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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

秘密の恋

秘密の恋


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリエット・ランドン(Juliet Landon)
 イギリス北部の古代の面影を残す村に、引退した科学者の夫とともに住む。美術や歴史に対する興味が旺盛で、豊かな想像力が生きると思い、ヒストリカルの小説を書き始めた。作品を執筆するために調べ物をするのはとても楽しいと語り、特に中世初期がお気に入りの時代だという。刺繍について豊富な知識と技術を身につけ、その腕前はプロとして講師を務めるほど。

解説

 貴族の令嬢ニコラは、父の遺した別邸で自由を謳歌していた。求婚者にフェンシングを挑んでは負かすじゃじゃ馬ぶりだ。その日、十数年ぶりに突然現れ勝負を挑んできた男性にニコラはまったく歯が立たず、あっさり敗北した。ファーガス・メルローズ――彼とは浅からぬ因縁があった。互いの父親同士が、二人を将来結婚させる約束をしていたのだ。歳月はファーガスを日に焼けた精悍な男性へと変えていた。でも、ニコラはファーガスとは結婚しないと心に誓った。昔、私を無視した彼を許せない。仕返ししてやりましょう。深紅のドレスに身を包み、応接室へ現れたニコラが微笑んだ瞬間、ファーガスの心は決まった。彼女を必ずぼくの妻にする!
 ★男まさりだった少女が胸に秘めた一途な憧れ。十二年後、誰もが振り返る妖艶な乙女に成長した彼女に婚約を迫ったのは、ほかならぬその初恋の男性でしたが……。ランドンの大胆なプロットと丁寧な心理描写は最後まで飽きさせません。★

抄録

「ええ、サー・ファーガス。何歳になろうと、メルローズ家の方と結婚するつもりはありません。あなたがわたしとの結婚を望む理由がなんであれ、わたしたちがこの結婚で幸せになれるとわたしを納得させるのは不可能だし、あなたとのみじめな暮らしに人生をむだ使いしたくないの」
 そのしんらつな言葉にファーガスの日焼けしたあごが引き締まり、すっと笑みが消えたのはニコラには見えなかった。セントメアリー修道院に近づいたとき、ファーガスの口元は固く引き結ばれ、目は険しくなっていた。
「きみはそう思っているのか? だが、ぼくには守らなければいけない父との約束がある。好むと好まざるとにかかわらず、きみには協力してもらわなくてはいけない」
 彼がどうにかして説得しようとするのではないかと予想はしていたものの、妥協する余地のない断固たる意思の表明にニコラは反発を覚えた。だが、馬はすでにビショップスゲイトの家の厩舎《きゅうしゃ》がある中庭へ入っていて、言い返すつもりだった鋭い言葉は言えずじまいだった。
 馬から降りたファーガスはニコラのウエストをつかんだ。挑むように相手を見据える冷たい灰色の目。馬丁の存在もいっこうに気にする様子はない。こうした目をニコラは前に何度も見たことがあった。身をよじり下へ降りられたなら、ファーガスの手から逃れ、逃げ出せるかもしれない。逃げ出す? わたしの家で? 威厳に欠けるわ。彼に勇敢に立ち向かうのよ。
「協力はできないわ」
 ニコラはファーガスに抱きあげられ、馬と地面の間に宙づりにされた格好になった。
「あなたに協力などしませんわ。そうしようと努力するつもりもありません」
「気に入るよ」
 ファーガスはまだニコラをつかんだまま放そうとしない。
「気に入るはずがないわ」
「きみはまだ、試してもいないじゃないか。やってみたら気が変わる」
「そんなことは絶対にありません。さあ、降ろしてください」
 馬は連れていかれ、中庭にいるのはニコラとファーガスふたりだけだ。ファーガスはいぜんとしてニコラのすぐそばにいる。あまりにも近すぎる。この非常に傲慢《ごうまん》で高飛車な男性を前にすると己の無力を痛感せずにはいられない。これまでも状況こそ違っていたが、同じような思いを何度も味わわされた。
 かつて、ニコラはファーガスに注目してもらいたかった。そばにいたいと願っていた。なのに、いまはその近さを恐れている。ファーガスはもはや少年ではなく、一人前の立派な大人だ。兄弟のところに遊びに来ていたとき以上の脅威となっている。ニコラはファーガスにどう対処したらいいのか、自分自身とどう向き合ったらいいのか、まだ、わからないでいた。わたしをこれほどまでに動揺させるファーガス。再び現れなければよかったのに……。
 激しい運動をしたあとの男らしいにおいがニコラの鼻をくすぐる。それだけではない。容易には消えない蠱惑《こわく》的な何かに心が揺さぶられ、記憶がよみがえる。ニコラは防御の姿勢が弱まり、ファーガスが近づいたとき、反応が一瞬遅れた。
 昨日の夜の兄夫妻の家の庭先での出来事まで、男性の腕に抱きすくめられた経験がなかったニコラはファーガスを押しのけようとした。こうした恥辱的な扱いを受けるのは自尊心が許さない。
 だが、ファーガスを押しのけようとするニコラの努力は虚《むな》しく終わった。ファーガスは片手でニコラの両手首をつかみ、抗議の声をキスで封じた。温かく官能的な唇にたちまち体から力が抜けていき、ニコラはキスを受け入れていた。この数日間、悩まされていた罪深い夢が一気によみがえり、足が萎《な》えていく。自分が無力で無防備になってしまったように感じる。こんなことは間違っているとささやく声がした。だが、ファーガスの唇が動き、次々にキスを浴びせられると理性の声は再び遠のいていく。
 ニコラは自然にキスに応《こた》えていた。攻め立てるファーガスの唇に導かれ、われを忘れて次の刺激を求めていく。こんなことは初めてだ。
 馬のいななく声と、バケツが砂利に当たる音がして、ふたりは現実の世界に引き戻された。
 まぶたを開いたニコラの目の奥に、ファーガスは底知れぬ不安とかすかな痛みを見いだした。ニコラが彼を受け入れてくれるにはまだ時間がかかりそうだ。
「ぼくを追い払えると思っていたんだろう? だが、それは無理だよ。ぼくはこうと決めたらあきらめない。ぼくが決してあきらめない性格だってことは覚えているはずだ」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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