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冷たい夢

冷たい夢


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 ヘザー・グレアム(Heather Graham)
 新作を出すたびニューヨークタイムズをはじめ数々のベストセラーリストに顔を出す人気作家。作品は15カ国語に訳され、発行部数は世界中で2000万部を超える。フロリダで生まれ育ち、大学では舞台芸術を専攻した。卒業してからは女優やモデルなどの職業を経験し、第三子出産後に執筆を始める。受賞歴も豊富で、テレビのトークショーに出演したり、雑誌で取り上げられたりするなど実力と人気を兼ね備えている。

解説

 沈没船の引き上げ作業をしているダイバーのジュヌヴィエーヴは、海のなかで女性の死体と遭遇する。驚いた彼女に向かって、死体は声なき声でささやいた。「気をつけなさい」ジュヌヴィエーヴは仲間たちに報告し、全員で海中を捜すが、何も見つからない。死体を見たと言い張る彼女に、仲間たちは困惑する。なかでもソアは断固としてその話を信じようとせず、二人は反発し合う。だがその後、悪夢に悩まされるようになったジュヌヴィエーヴに寄り添ってくれたのは、ほかでもないソアだった。やがて一体の死体が浜辺に打ち上げられ……。

抄録

 彼女は眉をつりあげた。「わたしは友好的な賭がいいと思ったの」
「友好的な賭だって?」
「いいわ、わかった。わたしたちって、どう見ても友好的とは言えないものね」
「きみはそんなに自分を信用できないのか?」
「わたしの家を賭ければいいとでもいうの?」心の底でかすかな不安を覚えながらも、ジュヌヴィエーヴは軽い口調で尋ねた。
 ソアは首を振って愉快そうにほほえんだ。「きみの家を手に入れたいとは思わないよ」
「どうして手に入れられると思うのかしら?それに、わたしが勝ったら何をもらえるの?」
 それを聞いて、ソアは大声で笑った。「ぼくはジャクソンヴィルに立派な家を持っているんだ」
「でも、わたしはフロリダキーズを離れたくないわ」
「さっきも言ったように、ぼくだってきみの家を奪うつもりは全然ないよ」
 この人はすっかり勝つ気でいるのだ、とジュヌヴィエーヴは思った。サングラスで目が隠れていても、そのくらいわかる。顔の筋肉がかすかに引きつるのが見えたもの。男としての自尊心が見栄を張らせているのだろう。体内を男性ホルモンが駆けめぐっているんだわ。大人気ないこと。
 でも、賭をしようと言いだしたのはわたしだ。
「あなたにわたしの家を手に入れるチャンスなんかないわ」ジュヌヴィエーヴは冷静な口調で断言した。
「でも、ビールではつまらなすぎるし、きみの家をもらうというのは大ごとすぎる。何を賭けるか、ひと晩寝てじっくり考えてみようじゃないか」ソアが提案した。
「あなたが望むものならなんでもいいわ、ミスター・トンプソン」ジュヌヴィエーヴはぎこちない口調で応じた。
「いいや、きみが望むものならなんでもだ、ミス・ウォレス」ソアがあざけるように言い返した。
「じゃあ、明日の朝、何を賭けるか決めましょう」
「ぼくにひとつ考えがある」ソアが楽しそうな顔をしてささやいた。「しかし、きみは気に入らないだろうな」
 突然、ジュヌヴィエーヴはソアが何を賭けるつもりでいるのか悟った。彼女は憤慨してもいいはずなのに、かえって挑戦意欲をかきたてられた。
「本当に?」ジュヌヴィエーヴはささやいたあとで、不意に自分の顔の筋肉が引きつるのを感じた。わたしもソアも断固たる決意を示そうと意地を張って、同じくらい緊張しているんだわ。なお悪いことに、彼が性的なほのめかしをしたせいで、わたしの闘争心に火がついた。
「きみは知らないでおいたほうがいいと思うよ。かなり変わった考えだから」
「あなたの考えはわかっているつもりよ、ミスター・トンプソン。問題は……あなたが負けたら、わたしは何をもらえるのかってこと。悪いけど、ひと晩同じベッドで過ごしてやると言われてもお断りですからね」
 ソアは穏やかな笑い声をあげた。「ずいぶん突飛な思いこみだな」
 ジュヌヴィエーヴは頬が真っ赤になるのをなんとか抑えようと努め、虚勢を張って窮地を切り抜けようとした。「あなたの言う変わった考えって、どんなものかしら?」甘ったるい口調できく。
 ソアの顔に浮かんだ飾りけのない心からの笑みを見て、ジュヌヴィエーヴはとても魅力的だと認めざるをえなかった。「変わった考えといったって、必ずしも……」突然、彼は言った。「〈ザ・シーカー〉」
「なんですって?」
「〈ザ・シーカー〉だ。ぼくが負けたら〈ザ・シーカー〉をきみにあげよう」
 ジュヌヴィエーヴは眉をひそめた。「あれはあなたの船なの?」
「そう、舳先《へさき》から艫《とも》までね」
「だけど……船はあなたにとって生活の手段でしょう」
「ぼくは絶対に負けない」
 すっかり困惑して、ジュヌヴィエーヴは椅子の背にもたれた。「あなたは自分のダイビング専用船を賭けるっていうの?じゃあ、わたしが負けたら……」
 ソアが再びほほえんだ。今度の笑みはセクシーだった。「断っておくが、さっきの話はきみの提案だったんだよ」
「違うわ!」
「きみが言いだすまで、ぼくはそんなこと、ちらりとも考えなかったんだからね」
「嘘《うそ》ばっかり」
「きみが言いださなければ、ぼくは絶対にそんな考えを口にしなかった」
 その瞬間のジュヌヴィエーヴは、自分がどう感じているのかさえわからなかった。
「あなたは冗談を言っているのね?」彼女はやんわりときいた。
 ソアが身を乗りだした。気がつくと、ジュヌヴィエーヴも同じように身を乗りだしていた。賭はふたりのあいだだけで、ほかにはだれもかかわっていない。「冗談なんかじゃないよ。ぼくが負けたらちゃんと船をあげる。きみは?」
「あなたはわたしをいかれていると思っているようだけど、そんな女を手に入れるために船を賭けるの?」ジュヌヴィエーヴはきいた。「あなたのほうこそ、頭がどうかしているんじゃない?」
 ソアは笑った。「そんなことはないさ。ぼくは負けないから」
「いずれわかるわ、そうでしょう?」彼女はささやいた。
「じゃあ、賭は成立だね?」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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