マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

都合のいい愛人

都合のいい愛人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 デボラ・ヘイル(Deborah Hale)
 子どものころ、デボラは同郷カナダのL・M・モンゴメリーの作品をむさぼり読んだ。お気に入りは『アンの娘リラ』と『丘の家のジェーン』だという。学校の作文コンテストでもらった賞品がウィンストン・チャーチルの本で、それが歴史への興味を駆りたてた。一九九七年にアメリカ・ロマンス作家協会のゴールデン・ハート賞を受賞、翌年には米ハーレクイン社からデビューし、以来、数々の作品を発表している。ラテン語で“新しいスコットランド”という意味のノバ・スコシアに、夫と四人の子どもたちと共に住む。

解説

 フェリシティは商売で財を成した祖父の死後、美男子で家柄のいい男性と結婚した。けれど、幸せを手にすることはできなかった。夫はフェリシティを子供の産めない体だとなじり、他の女性たちとの間に婚外子をもうけた。それも何人も……。夫亡きあと、フェリシティは快楽だけを追い求めた。耐えがたい孤独から逃れるために。お金に困っているソーンなら大人の関係を受け入れるはず。そう思ったからこそ愛人契約を交わしたのに、予想外の妊娠の事実を知った今、彼に別れを告げるほかなかった。
 ★美貌の未亡人に愛人契約を申し込まれた瞬間からずっと、ソーンには決して明かせない秘密がありました。甘美な愛の世界をどうぞご堪能ください。★

抄録

 彼女の私室には一歩たりとも足は踏み入れるまいという誓いを破り、ソーンは愛人だった女性を抱きあげてベッドへ運んだ。
 しわくちゃになったシーツの上に彼女を横たえると、ふわりと広がった懐かしいローズウォーターの香りがソーンを包み込んで誘う。最後にもう一度キスしたくなったが、ありったけの自制心を働かせて我慢した。この前、彼女の唇に唇を重ねたときは、それが最後になるとは思いもしなかった。
 一瞬、フェリシティへの欲望がソーンの理性的な思考をすべて吹き飛ばした。妹を心配する気持ちも全部。そもそも、ここへやってきたのはそれが原因だというのに。枕《まくら》の上に広がる茶色の髪が、ぼくに触ってほしいと誘う。めまいがするほど深く息を吸い、横たわるフェリシティの上に体を投げ出したとしても、ほのかな香りを十分に吸い込んで自分を満足させることはできないだろう。
 最初から気づくべきだった。美しく、人気も高いこの女性がぼくに愛人になれと誘ったのは、とてつもない間違いだったのに。最高級のきらめきを放つダイヤモンドのような彼女が、ぼくみたいに杓子《しゃくし》定規な男に何を求めたのだろう? 愚かではないが、才気煥発《かんぱつ》というわけではないし、ウィットや魅力にあふれているわけでもない。見た目も悪くはないが、最新流行の服を着こなす色男でもない。家族の面倒を見たり借金を返済しなければならないから、山のようなプレゼントを買い与えることもできない。彼女に求婚するなんて、夢のまた夢だ。
 だが、彼女はソーンを選んだ。道を外すことなどなかった人生の中で初めて彼は、人にはとても言えないようなことをした。人目を忍ぶようなことを。あまりの心のときめきに、これが我が身に起こっていることだとは信じられなかった。
 ソーンは、フェリシティが与えてくれる禁断の果実をむさぼるように味わったが、欲望がそそられるばかりで満足することなどなかった。一緒に過ごすのはバースでのこの社交シーズンだけ、と互いに同意していた。ところが、あと何週間か至福のときを過ごせるはずだったのに、関係を終わらせようという短い手紙をフェリシティから受け取ったのだ。
 予想していたとおり、彼女はぼくに飽きたのだ。もっと上等な代わりを見つけたのだろう。
 影に覆われたフェリシティの寝室を見回し、ソーンは自分を慰めた。いや、彼女はひとりで寝ていたようだ。少なくとも、今夜だけは。
 身勝手な欲望や動機を消し去るように、彼は頭を激しく横に振った。もちろん、フェリシティにあっさり捨てられたことで怒っていた。傷ついたと言ってもいい。とはいえ、こんな常識外れな時刻に乱入し、苦悩に満ちた知らせを聞かせて気絶させていいというわけでは決してない。
「フェリシティ?」玄関ホールでは怒鳴り声をあげていたソーンだが、腕の中に倒れ込んできた彼女の姿には思わず息をのんだ。今は手をさすりながら、なだめるように呼びかけた。「お願いだ、目を覚ましてくれ。乱暴な言い方をしてすまなかった。きみがショックを受けると予想してしかるべきだったのに」
 彼女はすぐには起きあがらなかった。胸騒ぎを覚えたソーンは、柔らかな喉のつけ根に指を当てて脈を探った。
「ソーン?」フェリシティのまぶたがぴくぴくした。彼の名を呼ぶ声は、いつものように愛にあふれていた。唇には怪訝《けげん》そうな、それでいてすべてを信じきったもの憂げな笑みを浮かべている。「どうしたの? ここはどこ、ダーリン?」
 ソーンは心臓が飛び出そうになった。ぼくは手紙の意味を取り違えていたのか? 彼女はまだ、せめてあと数週間はぼくと一緒にいたいのでは? そう思うとソーンは気持ちが高ぶったが、あまりに不確かな自分の感情に不安を覚えた。
 自分の幸せがこの女性の一挙手一投足にかかっているとは、何てざまだ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。