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あなただけのための花

あなただけのための花


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

 ローリー・フォスター(Lori Foster)
 愛に対する確固たる信念をセクシーな作風と切れ味のいい文章で表現し、読者の支持を得ている。高校時代からの恋人である夫と三人の息子とともにアメリカのオハイオ州に住んでいる。小説を書くのは大好きだが、いちばん大切なのは、どんなときも家族だと言う。

解説

夜のお出かけ、苦いビールに甘いキス。初めてはいつもあなたとだった――シリーズ第2弾!

「両親の目の届かないところで、夜のお出かけがしてみたい」今回の警護対象であるファロンの依頼に、ジャスティスは驚いた。顔つきこそあどけないものの、彼女は官能的なボディラインを持つ24歳。深窓の令嬢だからといって、過保護にも程がある――困惑しつつも、そのワイルドな風貌を買われたジャスティスは、箱入り娘の社会見学にボディーガードとして同行することに。あらゆる“初体験”を無邪気に喜ぶ姿を見るうち、いつしか義務感を超えた感情が芽生えるが、ファロンが言い出せない、“秘密の願いごと”には気づかず……。

抄録

 初めてファロンを見たとき、まず目についたのは、なめらかな頬と、小さくてまっすぐな鼻だった。丸みを帯びた顎も愛らしかったし、唇の形もいい。だが何より印象深いのはあの瞳だ。顔全体の造作はとくに派手ではないのに、子鹿のような黒い瞳が、見る者の心をわしづかみにする。長いまつげの上で、眉がやさしい弧を描いていた。
 ファロンはピンクのインナーの上に丈の長い黒シャツを着て、濃いピンクのカーディガンをはおっていた。背はそれほど高くない。全体的にほっそりしているものの、女性らしい曲線はしっかりと確認できる。重ね着をしていても、スタイルがいいのはまちがいなかった。
 ファロンのあとをついて階段をおりながら、ジャスティスの目はハート形のヒップに吸いよせられた。黒いスカートが小気味よく揺れて、その形がくっきりと浮きあがっている。
 幼さの残る顔と成熟した体、そしてリードを外してもらった子犬のようなはしゃぎぶり。そのミスマッチがなんとも新鮮だ。
 それにしても、ウェイド夫妻は二十四歳の娘に対して、十歳の子どもに接するような態度をとっていた。見ているだけで息が詰まる。その点についてはファロンに同情した。ふだんからあの調子なのだとしたら、親のいないところで羽をのばしたいと思うのも無理はない。
 もともと簡単な任務だと思っていたし、クレイトン・ウェイドの話を聞くかぎり、とくに警戒する要素もなさそうだ。ジャスティスはスマートフォンをとりだした。
 ファロンがこちらを見る。「あの、電話をするなら、わたし、離れていましょうか?」
 ファロンの口調にとがめるようなところはなかった。
「いや、ちょっと調べたい言葉があるだけだ」
 ファロンが首をかしげる。「どんな言葉?」
「シュツジってやつ」
 夜風に乗って、軽やかな笑い声がジャスティスの耳をくすぐった。
「おかしいか?」
 ファロンの瞳がきらりと光る。「むしろ恥ずかしいわ」
「おれがものを知らないから?」
「まさか」ファロンが驚いた顔をする。
「だったら何が恥ずかしいんだ?」
 ファロンが階段の下からジャスティスを見あげた。「父が失礼なことを言ったからよ。おまけに的外れだし」
 スマートフォンの画面に“出自”の定義が現れる。
“出自 出生と同時に系統的に認知・規定される帰属、出どころ”
「ああ、なるほど。つまりおれみたいな下々の者が、きみのようなお嬢様にちょっかいを出すなと言いたかったのか」
「父は、わたしのまわりにいる同年代の男の人全員に似たようなことを言うの。そのたびにわたしは恥ずかしい思いをするわけ」ファロンは鼻にしわを寄せた。「そもそも守ってくれる恋人ができないから、ボディーガードを雇うはめになったのにね」
 ジャスティスは改めてファロンを見た。きれいな女性なのに、本人はそう思っていないらしい。甘やかされた気どり屋どころか、謙虚すぎるほど謙虚だ。「きみさえその気になれば、寄ってくる男はいくらでもいると思うが」
 ファロンが眉をあげる。「本当?」
 ジャスティスは思わせぶりな目つきをした。「ああ。おれだって立候補するぜ」
 つぶらな瞳がさらに大きくなる。「まあ!」ファロンが恥ずかしそうに顔を伏せた。耳まで赤くなっている。
「ああ、すまない。クライアントに対して不適切な発言だったよな。おれの言うことなんて気にしないでくれ」
 ファロンは小さく首をふった。それからおずおずと顔をあげ、大きく息を吸った。「ありがとう。すごくうれしい」
 黒い雲が空を転がっていく。大気に雨の気配が満ちていた。ジャスティスは嵐が好きだ。力がみなぎる感じがする。
 ただそのときばかりは、天候に刺激されているのか、目の前の可憐な女性に刺激されているのか、判断がつかなかった。
 大股で階段をおり、SUVの後席のドアを開ける。「それで、どこへ行きたい?」
「さっき家のなかで、バーへ行けば、あなたみたいな人は目立たないって言ったでしょう? バーって楽しい?」ファロンはふっくらした唇を噛んだ。
 おれを誘惑しているのか? それとも、自分が男にどんな影響をおよぼしているか、まったくわかっていないのだろうか?
 ジャスティスは彼女の魅力にしっかりと影響されていた。その証拠に、グロスで艶めく口元から目が離せない。
 ファロンが質問の答えを待っている。
 ジャスティスははっとした。そもそもの質問が思い出せない。
「ねえ、バーっておもしろい? おすすめのお店はある?」ファロンのピンク色の頬にえくぼが浮かんだ。
 ジャスティスは危うさを感じて一歩さがった。
 これは計算じゃない。ファロンは自分の影響力をまったく意識していないのだ。おれはいったいどうしたんだろう? 清純な女なんて、タイプでもないのに。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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