マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・セレクト

遅すぎた再会【ハーレクイン・セレクト版】

遅すぎた再会【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


著者プロフィール

 レベッカ・ウインターズ(Rebecca Winters)
 アメリカの作家。十七歳のときフランス語を学ぶためスイスの寄宿学校に入り、さまざまな国籍の少女たちと出会った。これが世界を知るきっかけとなる。帰国後大学で、多数の外国語や歴史を学び、フランス語と歴史の教師になった。ユタ州ソルトレイクシティに住み、四人の子供を育てながら執筆活動を開始。これまでに数々の賞を受けたベテラン作家である。

解説

セザール・ド・ファルコンは、イタリア貴族の若き大富豪。逞しい肉体に銀色の瞳を持つ、すべての女性が憧れる男性だ。そして、平凡なサラの愛する人で、5歳になる息子の父親だった。6年前、一夜の恋から身ごもったことを伝えようとした折、サラはセザールから、リゾートでの2週間の休暇に誘われた。期限つきの往復切符――これを彼の本心と深読みしたサラは、招待を断り、姿を消して一人で子どもを産んだ。だがそんなある日、セザールが命にかかわる大事故に遭う。サラは自らの過ちを思い知り、矢も楯もなく病室に駆けつけた。生きて――あなたには息子がいるのだから、と伝えるため。

■涙なくしては読めない、感動のシークレットベビー・ロマンスです。かわいい息子との対面は、絶望していたセザールを一瞬にして魅了しますが、その存在を隠していたサラへの怒りは、彼女への愛の強さと相反するように強く……。
*本書は、ハーレクイン・イマージュから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 サラはセザールのベッドから一メートルほど離れたところまで近づき、やっと勇気を振り絞って声をかけた。「こ、こんにちは、セザール」
 セザールの目がぱっと開いた。
 最後に二人が会ったとき、美しく透き通っていたグレーの瞳はサラを求めて情熱的に輝いていた。しかし、今は渦を巻く雲のような色をしている。地上にまで伸びて竜巻となり、行く手にあるものをすべて破壊していく漏斗雲の色だ。
 サラの口の中がからからになった。「ほ、本当に久しぶりね。会えてうれしいわ」
 三十三歳になったセザールは、以前にもまして魅力的だった。だがサラにはいちばん会いたくなかったのだろう、彼は血の気を失った唇から脅すような低いののしりの言葉を吐き出した。
 最後の逢瀬はサラが二十歳のときだった。当時の彼女は髪を切らずにいることを誇りにしていたので、髪は背中に流れ落ちて腰に届くほどに伸びていた。あれから六年がたった今、顎のところで切りそろえられた髪は卵形の顔と黒いまつげに縁取られた瞳を美しく引きたてている。
 歳月は、百七十センチでほっそりしていたサラの体に曲線美を加えていた。セザールは目を細くして彼女の全身を見つめた。淡い青紫色の薄いクレープドレスの下の体を、彼はつぶさに知っている。そう思うと、サラの頬がかっと熱くなった。どちらかというと、セザールは嫌悪感を顔に浮かべている。
 サラはこれほどひどいとは思っていなかった。でも、最悪の事態すら想像したことを思えば――。
「前に私をイタリアへ呼んでくれたことがあったでしょう。今まで来なかったのは、それなりのわけがあったからなの」
「最低のタイミングだな」セザールは冷たく言い放って目を閉じた。明らかにこれ以上言うことはないと告げている。
 セザールの変わりようにサラは恐れをなしたが、必死にその場にとどまった。「いいえ。次のレースは三月でしょう。この一時的なつまずきから立ち直るまでに七カ月もある。私が訪ねてくるのにこれ以上のタイミングはないわ」
「出ていってくれ、サラ」
 心の内で煮えたぎるセザールの激しい怒りを、サラは感じた。「よかった、私の名前をまだ覚えていてくれたのね」
 またもや、ののしるようなイタリア語が空気を切り裂いた。サラでなければとっくに病室を飛び出していただろう。だが、彼女には決死の使命があった。
「昔、私に招待状を送ってくれたでしょう?」
「ここから出ていけ」
 礼儀正しいそぶりさえ見せず、ぶしつけな言葉が病室の壁にこだまする。その響きが消えるよりも早く、セザールは顔をそむけて目を閉じた。サラを脅して、完全に立ち去らせたと思っているのは間違いなかった。
「私はあなたを哀れんだりしないわ」サラは負けなかった。「先生の話ではまた歩けるようになるそうね。でも私が来たのは、まったく別の用なの」
 分別がある人なら帰っていただろう。でも分別があってもなくても、私はただの人じゃない。彼の息子を産んだんだもの。今こそ、父と子を会わせなくては。神に誓って必ず会わせるわ。ぶるぶると震えながら、サラは心の中で叫んだ。
「私を愛した日の朝、自分がなんと言ったか忘れているのね。でも私は忘れない。あなたはこう言ったわ。“サラ、今後僕には二つのレースが控えているし、新しいタイヤを試すのによぶんな練習時間が必要だ。むこう数カ月はこんなふうには会えない。僕がひまになったら、君を呼ぶ。二人で話し合ったように、ポジターノで二週間一緒に過ごそう。そのあとはフランス、続いてスペインでのレースに向けて準備をしなければならないが”って」
 サラは落ち着きなく左右の足の体重を移し替えた。
「あのとき、私は行くつもりだった。最終的な計画を立てるために、あなたは電話をくれたわ。でもそのとき、私たちの人生を永遠に変えてしまう事実がわかって。実は私……妊娠していたの」
 その瞬間、セザールの頭が動いた。目を開け、顔をサラに向ける。「妊娠って、誰の子だい?」
 サラは息がつまった。「あなたの子よ」
「もっとましな話を考えるんだな。僕は避妊していたんだぞ」
「そうね。でも産科の先生によれば、百パーセント避妊できることはないそうよ。念のため、息子のDNA検査結果を持ってきたわ」
「息子?」
「私とあなたの息子よ、セザール。あなたにそっくりで、看護師さんたちが驚いていたわ」
 セザールがはっと息をのんだ。「僕に息子がいるのか?」
 弱りきった体でサラに怒りを抱いていたにもかかわらず、その声にはまぎれもない喜びの響きがあった。セザールは喜びを隠しきれなかったのだ。サラはその反応を待っていた。計画の残りの部分をやり抜くために。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。