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レディ・ガブリエラの秘密

レディ・ガブリエラの秘密


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リズ・フィールディング(Liz Fielding)
 イングランド南部バークシャー生まれ。二十歳のときアフリカに渡り、秘書の仕事に就いた。土木技師と結婚し、その後十年間をアフリカと中東で暮らす。夫は激務で、彼の帰宅を待つ長い時間、ものを書いて過ごすうち作家の道に。現在はウェールズに住んでいる。夫とのあいだに二人の子供がある。

解説

 エリーは作家の卵。ついに有名雑誌のコラムに連載が決まった。だが問題は、彼女がついた一つの嘘。自らを貴族の出と偽って、貴婦人の日記風に書いてしまったのだ。本当のエリーはお屋敷には住んでいても、留守を守っているだけ。掃除をしたり庭の手入れをしたりするのが仕事だった。その日も、梯子にのぼって本棚の掃除をしていたはずだった。途中から、本を読むほうに夢中になってしまったけれど。「おもしろい本なのかい?」――見知らぬ男性の声にはっとする。そして体勢を崩した彼女は、突然帰宅した家主の上に倒れこんだ! それがエリーとベン・フォークナー博士の最初の出会いだった。
 ★RITA賞受賞作家リズ・フィールディングが、ハーレクイン・イマージュらしい、優しく心あたたまる作品を書き上げました。決して最高の形で出会ったわけではない二人が互いの過去を語り合い、真実に気づき、ついにはこれからの人生に希望を見いだす物語です。★

抄録

「くそっ!」
「えっ? 私がなにかした?」植木鉢をカートに戻して列を離れたベンに、エリーは驚いて尋ねた。
 彼女はなにもしていない。する必要がないのだ。まさにあのセッターそっくり。目に気持ちがありありと浮かんでいるのだ。今もエリーは必死で取りすましているが、瞳は彼女を裏切っている。
「あのいまいましいうさぎを連れに行くぞ!」
 彼女の顔に喜びと失望が交互に現れた。「だめよ」
「だめ?」
「簡単にはいかないでしょう。今度は私が責任ある母親を演じる番だもの。どこで飼うの?」
「持ちやすく梱包《こんぽう》されたケージもここに売っているだろう?」
「ええ」エリーはごくりと唾《つば》をのみ、小さく肩をすくめた。「売っているけど」
「まだなにかあるのか?」
「うさぎには走りまわれるように、針金で囲われた場所が必要よ」
 彼女はうさぎのために豪邸を用意しろと言っているのではない。僕に考え直す機会を与えてくれているのだ。ベンの中で、常識がささやいた。取り消せ、それが賢明な選択だぞ。「隣にホームセンターがある。そこに立ち寄って杭《くい》と針金を買おう」
「本気なの?」
 ああ……いや。「でなければ言ったりしない」
「気味が悪いわ。どう答えればいいのかしら」
「本当にわからないか?」ベンの顔に自然に笑みが浮かび、満面に広がった。「うさぎ一匹で君の口を封じることができたのかい? 信じられないな!」
 エリーがうれしそうに笑った。「後悔しないでしょうね?」
「いや、きっと後悔する。だから、時間を無駄にしないほうがいいぞ」
「ええと、うさぎのケージを買うでしょう。それから藁《わら》もいるわよ。おがくずも」
 どうして僕はエリーのやさしい瞳だけを見て、意志の強そうな顎には気づかなかったのだろう? なぜここへ、うさぎが寝るための藁を買いに来ているのか? 本来なら静かな書斎に座って、最近発見した初期のデーヴァナーガリー文字を解読しているはずなのに。
「アデルの車で来てよかった」ベンが真空包装された藁の束を持ちあげると、エリーは言った。「あなたのスポーツカーには全部は積めなかったわ」
「選択を誤ったよ」
「冗談ばっかり」瞳を輝かせて、エリーが言う。「ふざけるのが上手なのね、ベン。でも気むずかしいふりをしていても、あなたはそんな人じゃない」
「僕は気むずかしいぞ、すごく」エリーの背中に向かって、ベンは叫んだ。振り返りもしないで、エリーがその言葉を打ち消すように手を振る。
 帰宅したとき、エリーの両手はそれぞれ段ボールの箱でふさがっていた。後ろから餌、餌箱、水入れを持ったベンがやってきた。
「うさぎは群れを作る動物なのよ」ベンのぎょっとした顔を見ても、エリーはひるまなかった。「ロジャーには仲間が必要でしょう」
「二匹はだめだ」
「あら。私はそれほどばかじゃないわ。実はこっちはね」小さいほうの箱を持ちあげる。「モルモットのナイジェルなの」そしてすかさず爪先立ちになって、なにが起こったのかベンが気づくよりも早く彼の頬にキスをした。「あなたってすごく親切な人ね」
 一瞬、両手に箱を持っていたエリーがよろめいた。ベンがとっさに彼女の両腕をつかんで支える。若々しく絹のようになめらかな肌のぬくもりが、てのひらに伝わってきた。エリーはまるで子供のように、目も口もにっこり笑っている。ベンは思わずその口にキスをして、つねにきらきらと輝いている純粋な喜びを吸い取りたくなった。
 どうやって彼女は明るさを取り戻したのだろう? 夫の死という悲劇をどう乗り越えたら、こんなふうに笑えるのだろうか?

*この続きは製品版でお楽しみください。

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