味深げに歩きまわっている。
「次はあなたたちの番よ」テリーは請けあった。
「私はパス」十六歳の妹のドーンがにやりとした。「農業大学を出たら、J・B伯父さんみたいに大牧場主になるから」
「私は弁護士になるの」秋にはハイスクール最上級生になる十七歳のブランディは、笑みを浮かべて言った。「貧しい人の力になりたいわ」
「この子ったら、いまからなんでも交渉を持ちかけてくるのよ」マージがテリーにいたずらっぽくウインクした。
「あら、私にもよ」テリーは認めざるをえなかった。「お気に入りのジャケットを持っていかれたままなの。まだ一度も袖《そで》を通していないのに」
「私のほうがずっと似合うわ」ブランディが胸を張った。「赤はテリーの色じゃないもの」
 言われなくてもわかっているわ、とテリーはひそかに思った。J・Bのことを考えるたび、頬が赤らんでしまうから。
 スーツケースに荷物を詰めるテリーを、マージは重苦しい表情で見守った。「本当に、牧場で非常事態があったのよ」やさしく話しかける。「家畜小屋が火事になったの。ジェイコブズビルの消防車が残らず来て、火を消しとめたそうよ」
「そうよね、きっと何もなければJ・Bも来てくれたわ」テリーはそう言ったものの、本心ではなかった。最近では彼はテリーに目もくれない。できるかぎり避けていた。ひょっとしたらあのネクタイに腹を立てて、自分で小屋に火を放ったのかもしれない。小屋が巨大な竜のネクタイに見えて。そう考えるとおかしさがこみあげ、テリーは声をあげて笑った。
「何がそんなにおかしいの?」マージはからかった。
「想像したの。もしかしたらJ・Bの頭がおかしくなって、竜のネクタイがあちこちに見えて……」
 マージもくすくす笑った。「だとしても驚かないわ。あのネクタイ、とにかくひどいんですもの」
「彼にお似合いよ」茶目っ気を抑えきれずにテリーは言った。「いつか、つけてくれると信じているわ」
 マージは口を開きかけたが、喉まで出かかった言葉をのみこんで、かわりに言った。「そうね、息をこらして待つつもりはないけれど」
「今月の恋人は誰かしら」テリーは疑問を口にした。
 マージは眉を上げた。テリーの言いたいことはわかった。マージ自身、兄が二度と本気で女性を愛することはないだろうとあきらめていた。「キングストンの従妹《いとこ》よ。フォートワース出身で、ミス・テキサスのコンテストで準優勝したの」
 テリーは驚かなかった。J・Bの恋人はブロンドの美女ばかりだ。これまでにエスコートした若手女優は数知れない。顔立ちもスタイルも平凡なテリーが、そうした美しい女性にかなうはずもなかった。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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