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罪なき誘惑【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】

罪なき誘惑【ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ヘレン・ディクソン(Helen Dickson)
 イングランド北東部サウス・ヨークシャーの緑豊かな土地に、30年以上連れ添う夫とともに住む。自然をこよなく愛し、読書や映画鑑賞、音楽鑑賞が趣味で、とりわけオペラに目がない。調査のために図書館で何時間も過ごすこともあるが、想像と史実の絶妙なバランスがいい物語を生み出すと語る。

解説

無垢な娘の罪なき誘惑は、不幸せな結婚への序章……。

二十歳のルイーザは決意を胸にロンドンのとある屋敷へやってきた。両親亡きあと、家督を継ぐはずの兄ジェームズは放蕩の限りを尽くし、故郷にも戻らず、毎夜賭事をしては大金をすっている。今すぐあの悪習を断たなければ、唯一残った館も人手に渡ってしまう。だが時すでに遅く、兄は一世一代の大勝負に出ていた。相手はカードの名手で社交界の重要人物、アリステア・ダンスタン卿。案の定、勝負を制したアリステアはしかし、その後に大きな過ちを犯す。ルイーザをジェームズの愛人と思いこみ、露骨に言い寄ったのだ。無垢な彼女は館を守りたい一心で、捨て身の作戦に出た。「4000ギニーいただけるなら、ひと晩、お相手を務めます」

