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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・テンプテーション

恋しくて、せつなくて

恋しくて、せつなくて


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・テンプテーション
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジル・シャルヴィス(Jill Shalvis)
 鉛筆が持てるようになるとすぐに物語を書きはじめたという根っからのストーリーテラー。ジャーナリストとしてキャリアをスタートさせたが、今では主にロマンス小説を執筆している。夫と三人の幼い子供たち、犬とハムスターと共にカリフォルニア州レイク・タホに在住。

解説

 テイラーは誰もがはっと振り返るほどの美人だ。しかし、彼女の心は冷めきっていた。人はみな真実の愛をほめそやすけれど、そんなものは存在しない。私が男性に求めるのは一夜かぎりのかりそめの愛……。マックもそんな相手のはずだった。琥珀色の澄んだ瞳が神秘的で、屈強な肉体を持つ彼は男性としての本質的な魅力に溢れ、火遊びの相手にちょうどいい。ところがキスを交わした瞬間、テイラーは動揺した。胸が締めつけられ、克服したはずの記憶がよみがえったのだ。遠い昔、結婚直前に事故で失った恋人の面影が。
 ★裕福な家柄のヒロイン、テイラーは誇り高く傷つきやすい女性です。本作品は過去の記憶が邪魔して心の扉を閉ざしている彼女の、愛と再生の物語です。★

抄録

「君は彼女たちとは違うよ」
 テイラーは今夜、誰かになぐさめてほしかった。ところがそうしてくれた人間は、テイラーを宿なしにしようとしている張本人で悩みの種でもある、マックだった。
 ジェフ以外でそんなに優しくしてくれた人は、誰もいなかった。
 今、マックを目の前にしてジェフのことを考えるのは思い出を裏切っているような気がして、テイラーはすでに傷ついていた心をさらに痛めた。けれど驚いたことに、マックの態度は親友のスーザンのそれと同じだった。彼は友人のように、それも女同士の友人のように接していた。
 男性としてなぐさめているわけではなかった。
 テイラーはそんな思いやりをマックに期待していたわけではなかった。ほかの誰も頼らず自力で生きていくすべを身につけてからは、必要なのは自身だけだったからだ。彼女はいつも一人で自分をなぐさめてきた。そして――。
 テイラーはまたはなをすすった。マックはそばに立ちつづけ、走り去るわけでも、手を伸ばして彼女の涙をぬぐうわけでもなかった。
 両腕を広げた以外は。
 その腕の中へ、テイラーはまっすぐに飛びこんだ。そして首のつけ根に顔をうずめて、マックのぬくもりと圧倒的な力強さにひたる。願いがかなったわ。彼女は木材と石鹸《せっけん》と純粋で男らしい香りを深く吸いこんだ。
 マックはテイラーの髪に指をもぐりこませ、顔を上に向かせて、のぞきこんだ。テイラーも彼を見つめ返した。男らしく角張った顎、かすかな曲線を描く唇、薄く金色がかった瞳を。マックの視線が彼女の顔のいたるところをなぞったあと、目をひたと見つめた。
 衝撃がテイラーの爪先までぞくっと走った。なぜだかわからないが、マックの腕に抱かれたとたん数数あった面倒ごとが消え去り、代わりに恐ろしいほどの興奮がわきあがる。彼女はそれを否定することができず、また否定しようとも思わなかった。腕を彼の首にまわして、そっと体を寄せる。すると、低いうめき声が耳に響いた。マックもどうしようもなく私を意識しているのだろう。
 そうとわかると、女性的な力がふつふつとわきあがり、テイラーの体中を熱く駆けめぐった。望むと望まないとにかかわらず、彼も感じているのだ。そのことを証明するように、マックの手に力がこもる。彼はテイラーの背中を撫でおろし、またゆっくりと撫であげた。彼女は予想も期待もしていなかったが、ぞくぞくする感触に欲望を大きくふくらませた。
「もし……あなたが結婚しているなら、今言ってちょうだい」
「していない」マックの口元がゆがんだ。「結婚なんて。僕は誰のものでもない」
 体をぴったり合わせたまま、テイラーはマックをじっと見つめた。彼もまっすぐに見返した。その瞬間、彼女の世界にはマックしかいなくなった。テイラーは体の力を抜き、彼にさらに身を寄せた。
 二人のまわりの空気がぴりぴりと張りつめ、一秒ごとに緊張感が高まった。ついに、テイラーはほとんど息もできなくなった。
「マック……」
「うん?」
 テイラーはため息をついた。
「テイラー? そのため息はなんだい?」
「欲しいの……」あなたが、とテイラーは心の中でつぶやいた。私はあなたが欲しい。
 そのかすれた声にこめられた荒々しい衝動に突き動かされたように、マックが顔を下げてキスをした。初めは優しく。テイラーの両手が首にまわってからは、激しく。奪うような、むさぼるようなキスは野獣そのもので、欲望をかきたてた。この世にこれほど激しいキスが、ほかにあるとは思えなかった。
「これが君の求めていたものかい?」マックは体を引いて尋ねた。口調はいつもより、さらにぶっきらぼうだ。
「ええ」テイラーは荒い息をついた。そしてマックもまた息を荒らげているのを知って、少しうれしくなった。長い間、二人は見つめ合った。彼女の頭は、もうまともに働いていなかった。彼のせいでとんでもない事実に気づき、それに打ちのめされていたからだ――私はジェフが亡くなって以来、こんなふうに男性に夢中になったことがない。
 夢中にはなりたくなかったから。
 そう思った瞬間、テイラーは体を引こうとした。走りだそうとさえした。しかしマックがしっかりと抱きしめて放さない。実際のテイラーもまだ彼の首に両手を巻きつけ、体と体をぴたりと合わせたままだった。
 体自体に意志があるみたいだった。
 マックは焼けつくようなまなざしをテイラーに向け、彼女に押しつけた体を激しく揺らした。明らかに興奮し、先を求めて飢えているのだ。それでも彼は耐えて、待っていた。
 マックのような男性に、誰が逆らえるというのだろう?

*この続きは製品版でお楽しみください。

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