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愛は遠いあの日から

愛は遠いあの日から


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 1877年、娼婦がお尋ね者の男を射殺し、自らも命を断った。男は縛り首になるよりは愛する女に撃たれることを選んだのだ。そんな悲恋伝説などまったく知らないレイチェルは、最近、自分に起こっていることが理解できずに苦しんでいた。夢のなかで危険な男と愛しあっていたかと思うと、目覚めたときには涙を流しながら森にたたずんでいる。そんな姿を、ある夜とうとう見知らぬ男に目撃されてしまった。いいえ、彼のことは知っている――黒い瞳も、黒髪の手触りも。謎めいたその男に、レイチェルは強烈な引力を感じた。

抄録

「怖がらないで。何もしないから。きみの泣き声が聞こえたんで、助けがいるかどうか見に来たんだ」
「いいえ、大丈夫よ!」レイチェルは叫び、後ろへ下がってほしいという身ぶりをした。「わたしにかまわないで。お願い!」
 ブーンはその必死な声に眉を寄せた。これでは何もできない。本能は、今のうちにこの場を去れと告げていた。長くとどまるほど、誰かがあらわれる可能性は大きくなる。そうしたら、半裸で脅えている女性と森にいる理由を説明しなければならない。しかし彼女はひどく頼りなげで、ブーンはなぜかこの場を離れがたかった。彼は深く息を吸い、もう一度だけ試すことにした。
「神に誓うよ、きみを傷つけたりしない」
 この男の声……あの言葉……。それがレイチェル自身さえ知らなかった記憶を呼びさました。あの声が、同じ言葉を言うのを聞いたことがある――そんな奇妙な感覚が彼女を襲った。
 なぜだろうと必死に考えているうちに、体をしびれさせていた寒けが消えた。目の前から夜が消えはじめ、なすすべもなく見つめていると、ピンクと金色の残照が、ふいに一人の男の姿を浮かび上がらせた。森からあらわれた男のようにも見えたが、それでもはっきり違うところがある。
 とうとう終わりだわ。レイチェルは思った。わたしは狂ったか、でなければ、死にかけているのよ。
 男がほほ笑み、信じられないことに、レイチェルは自分も笑みを返したのを感じた。男が大きく足を踏み出し、見慣れた光を目に浮かべて近づいてきたとたん、世界が狂ったようにまわりはじめた。

 彼は笑った。「ああ、本当におまえは信じられないくらいきれいだ」
 彼女は彼の首に腕をからめ、キスを求めて顔を上げた。思ったとおりのキスだった。荒っぽくてすばやく、いつものように激しいキス。
「今の言葉が本気なら、あたしはずっとあなたのものよ」
 不安が男の体の奥を締めつけた。彼女の率直さ、表情にあらわれた愛や信頼に不意を打たれたのだ。
「女はおれみたいな男を愛したりしない」彼はうなるように言い、彼女の腕をぎゅっとつかんだ。
 彼の目が険しく光っているというのに、彼女はにっこりとほほ笑み、体に触れた。
「ばか言わないで。あなたさえその気になれば、トリニティじゅうの女が、今すぐあたしと替わりたがるわ」
 彼は笑い出した。その短い、自嘲《じちょう》するような暗い声は、彼女を不安にさせた。彼の笑みに冷たさはなかったが、まなざしがすべてを語っている。
 彼もあたしと同じように、今の気持ちを恐れているんだわ。普通なら、男たちはあたしのような女を愛したりはしない。あたしは金を求める。男たちは手に入れたものに金を払う。少なくとも、この人があらわれるまではそうだった。
「愛してはいけない男だとしたら、あなたは何者なの?」
 苦悩が笑みを引き裂き、彼は彼女を放した。
「おれは負け犬だよ。法を敵にまわした男さ。おれは人を殺した。たぶんこれからも殺すだろう。祈ることも忘れたならず者《デスペラード》なんだ。おれにかまわないほうがいい」
 彼女はやさしく彼の頬に触れた。「できればそうしたいけど。でも、聞いたことはない? 女の愛は、悪い男だって変えられるのよ」
 痛みが彼の心臓を貫き、魂までも突き通した。彼は下を向き、彼女の顎を持ち上げて、まっすぐ向き合った。
「かわいいマーシー、わからないのか? いったん道を踏み外した者は、二度と立ち直れやしないんだ」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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