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悪党紳士のマイ・フェア・レディ

悪党紳士のマイ・フェア・レディ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

何も持たない、何も知らない娘を、一から理想のレディに育ててやろう。

19歳のノエルは親兄弟を一度に亡くして悲嘆に暮れていたが、若い親戚の男性に誘われ、彼のところに居候させてもらうことになった。家賃の代わりに家事や仕事を手伝う生活にも慣れ始めたころ、親戚の義兄である弁護士ジャレッドがニューヨークから引き揚げてくる。彼はこの家の主で、堅苦しい冷血漢との評判どおり、遠い親戚のお情けにすがっていると揶揄して彼女につらく当たった。だがあるとき、ノエルが上流階級のパーティへの誘いを断った理由が、すてきなドレスがなく、礼儀作法も踊り方も知らないからだと知ると、ジャレッドはためつすがめつ彼女を観察し、驚きの発言をした。「きみをつくり替えることは、不可能ではない」

■故郷で乳しぼりから床磨きまでこなしてきたノエルが、都会帰りのジャレッドにレディ教育を受けることに。洒落者の紳士然とした彼に、“悪党”と呼ばれた過去があることなど、彼女は知る由もなく……。北米ロマンス界の最重鎮D・パーマーの傑作長編!

抄録

「彼女をミス・ヘンダーソンの洋服店へ連れていって、服を選んでやってくれないか。古くさくない、今どきのものをね。それから帽子屋と靴屋にも。少なくとも夜会用のドレスを二枚とコートは必要だな」
 ミセス・ペイトは口をぽかんと開けて、ただジャレッドを見ている。
 ジャレッドはじれったそうに家政婦を見つめた。「彼女はわが家の一員だ、違うか?」そう尋ねながら、ノエルを手で示した。「こんな格好で出歩かせるわけにはいかないだろう!」
 ノエルははっとして背筋を正した。きちんとした黒のスカートとしみひとつない白のブラウスは、少しもみっともなくなどない。「こんな格好、ですって?」むっとして問い返す。「こんな格好ってどういう意味?」
「まったくきみはプライドが高いんだな」ジャレッドは、怒りがたぎっているノエルのグリーンの瞳を探るように見つめて言った。「時代遅れの服を着ていても、態度は王侯貴族並みだ」
 ノエルは深呼吸した。ジャレッドはわたしがアンドリューの気を引く手伝いをしようとしてくれているのよ。冷静になって、いちいちなにか言われるたびに怒ったりしてはいけないわ。「たしかにわたしの服は地味ね。失礼なことを言ってごめんなさい」
「よろしい」ジャレッドは応じた。「では、黙ってぼくの言うとおりにするんだ、ミス・ブラウン。さあ、早く彼女を連れていってくれないか、ミセス・ペイト。なにか口実を見つけて家に残りたいと言いださないうちに」
 ミセス・ペイトはにわかにのり気になってきたようだった。「かしこまりました、だんなさま」
 ミセス・ペイトが帽子とコートをとりに行っているあいだ、ノエルはためらいがちに尋ねた。「本当にいいのかしら?」
 ジャレッドはうなずいて、ブルーの目を細めた。「アンドリューをどう思っているんだい?」
 ノエルは息をのんだ。「ミスター・ダン――」
「ぼくたちはお互いに正直でいる約束だろう」ジャレッドはさえぎった。「ぼくはきみに嘘をつかない。きみにも同じことを期待しているんだ。きみが思う以上に、ぼくたちには共通点があるんだよ。年の差はあってもね」
 ジャレッドの率直な発言に驚きながらも、ノエルはなぜか気を許すことができた。同時に、心をかき乱されてもいたが。
「アンドリューのことは好きよ。勇敢でセクシーで……」ノエルは困惑したようにジャレッドをまじまじと見つめた。「でも、あなたのような人は初めてだわ」ゆっくりと言う。
「そうだろうね」
 ノエルはジャレッドの顔を目でたどっていった。浅黒い肌、細い眉、揺るぎないブルーの瞳、まっすぐな鼻、高い頬骨、きつく結ばれた口もと、とがった顎。アンドリューのように流行の口ひげは生やしていないが、その顔は目をみはるほどハンサムだ。ブルーの瞳には知性にまじって、まじめな弁護士には不釣りあいな暗くて不敵な輝きがある。そのときジャレッドが笑みを浮かべた。そのセクシーなほほえみに、ノエルの胸はきゅんとなった。
 ジャレッドもノエルを探るように見つめ返した。結いあげた赤毛から、柔らかなグリーンの瞳、薄いそばかすの散るまっすぐな鼻、そしてふっくらとしたピンクの唇へと視線を移していく。キューピッドの弓のような形をした唇からかすかにのぞくきれいな白い歯がとても愛らしい。ノエルはスタイルもみごとだった。妖艶とまではいかないが、やせぎすでないことは確かだ。身長はジャレッドの顎までしかない。彼はふと、ノエルを抱き寄せて、柔らかな唇に自分の唇を押しつけてみたいという衝動を覚えた。
 男性の表情を読みとることに慣れていないノエルも、ジャレッドと自分のあいだに漂う緊張感を意識し、膝が震えそうだった。
「わたし、あの、ケープをとってこなきゃ」彼女はかすかに震える声で言った。
 ジャレッドは無言でうなずきながらも、視線を絡ませるようにして見つめてくる。あまりにも長いあいだそうやって見つめられていたせいで、ノエルの頬はかっと熱くなった。
「きみはいくつだ、ノエル?」ジャレッドは唐突に尋ねた。
「じゅ、十九歳よ」
 ジャレッドは杖を持っていないほうの手で、頬にかかっているノエルの後れ毛に触れた。官能的な愛撫にも似たしぐさで、それをそっと彼女の耳にかける。ノエルの唇がかすかに開き、吐息がもれるさまを彼は見つめた。彼女はまばたきをしてジャレッドを見あげたが、すぐに喉もとに視線をさげた。首筋を包むレースの襟が激しい脈のせいで小刻みに揺れている。ノエルはぼくに引かれている。ジャレッドははっきりとそう確信した。
 彼は指先でノエルのかわいらしい耳たぶを撫でた。
「ブルーのシルクのドレスを買うといい」ジャレッドは深みのあるセクシーな声でそっとささやいた。「サファイア・ブルーの地に、白いレースの縁どりがあるものを」
「で、でも、わたしの目はグリーンよ」ノエルは緊張感の漂う静けさに気圧され、なにを言っているのかもわからずたどたどしく答えた。
「わかっているよ。でもブルーはきみに似合うはずだ」ジャレッドが親指でノエルの首筋の脈に触れると、びくんと跳ねるのがわかった。彼自身の鼓動もおよそ穏やかとは言えなかった。たぶん長らく女性とつきあっていなかったからだろう。こんな小娘を相手に激しく興奮するなんて。
 ノエルは冷たくなった両手でスカートをつまんだ。怯えた目でジャレッドを見あげると、まぶたの奥から、ぎらつくブルーの瞳がじっと彼女を見つめていた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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