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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル・エクストラ

黒の貴婦人

黒の貴婦人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル・エクストラ
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジュリア・ジャスティス(Julia Justiss)
 小学三年生のときから物語を書きはじめ、大学では詩集を出版し、卒業後は保険会社やチュニジアのアメリカ大使館で編集者として働いていた。海軍士官の夫について十二年のあいだに七回の引っ越しを経験したあと、現在は米テキサス州東部のパイニー・ウッズに落ち着き、高校でフランス語を教えている。1997年にアメリカロマンス作家協会ゴールデン・ハート賞を受賞。夫と三人の子供、二匹の犬とジョージアン・スタイルの屋敷に住む。

解説

 あんなに熱い口づけまでしておきながら、あなたはまだ友人でいようと言うのね。カーラは優柔不断なクウェンティンに心底落胆した。ならば彼と結婚する夢は捨てて、ひとりで生きていこう。でも、田舎に帰ってクウェンティンのいない人生を歩む前に、一度でいいから、彼と結ばれたい。思いあまったカーラは、奔放な絵描きの妹アイリスを訪ねた。そしてクウェンティンをとりこにする、大胆な秘策をさずけられる。やがて、ある仮面舞踏会の夜、会場でカーラを待つ彼の前に、全身黒ずくめの魅惑的な貴婦人が現れた。
 ★2007年12月のハーレクイン・ヒストリカル・エクストラはアメリカ・ロマンス作家協会のゴールデン・ハート賞受賞作家、ジュリア・ジャスティスの登場です。リージェンシー・ロマンスを得意とする彼女の、恋と冒険に満ちた世界を心ゆくまでお楽しみください。★

抄録

 彼がこんなにそばに立っている。血が沸騰しそうだわ。カーラは思った。「いいえ、この寒さは……いい気分転換になるわ」
「それじゃ、ぼくの正面に立って。ぼくが風を遮るから」クウェンティンはカーラの体を巧みに動かして一歩近づけた。すると彼のぬくもりが彼女に伝わってきた。
 カーラは顔を上げた。彼の唇からもれてくる息が感じられる……。
「新しい地所ではどんなことがあったの?」カーラはなんとか質問することができた。
「残念ながら混乱していてね。ところで、フリーモント卿のことについて、さらに調べてみたんだ。近いうちにすべてを報告したいと思っている」
「今夜は彼が来ていなくてほっとしているの。おそらく、彼は公爵夫人の舞踏会のような上流社会のお楽しみは、刺激がなくてつまらないと思っているんでしょうね」
「ああ、おそらく」
「いずれにせよ、彼がいなくてよかったわ。彼がアイリスをそそのかして、何かとんでもないことをしでかしはしないかと心配せずにすむもの」
 わたしがそそのかされているようにね。カーラはそう思いながら、再び視線をクウェンティンの唇へと漂わせた。もし、片腕で彼の肩を抱きしめて背伸びしたら、わたしの唇は彼の唇に触れることができるのに……。
 クウェンティンは彼女を見下ろしていた。その視線は彼女の唇に集中している。わたしのそばにいる彼の血も、わたしの血と同じように胸の鼓動に合わせて流れているの? 彼の頭の中でもわたしと同じように金切り声がしていて、二人を隔てているこの狭い距離を、体を傾けて縮めて……そしてキスしろって言っているの?
 カーラは喉に大きなかたまりが詰まっているような気がしていたが、なんとかそれをのみ下し、クウェンティンにささやいた。「ときには不道徳なことに……とてもそそのかされるわ」
 時間が止まり、息も止まった。すべての神経が期待に張りつめる。彼の唇が徐々に近づいてくる。興奮でぞくぞくする。彼女はまぶたを震わせながら目を閉じた。
 クウェンティンの唇が初めてカーラの唇に触れた。それは甘くて、心がとろけてしまいそうだった。彼女はすぐにもっとほしいと強く思った。両手が自然に彼の下襟をつかみ、クウェンティンのほうに身を傾けていた。そしてさらに熱く口づけをした。
 クウェンティンはカーラの肩をつかみ、唇を開くと、燃えるような舌で彼女の唇を奪った。彼女の胸の鼓動が速くなり、何かを熱く激しく求めるような感情が彼女の体の中で固まって、解き放たれるのを待っている。
 だがカーラが自分の舌でクウェンティンの舌を求めようとしたとき、彼はふいにあとずさりし、彼女を突き放した。すでにカーラは骨抜きになる寸前だったので、もしクウェンティンが彼女の肩をしっかりとつかんでまっすぐ立たせていなければ、二人は転んでいただろう。
「きみの……きみのおばさまがきっと捜しているよ」クウェンティンは震える声で言った。彼はカーラの足をじっと見てから、その小さな背中にしっかりと手をあて、彼女を追いたてるように歩かせ舞踏室に戻った。
 クウェンティンは焦っていた。カーラを半ば押すようにフロアを横切らせる。そして彼女のおばが見つかると、あわてて手を離した。「公爵夫人のすばらしいシャンパンが一杯ほしいな」クウェンティンはカーラの視線を避けて言った。「レディたちにもそれぞれ一杯ずつお持ちいたしましょうか?」
 失望のあまりカーラは泣きそうだった。クウェンティンの唇に触れられてまだ燃えている自分の唇が震えないように、しっかりと結んでうなずいた。
 クウェンティンはすぐにその場を離れていった。カーラのまわりでは、宝石で飾ったレディたちが、ワルツの曲に合わせて色とりどりの独楽《こま》のようにくるくると回っている。たくさんの会話がさざめく中で、おばのキティのかん高い声がはじけている。カーラはレディたちを見ても、彼女たちの会話を聞いても、何も理解できなかった。
 やれやれ。彼女はすてばちになっていた。この大胆な夜会服も効果がなかったわ。クウェンティン・バークは、ようやくいま、このわたし、カーラ・サドリーが女心を持った一人の女性だと気づいた。だけど彼は焦って人ごみをかき分けながら進んでいく。事実に気づいてどぎまぎしてしまい、わたしから逃げたくてたまらないのね。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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