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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

引き裂かれた愛

引き裂かれた愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★☆☆☆☆1
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著者プロフィール

 ニコラ・コーニック(Nicola Cornick)
 イギリスのヨークシャー生まれ。詩人の祖父の影響を受け、幼いころから歴史小説を読みふけり、入学したロンドン大学でも歴史を専攻した。卒業後、いくつかの大学で管理者として働いたあと、本格的に執筆活動を始める。現在は、夫と二匹の猫と暮らしている。

解説

 一六四一年、夏。グラフトンの村は美しい花々で彩られていた。婚約者のサイモンはハンサムで、優雅な紳士だった。彼に優しくキスをされ、アンは幸せな花嫁になる日を夢見た。一六四五年、冬。現れた美女を見て、サイモンは我が目を疑った。アンに恋したあの夏の日の思い出が甦る。だが革命が起きたせいで、二人の未来は消えてしまった。今や彼女は、弟を殺した敵側の人間だ。危険を覚悟で交渉にやってきたアンに、サイモンは冷たく言った。「きみを人質にする、レディ・アン」
 ★婚約直後に引き裂かれた恋。四年後、愛らしかった少女は大人の女性になっていました。でも、彼女は仇敵……。時代の荒波に翻弄される切ない愛を、ニコラ・コーニックが描きます。★

抄録

「レディ・アン」
 アンは跳び上がって、唇から小さな叫びをもらした。庭の入り口の陰に男性が立っているのにそのとき初めて気づいた。彼は砂利を踏み締めて小道をやってくると、アンの前で立ち止まった。
「ご無礼をお許しください」サイモン・グレヴィルだった。「驚かせるつもりはなかったのですが、お父上が捜しておられます、レディ・アン。祝宴の準備が整いました」
 アンはうなずいた。心臓の鼓動が速くなる。サイモンが突然現れて驚いたせいもあるが、初めてふたりきりになったのだ。意識せずにはいられなかった。先週、ふたりは一緒に乗馬に出かけ、家族が温かく見守るなかダンスを踊り、世間一般の事柄について話をした。でも、そういったことは、結婚にはほとんど重要ではないことに気づいた。彼と結婚するのは義務だと自分に言い聞かせてみたものの、不安を感じずにはいられなかった。
「わかりました」アンは言った。「そこをどいていただけませんか、グレヴィル卿?」
 サイモンは動かなかった。手を伸ばし、アンの腕をつかむ。「少しよろしいですか、レディ・アン?」
 アンは顔を上げた。夕日がまぶしくて、サイモンの顔はよく見えなかった。彼女は胸をどきどきさせながら待った。
 サイモンはアンの腕をつかんでいた手を下に滑らせて、彼女の手を握り締めた。彼の手は温かく、アンは突然触れられ、全身に震えが走った。
「わたしはお父上にきみと結婚する許しを得ました、レディ・アン」サイモンは言った。「でも、まだきみの許しを得ていません」
 アンは目を見開いた。「わたしの許しは必要ありませんわ」
 サイモンはアンの瞳にほほえみかけた。「いいえ、必要です。結婚を無理強いするつもりはありません。わたしを夫にしたくないのなら、そうおっしゃってください。そうでないと、すぐに婚約させられてしまいますよ」
 アンの返事を待つあいだ、サイモンは彼女の手を握る手に力を込めた。アンは彼の日に焼けた顔を探るように見つめた。不安に体が震えた。
「わたしは義務を果たすつもりで――」アンは言いかけた。
「わたしは義務で結婚してほしくありません」サイモンは怒ったように言った。「わたしが欲しいのはきみです」そのあと、口調を和らげた。「気に障ったのなら許してください。わたしは……きみもわたしと同じ気持ちでいるのではないかと思ったものだから……」
 アンは中庭で初めてサイモンを見たときのことを思い出した。初夜についてのエドウィーナの言葉がよみがえってくる。アンの唇にふいに笑みが浮かんだ。
「わたしは――」
 アンがそれ以上言葉を発することはできなかった。サイモンが身を乗り出して、アンの唇にキスをした。彼の両手が突然容赦ない力でアンのほっそりした体を抱き締め、唇が飢えたように彼女の唇を求めた。アンの驚きの叫びは情熱的な彼のキスに封じられた。頭がくらくらして、血が全身を駆けめぐった。
 サイモンはそっとアンを離した。彼女は苔《こけ》むした石の日時計に片手を突いて体を支えた。全身が震えた。アンは欲望の目覚めに混乱し、唇に指を当てた。
「これがきみの答えだと受け取っていいんですね?」サイモンは迫った。彼の瞳は情熱に輝いている。アンはそれを見て、自分のなかに秘められた大きな力に生まれて初めて気づいた。興奮に全身の血がわき立つ。わたしは彼をひざまずかせることもできるのだわ……。そう思ったとたん、めまいがした。
「ええ……」アンは慎《つつ》ましく答えた。「あなたはすてきな方だと思っています」
 それを聞いてサイモンは唇の端を上げてほほえんだ。しかし、アンは彼がかろうじて欲望を抑えているのを感じた。「ありがとう。それで?」
「一緒に過ごして……楽しかったです……」
「それで?」
「あなたのキスはとてもすてきだと思います。比べようがありませんけれど」
 サイモンはアンに近づこうとした。だがアンはするりと身をかわして、踊るような足取りで小道を走り出した。気分が浮き立ち、思わず笑い声がもれる。
「あなたの申し出をよく考えてみて……」
 アンは立ち止まってサイモンを見た。彼は彼女の手首をつかんでそばに引き寄せ、じっとさせた。
「それで、答えは?」サイモンがたずねる。
「あなたと結婚します」アンはささやいた。再びふたりの唇が重なる。「喜んで」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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