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夢に見し人

夢に見し人


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫ヒストリカル
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ニコラ・コーニック(Nicola Cornick)
 イギリスのヨークシャー生まれ。詩人の祖父の影響を受け、幼いころから歴史小説を読みふけり、入学したロンドン大学でも歴史を専攻した。卒業後、いくつかの大学で管理者として働いたあと、本格的に執筆活動を始める。現在は、夫と二匹の猫と暮らしている。

解説

 あんな横柄そうな男性と結婚するのは絶対にお断りよ! 父の遺志により決められた婚約者フィリップ卿との初対面の日、ジェーンは不細工で太った女に変装し、彼をまんまと撃退した。その話はすぐに、フィリップ卿の兄であるデラヘイ公爵に届いた。花嫁が醜かろうが、この縁談は放蕩者の弟にとっていい話なのだ。だが噂の花嫁候補との対面が叶ったとき、彼は自分の目を疑った。彼女は醜いどころか、知性にあふれた美しいレディではないか。一方のジェーンもまた公爵の姿を前にして、目を丸くしていた。彼こそあの黒髪の紳士、聖アグネス前夜の夢に見た未来の夫だわ。

抄録

「フィリップがあなたのそばを離れられたとは驚きだな」アレックスは皮肉っぽく言った。「この一週間ずっとべったりだったのに!」
「喜ばしい話でしょう?」ジェーンは陽気に返した。「弟さんと私とが理解し合えたんですもの、うれしくてたまらないくらいではありません?」
「私が気になるのは、二人がどういう合意に達したかでしてね」もの柔らかな口調で言う。「今回はずいぶん長いことだまされましたよ、ミス・ヴェリー。だが、もうここまでだ!」
「なんのお話ですか、公爵様」ジェーンは、不当な疑いを受けたという芝居を必死で続けた。
 アレックスは彼女の腕をつかむと、自分と正面から向き合わせた。「おやおや、ミス・ヴェリー。私はあなたの正直さを買っていたんですよ。あなたは私の恥ずべき弟の協力をとりつけた。おそらくミス・マーチメントの協力もです。そうやって今度の縁談を壊そうとした。単純明快な話だ」アレックスは考え込んだ。口元が次第に笑みを形作った。「もっと早く気づくべきでした。私ときたら、あなたが素直に計画を受け入れたものと思っていたんですからね。まったくどうかしていた!」
 長い沈黙が続いた。ジェーンはこれまで頼りになっていた自分の知性に、突然見捨てられたような気がした。しつこく腕を握っているアレックスの感触が知性を追いやってしまったのだ。それだけではない。怖いくらい何も考えられなくなっているのに、五感のほうがなんだかひどく鋭敏になっている。もの悲しくも甘い鳥のささやきが聞こえる。木の葉のさらさらいう音が聞こえる。ほてった頬にひんやりとした風が当たるのがわかる。ジェーンの瞳は彼のまなざしにつかまっていた。地球上のどんな力をもってしても、このときの互いの視線を引きはがすことはできなかったろう。
 アレックスの瞳から楽しげな色が薄れていった。次に浮かんだ表情を見て、ジェーンはぞくりとした。
「私の仮説と、弟へのあなたの愛情の強さを確かめてみてもいいですか」彼の口調は優しかった。「どうにも抑えられそうにないもので……」
 彼から離れる時間は十分にあったし、そうしたところで彼が引き止めないことはジェーンにもわかっていた。なぜ動けないのかときかれても、答えられなかっただろう。命とりにもなりかねない強烈な好奇心があったからとしか考えられない。アレックスにキスをされるのはどんな気持ちだろうと想像するようになっていて、こうなると答えが知りたかった。理由はともあれ、彼女はじっとして待った。アレックスが頭を下げ、そしてキスをした。
 形だけとも思えそうな軽いキス。しかし唇が触れたその瞬間に、体の内側ではぞくぞくする喜びが、雷を思わせる衝撃を伴って生まれていた。興奮の波にのみ込まれるのがわかる。甘美な感覚におぼれて意志の力が薄れていく。彼に抱き締められるのではないかと確かに感じた瞬間があった。ところが、ひどくがっかりしたことに、アレックスはそこで彼女を放すと後ろに身を引いた。
「すまない、ミス・ヴェリー」アレックスは無表情だった。「ここしばらく悩まされていた衝動に、私は負けてしまったようだ」
 ジェーンは大きく息を吸った。キスの味と感覚の名残で頭がふらつき、体が離れたことがさみしくて気持ちが混乱していた。
「ええ」ジェーンは心底正直な態度で答えた。「弟の未来の花嫁にキスをするなんて、ほめられた行為じゃありませんわ、公爵様」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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