■頽廃の香り漂う18世紀ロンドン社交界。男は思った――誰の愛人だろうとかまわない、彼女が欲しい。女は思った――愛してもいない人に惹かれるって、こういうものなの?それぞれの思惑は外れ、事態は予期せぬ方向へ……。誤解と偏見が生む、愛の煩悶の物語。
*本書は、ハーレクイン文庫から既に配信されている作品のハーレクイン・ヒストリカル・スペシャル版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「ずいぶん不公平な取り引きだ」
「わたしは自分の価値をわかっています」
「本物の娼婦がしゃべっているようだ」アリステアがそう言うと、彼女はきまり悪そうにした。「だが、ぼくがきみの申し出を気に入らなかったらどうする? 四千ギニーでは高すぎると言ったら?」
「きっと後悔なさいますわ。わたしの目的はずばりお金です」
「そうだろうとも。きみたちの行為はすべて金のためだ」
 彼の皮肉な言い方に、ルイーザは頬を赤らめた。さまざまな感情が次々にルイーザの顔をよぎり、目を曇らせた。彼女はよそよそしい顔つきになった。
「そうとは限りませんわ」ルイーザの心には怒りと自尊心が渦巻いていた。「前にも申しあげたように、わたしは娼婦ではありません」彼に娼婦だと思われた悔しさに、声が震えそうになる。
「体を売ることはしないというのか?」
「していません。これが初めてだと言ったら、びっくりなさるかしら」
「すると、そのような犠牲もいとわないほどミスター・フレイザーを大切に思っているのか?」アリステアは嫉妬に身を切られそうだった。
「ええ、とても」
 アリステアはうなずいて彼女に近づいた。ぼくと体を重ねたら、フレイザーのことなど忘れさせてやる。
 ダンスタン卿が近づけば近づくほど、彼の振りまく妖しい男の魅力に圧倒されそうになる。ルイーザは恐怖を抑えて必死に冷静さを保った。彼はわたしが態度を変えないので、いらだち始めている。そう思うと、うれしくなった。
 彼はその端整な顔立ちと男性的魅力と莫大な財産があれば、指を鳴らすだけでどんな女も喜んで一夜を共にすると思っているようだ。わたしはほかの女とは違って、そう簡単に思いどおりにならないことを教えてやるわ。アリステア・ダンスタン卿は女に負けることには慣れていない。女に負けるのは自尊心が許さない。だから、よけいにわたしを征服したくなるはずだ。だが、ルイーザはダンスタン卿によって引き起こされた強い感情にとまどっていた。
「それでは、どう言えばいいのだ?」ダンスタン卿が言った。ルイーザの目をのぞき込むその瞳は強く訴えかけている。「ひと夜の契りのために四千ギニーを払って、どんな見返りを期待できるのだ? こちらが払う金に見合うだけのものを受け取れるのか?」
 ダンスタン卿の目はルイーザの目をとらえて離さなかった。彼の整った顔に、誘惑するような笑みが浮かぶ。ルイーザは自らの意思とは反対に、彼に惹かれていくのを感じていた。この場を立ち去ったほうがいいのはわかっていたが、こういう経験に乏しい彼女にはそれができなかった。遅ればせながら警告の鐘が頭のなかで鳴り響く。ダンスタン卿の形のいい唇に見とれていると、彼がさらに身を寄せてきた。口づけをされると知り、ルイーザは恐怖に駆られた。
 罠にかかったことはわかっていた。だが、ルイーザはダンスタン卿の魅力のとりこになってしまった。心臓が狂ったように打ち始めた。ダンスタン卿はルイーザの目をのぞき込み、彼女を魅力という魔法の糸でがんじがらめにして、逃げだせないようにした。
「さあ」彼はかすれた声で言った。「どんな見返りがあるのか、教えてくれ」
 ダンスタン卿の曇った瞳の奥に宿るむきだしの情熱にルイーザはすっかり魅せられ、その声にうっとりし、なにがなんだかわからないうちに自ら彼の腕にするりと入り、欲望と恐怖に全身を震わせた。ダンスタン卿が顔を近づけて唇を重ねた。
 口づけの衝撃は荒々しく、やさしく、そして官能的だった。今まで経験したことのない感情がルイーザの胸にわきあがった。彼の力強い手がルイーザの背骨に沿って動き、お尻を撫でてから腕へ、そして首へと上がってきた。その跡が燃えるように熱い。彼の腕に抱きすくめられ、唇と手の動きに刺激されて、ルイーザは彼に体を押しつけた。本能的な興奮が全身を駆け抜けた瞬間、体が勝手に動きだす。彼女の唇がアリステアの唇の上で奔放に動き、彼の欲望を満足させた。
 抵抗する気持ちはうせていた。ルイーザはジェームズの借金を棒引きしてもらうためにアリステア・ダンスタン卿に身をゆだねることに、なんの疑問も感じなくなった。甘美な口づけに身を任せ、彼の舌に唇を開いて応える。ダンスタン卿にこれほど恋い焦がれていたとは思ってもみなかった。ルイーザは無意識のうちに彼の広い肩に腕をかけ、片手で首のうしろを撫でおろした。未経験のルイーザにとってそれは自然な動きだったが、アリステアにとっては、経験豊富な女の動きにしか思えなかった。
 永遠とも思える時間が過ぎ、彼はルイーザから唇を離した。ルイーザはエデンの園から現実に引き戻された。その顔は情熱の余韻を浮かべ、目はきらきら輝いていた。
「どれだけきみが欲しいか、これでわかっただろう」アリステアはルイーザの口もとに唇を寄せたままささやいた。彼女の反応に満足し、自分の愛人になるよう説き伏せるのもわけはないとたかをくくっていた。「きみもぼくに抱かれたいのだろう?」
 純情なルイーザは感情を隠すこともできずに彼を見あげた。彼女の顔は今の気持ちを正直に表していた。愛してもいない男性に惹かれるというのはこういうことだったのだ。なんと淫らな。ルイーザはダンスタン卿の暗くけむる瞳を見て、全身が焼きつくされるような感覚を味わった。
 彼はルイーザを放した。ルイーザはつい今しがたまでふたりをつないでいた見えない糸をぷつんと切られたように感じて気持ちが乱れ、身じろぎもできなかった。恥じらうように頬を染め、荒い息をつきながらダンスタン卿と向かい合う。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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