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すり替わった王家の花嫁

すり替わった王家の花嫁


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 ケイトリン・クルーズ(Caitlin Crews)
 ニューヨーク市近郊で育つ。12歳のときに読んだ、海賊が主人公の物語がきっかけでロマンス小説に傾倒しはじめた。10代で初めて訪れたロンドンにたちまち恋をし、その後は世界各地を旅して回った。プラハやアテネ、ローマ、ハワイなど、エキゾチックな地を舞台に描きたいと語る。

解説

地味な秘書の極秘任務は、45日間だけのシンデレラ。

ロンドン郊外の空港のラウンジで、秘書のナタリーは悩んでいた。傲慢な億万長者のボスに仕えて5年。心身ともにもう限界だった。すると突然、背後から声がかかり、彼女は振り返って仰天した。そこにはナタリーと瓜二つの、身なりのよい女性が佇んでいた。異国の王女だという彼女とナタリーはすぐさま意気投合し、互いの悩みまで打ち明け合ったが、ふと王女が意外な提案をした。45日間だけ、密かに立場を入れ替わってみないかというのだ。私が王女に?承諾したのも束の間、すぐに後悔に襲われる。あろうことか王女の許婚ロドルフォに惹かれ、唇を奪われて……。

■まるで双子のようにそっくりな秘書と王女。ふたりが立場を入れ替わることで運命の歯車が回り、思いがけない愛の物語が生まれました。ケイトリン・クルーズの魅力を存分に堪能できる1作です。

抄録

 今日再会してみると、彼女は部屋の向こう側にいてさえ彼の心に火をつける女性になっていたが、これもまた彼には未経験だった。彼を悲しくも退屈な冗談のように扱う女性に、どう応じていいのか見当もつかなかった。
 いや、自分なら何事にも対処できる。ロドルフォはそう思い直した。冷淡さにも。
 彼は手を伸ばしてプリンセスを抱えあげ、自分の膝の上に乗せた。
 洗練された行動とはいえなかった。彼女の無関心な態度を――王宮のどこにいようと当然のように彼に向けるつれない表情を、試そうとしてとった行動ではあったが、それでも洗練されてはいなかった。
 だが、ロドルフォはかまわなかった。
 プリンセスの磁器を思わせる頬が紅潮し、熱くなる。膝の上の彼女は軽く、柔らかだった。その感触に、彼の全身は有頂天だった。平凡な石鹸の香りさえ、不思議にエキゾチックな衝撃を彼に与えた。
 プリンセスが両手で彼の胸を押し、赤褐色の髪が薄絹のように彼の腕にかかる。ロドルフォが見抜くまでもなく、彼女の荒く速い息づかいが本心を暴露していた。
 彼女はあらゆる意味で神秘の宝石のようなプリンセスだが、決して彼に無関心ではない。そう気づいて、ロドルフォは勝ち誇った気分になった。
「僕が女性の心を読めないと思うのか?」
 誘うように近づけた顔を、彼女は拒絶をにじませたまなざしでにらみ返した。
「あなたがほかに何を読めるかについては、長い議論を戦わす必要がありそうね」
「君が僕を求めていることは承知だ。僕にはわかるし、感じる。脈打つ君の喉や、瞳をのぞきこめばわかる。実際、君は震えている」
「こんなまねをしてただですむと思っているなら、とんでもない驚きだわ」
 ロドルフォは片手を彼女の腿に滑らせると、スカートの下にその手を忍ばせ、あらわな肌を撫でた。意外にもその肌は熱く、柔らかかった。彼女は美しい卵形の顔で彼を見あげ、無言のうちに奪ってと叫んでいる。
 彼女が言ったとおり、結局は僕も保守的で古くさい男なのかもしれない。人生で初めて、彼はそんなことを思った。僕はあらゆる意味で根っからの野蛮人らしい。
「スカートの下のこの手を、上のほうまで滑らせていったらどうなるかな?」ロドルフォはさらに身をかがめ、彼女に顔を近づけた。口元に彼女の吐息がかかりそうなほどに。
「警護の者が呼ばれ、あなたの身が危うくなるでしょうね。マスコミが大喜びするわ」
 息を切らしながらの無力な脅しを無視し、ロドルフォは彼女の体のほうに集中した。「僕に何を知られたと思う? 君の体がどれだけ僕を求めているか、それとも、君がどんなに嘘つきか君自身の体が証明していることかな?」
「あなたと違い、私は証明することに興味などないわ」彼女は必死にささやいた。「自分の力量を証明したいばかりに、あなたは数えきれないほど色恋沙汰に手を出した」
 なのに、彼女は身を引きはがさなかった。その努力さえしなかったことに、ロドルフォは気づいていた。「君が力量を証明する場所はここだけだ」しわがれた声で言いながら、手のひらで柔らかな肌を愛撫する。「そして、証明する相手はこの僕だけでいい」
 ロドルフォは以前に一度、彼女にキスをしたことがある。ムーリン城の石段で行われた写真撮影でのことだ。二人は手をつなぎ、群衆に向かってほほ笑んだ。それから、誓いの印として、彼はプリンセスの唇に慎み深く無感動に唇を押し当てた。ときめきも動揺も何一つなかった。困惑するような場面も、情熱や生々しい渇望感もいっさいなかった。握手のほうが情熱的に思えたくらいだ。
 今日の彼女へのキスは、そんなふうではまったくなかった。なぜかすべてが違っていた。彼自身の気持ちも含めて。
 儀礼的で感情のこもらないキスなど、できるとは思えなかった。ロドルフォは彼女の唇を我がもの顔で奪った。まるで、すでに二人が情熱的な恋人同士であるかのように。熱い一夜を過ごし、彼女のすべてを奪ったあとに交わすような。
 彼女の唇の味がロドルフォの五感に染み渡ると、彼は自分が座っていることに感謝した。さもなければ、膝から力が抜けてくずおれてしまっただろう。彼は彼女の唇をキスでふさぐと、熱く湿った口の中をむさぼった。
 彼女はすばらしかった。しかも、彼女が好むと好まざるとにかかわらず、彼女はロドルフォのものだった。どれほど敵意をむきだしにし、彼を傷つけようとも。でなければ、この瞬間をどう考えたらいい?
 ロドルフォは完全に我を忘れていた。
 彼の美しいフィアンセは、彼を押しのけようともしなければ、彼の顔をひっぱたきもしなかった。冷たく無反応でいるわけでもない。そうとも、断じて違う。
 彼女は不意に動いて、両手を彼の首に巻きつけて引き寄せ、キスを返した。何度も何度も、繰り返し。
 つかの間、二人のあいだには燃えさかる炎しかなかった。激しく燃える炎はもう手に負えず、消しようもなかった。
 次の瞬間、プリンセスはロドルフォを押しのけようともがき始めた。身をよじり、彼の抱擁を解いて膝から下りようとする。ロドルフォは彼女を解放した。抑えきれない欲望に身を焦がした経験は数えきれないほどあるが、それをいつか統治する国と同じようにコントロールするのは、彼にとって暗黙のルールだった。だが、彼は愕然とせざるをえなかった。女性を解放したあとでこれほどの名残惜しさを感じるのは、かつてないことだった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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