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恋する週末

恋する週末


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 地味なスーツのお堅いエマは、誰もが認める仕事中毒。週末のニューオーリンズ旅行でも、居心地の悪さを味わっていた。ところが突然、タキシード姿のすてきな男性に声をかけられ、ディナーから幻想的な夜の散策へとエスコートされる。彼の笑顔に、エマは生まれて初めてのときめきを感じた。そしてたった一夜の、めくるめく甘美なロマンス……。だが月曜、会社が買収されたと聞いてエマは愕然とした。しかも新しいボスは、なんとあの夜の彼ではないか。ひどいわ。私を誘惑したのは、会社を乗っ取るためだったのね!

抄録

 マイケルはエマの後ろ姿を追った。あれはやっぱりバレエの歩き方だ。背中をまっすぐ立てた伸び上がるような姿勢。彼女がどんなふうに踊るのか見てみたい。詩的な乙女の心を持つ彼女の踊りを。
 詩的? 何を寝ぼけたこと言ってるんだ。目的を思い出せ。新聞でエマの写真を見るなり情報をどう引き出すかひらめいたんだろう? その時点ではベッドに誘うことまで考えなかったが、行きがかり上、必要ならいとわないつもりだった。そうとも、血も涙もないろくでなしでどこが悪い。エマの心が詩的だろうがなんだろうが、こっちの知ったことか。
 エマがふいに振り向いた。さっきまでの笑みは消え、目に悲しげな困惑の色を浮かべている。それでも頬はまだほのかに赤らんでいた。
 マイケルは触れそうなほどそばへ近づいた。二人は大きな海賊船の下にいた。エマはいったん彼を見上げたが、すぐに目を伏せた。
「そろそろここを出ましょう」彼女はかぼそい声で言った。
「まだ全部見てないだろう?」
「いえ、いいわ。もう時刻も遅いし」
「現実の世界ではね。だがこの世界ではまだ宵の口だ」
 エマが顔を上げ、二人の目と目が合った。「自己嫌悪に陥るわ。せっかく現実から解放されるつもりだったのに、自分でだいなしにしてる」
「まだまだ経験が足りないな。その点、僕は自信がある。君をみっちり鍛えてあげるよ」
 エマは何も答えず、マイケルの顔を正面から見つめた。額、目、鼻、口。値踏みするように丹念に。マイケルは思わず視線をそらした。彼の目をじっとのぞき込む勇気のある人間はめずらしい。
「あなたはエスコート・サービスから派遣された人じゃないの?」
「なんだって?」
「私の友人たちに雇われたんでしょう?」
「なんのことかさっぱりわからない」
「ハンサムで、態度も自信満々だわ」
「君に何かまずいことをしたかな?」
 エマはほほえんだ。「いいえ。落度があったのは私のほう」
「説明してほしい」
 エマは首を振った。それから伸び上がってゆっくりと彼に唇を重ねた。触れるか触れないかのついばむようなキス。それでもマイケルは圧倒された。
「いったいどういうことだ?」
「私をきれいだと言ってくれたお礼」エマはもう一度キスをした。さっきより少しだけ大胆に。
「今のは?」彼はつぶやいた。
「ここへ連れてきてくれたお礼」
 エマは再び体を伸ばした。唇がじっくりと重なり合う。「これは夕食に同席してくれたお礼よ」
「僕は……」
 言い終える前にマイケルは口をふさがれた。そのキスにこめられた熱いメッセージをマイケルはすぐに読み取った。
 彼はエマの背中に腕を回して抱き寄せた。体と体がきつく重なり、彼の中で興奮が突き上げた。彼女が欲しい。もっと深くたっぷり味わいたい。彼が唇を開くとエマはあっさり降伏した。彼女は甘く温かく湿っていた。すぐに互いの舌が激しく絡まった。エマは両腕をマイケルの首に回しながら顔をわずかにずらし、唇をさらに強く押しつけた。彼女の体から力が抜けていく。唇だけがますます狂おしく勢いを増す。するとエマが唐突に体を引き、マイケルは中途半端なまま取り残された。彼は再び抱き寄せようとしたが、エマはそれを両手で押し戻した。
「今のキスは?」マイケルは低く言った。
「私がしたかったから。やめたのはもうホテルへ戻ったほうがいいから」
 キスの続きのために? マイケルは一瞬期待したが、エマの目はそうではないと言っていた。彼女は一人になりたがっている。つまりはさよならということだ。
「それは本音かい?」彼は片手でエマの首筋と頬をなでた。
 エマは抵抗しなかったが、決心は固まっていた。「ええ」
「理由を聞かせてくれ」
「だめ」かすかにほほえんだ。
「じゃあ想像してみる」
「ご自由に」
「君はこわいんだ。僕が行儀のいい王子様でないとわかるのが。そうだろう?」
 エマは真っ赤になった。ああ、ベッドでの彼女はどんな色に染まるんだろう。マイケルはたまらない気持ちになった。
「それは否定しないわ」
「君の予想はあたってる。僕は確かに王子様なんかじゃない。ただの男だ」彼はエマの頭を引き寄せて静かにキスをし、彼女がやめてと言う前に素早く身を引いた。
「これはなんのため?」エマはささやいた。
「君は予想外の人だ。だからキスも予想外」
「意味がわからないわ」
「僕は君との時間をほんの気晴らし程度に考えていた。ややこしくなるとは思わなかった」
「ややこしい?」エマは少し後ろに下がり、ぎこちなく笑みを浮かべた。「私はべつにそうは思わない。心から楽しんでるもの」
「本当かい?」
 エマはうなずいた。「聞き分けのいい優等生役にはいいかげんうんざり。気晴らし程度の存在じゃ、かえって物足りないわ」
「レストランを出た時点で、僕らは気晴らしの域を越えたんだろうな」
 エマが海賊船に寄りかかるとドレスが体に吸いつき、なまめかしい曲線がくっきりと描き出された。まさしくやっかいな状況だ、とマイケルは思った。本気で彼女が欲しい。自分のほうがここまでのめり込むとは予想外だ。あってはならないゆゆしき事態だ。「そうだね」彼は言った。「君の言うとおりだ。そろそろ戻ろう」
 エマの顔に落胆がよぎったが、すぐにほほえみに変わった。「ええ、現実の世界へ」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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