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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・プレゼンツ スペシャル

泣きぬれた天使

泣きぬれた天使


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・プレゼンツスペシャル
価格:900pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ダイアナ・パーマー(Diana Palmer)
 シリーズロマンスの世界で今もっとも売れている作家の一人。総発行部数は4200万部を超え、ニューヨークタイムズを含む各紙のベストセラーリストにもたびたび登場。かつて新聞記者として締め切りに追われる多忙な毎日を経験したことから、今も精力的に執筆を続けている。ジョージア州在住。大の親日家で、日本の言葉と文化を学んでいる。家族は夫と息子の三人。

解説

心の傷がうずきだす――瞳があなたをとらえるたびに。

新しい仕事のスポンサーが、まさか彼だったなんて……。全身全霊で恋した人に無垢な想いを踏みにじられて9年、やせっぽちの少女から美しいモデルへと成長したギャビーは思いもよらない形で初恋の人マークと再会した。だが今や大実業家となった彼にはまったく相手にされず、ギャビーは彼の弟ジョーに誘われるまま食事に出かけるようになる。穏やかな友情もつかのま、ある夜突然、ジョーは不審な死を遂げた。茫然自失となりながらも何とか葬儀に赴いたギャビーを、マークは弟をたぶらかして死に追いやった悪女と一方的に決めつけた。「弟の眠りを妨げるな。出ていけ――僕の視界から消えてくれ!」

■マークの罵詈雑言に深く傷つきながらも、ジョーの死の真相を独力で探りはじめたギャビー。まったく聞く耳を持たないマークでしたが、彼女に命の危機が迫り来て……。ロマンス界のレジェンド作家D・パーマーの原点とも言える初期傑作、待望の本邦初邦訳です!

抄録

「いい眺めだろう?」不意にマークの声がした。タバコを手に近づいてくると、彼は夜景を一瞥してからギャビーに向き直った。そして、今度はさらに入念に彼女の全身を観察した。「君は変わった」
「年を取ったの」ギャビーは冷たい石の手すりにもたれかかった。彼の突然の登場に動揺していることを悟られないよう息を整えながら、かつて愛した青年の痕跡を求めていかつい顔を探った。「あなたもね」
「当時でも僕は九年分君より老けていた」マークは吸ったタバコを床に落とし、靴のかかとでもみ消した。「君は十七歳、僕は二十六歳だった。なぜ弟とデートしているんだ?」だしぬけに彼は質問を投げかけた。
 相変わらずね。マークは昔から歯に衣を着せない人だった。「なぜデートしちゃだめなの?」
「その理由は君もよくわかっているはずだ」
「まさか私が復讐のためにそうしていると思っているんじゃないでしょうね?」ギャビーは落ち着かなげに笑った。
「それ以外にどんな理由がある? ジョーは君のタイプじゃない。あれはマシュマロみたいな男だ」
「じゃあ、あなたはナイフね」ギャビーは真っ向から彼をにらみつけた。「ナイフみたいに人を切り捨てる男。私はあなたの弟が好きよ。彼は本物だわ。あなたはそうじゃなかった。私が本物だと思い込んでいただけだった」
「九年も前のことだろう」マークは指摘した。「もう終わった話だ。始まる前に終わっていたんだよ」
「私が一方的にあなたを困らせていただけよね」ギャビーは軽く笑った。胸の前で腕を組み、鋭い視線を返した。「私、世間知らずだったから」
 マークの顔がこわばった。「ああ」
 ギャビーは頭をのけぞらせた。柔らかな金褐色の髪が滝のように彼女の背中へ流れ落ちた。「でも、もう世間知らずじゃない。だから、あなたのかわいい弟のことは心配しないで。私も悪いようにはしないから」
 ここまで露骨な攻撃が来るとは思っていなかったのだろう。マークはわずかにたじろぎ、新しいタバコに手を伸ばした。「ニューヨークにはほかにも男が大勢いる」
「私はジョーが好きなの」ギャビーは言い返した。その言葉がマークを傷つけることを願いながら。アパートメントに戻ろうとしたところで、彼女はマークに腕をつかまれた。素肌に当たる彼の手のひらの感触が、もっと優しく触れられたときの記憶を呼び覚ました。マークは怒りのまなざしで彼女を見下ろしている。ギャビーの脳裏にぎりぎりで持ちこたえているダムのイメージが浮かんだ。そのダムが決壊したときにどういうことが起きるか、マークの情熱がどれほど激しいものか、彼女はよく覚えていた。
「ジョーには手を出すな、ハニー」マークがつぶやいた。怖いほど穏やかな口調で。「あいつは君には合わない」
「もし私が彼に手を出したら、あなたはどうするつもりなの?」ギャビーは挑発した。「私に殺し屋でも差し向けるの?」
「殺し屋とは極端だな。君を傷つけるつもりはないよ。そういう形では」マークは金褐色の長い髪をとらえ、彼女を自分のほうへ引き寄せた。彼は昔から大きかったが、いまは山のように感じられた。ギャビーの体がうずきだした。彼女にはその反応を止めることができなかった。
「やめて」
「君は知りたくないのか?」彼女の表情を探りながら、マークはささやいた。「僕は知りたい。君の味がどう変わったのか、良質なワインのように熟成されたのか、確かめてみたい」
 マークのセクシーな唇が目の前にあった。ギャビーは外の世界の存在を忘れた。マークの匂いがするわ。彼の大きな体を感じる。古い記憶が炎となってギャビーをのみ込んだ。よみがえった情熱が彼女の体をうずかせた。
「柔らかいね」マークは彼女を引き寄せ、その両腕に手を這わせた。「君は夜の薔薇の香りがする。あの頃と同じだ。君はまだ男を知らなかった。僕は君を――」
「でも、いまの私はあなたの足下にひざまずいたりしないわ」吐き捨てるようにギャビーは言った。彼に身を投げ出したい衝動と闘いながら。この男は敵よ。そのことを忘れてはだめ。目の前にある誘惑的な唇に向かって、彼女は硬い笑みを返した。
「痩せ我慢だな」二人の唇を軽くこすり合わせながら、マークはあざ笑った。「君は我慢できるのか? 僕は覚えている。初めて触れた瞬間から君の体が僕のものだったことを。君も覚えているだろう? あの公園で、古い樫の木の下で起きたことを?」ギャビーの開いた唇に向かって、彼はささやいた。
「百年前の話よ」ギャビーは彼の手を振りほどこうとした。
「もっと前かも」冷酷な微笑。マークは彼女をもてあそんでいるのだ。それはギャビーにもわかっていた。わかっていても、体のうずきを止めることができなかった。たくましくて大きな体。もしいまキスをされたら、私は床に崩れ落ちてしまう。それだけは阻止しなくては。膝から力が抜けた。息をするのも苦しかった。それでも、彼女は必死に正気を保とうとした。
 マークは彼女の喉に指を這わせた。「君がジョーを振り回すつもりなら」かすれ声で彼はささやいた。「僕も君を振り回す。僕の残り物などあいつは望まないはずだ」
「九年前に自分が何を残したか、知りもしないくせに」ギャビーは込み上げてきた怒りにすがった。彼の腕の中で背中を反らし、身を硬くした。「あなたはぼろ雑巾みたいに私を捨てたのよ!」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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