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甘い蜜の罠

甘い蜜の罠


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★☆☆1
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著者プロフィール

 ダイアナ・ハミルトン(Diana Hamilton)
 イギリスの作家。ロマンチストで、一目で恋に落ち結ばれた夫との間に三人の子供がある。現在、子供たちは独立し、夫と二人暮らし。たくさんの猫と犬に囲まれている。

解説

 ケータリング業を営むアンナは、両親との生活を支えるため、妊娠七カ月になったいまも休むことなく働いている。いつものように依頼先の屋敷に赴き、コース料理を用意した彼女は、ダイニングルームに入ったとたん凍りついた。客のなかに彼がいる……おなかの子の父親、フランチェスコが。フランチェスコとはイタリアを旅しているときに知りあい、すぐさま強烈に惹かれあって結ばれた。だがある日、彼は嘲りの言葉を残し、突然アンナのもとを去ったのだ。二人きりになると、フランチェスコは険しい目を彼女に向け、問いかけた。「たまには本当のことを言ってくれ。僕の子なのか?」
 ★人気作家ダイアナ・ハミルトンの新作は、情熱的なイタリア人男性との恋物語。すれ違う二人に、幸せは訪れるのでしょうか?★

抄録

 無神経な彼のことだ、自分の子かどうか知りたいとも思わないだろう。イスキア島での出来事は平気で忘れ去られる情事のひとつにすぎない。妊娠したのは私のせいで、私が自分でどうにかできるとして、問題にもしないはず。
 それならそれでけっこうよ!
 彼のことを真っ黒な髪の色と同じくらい腹黒い人間だと決めつけて、アンナは荒々しく頭から追い払い、イグニッションにキーをさしこんだ。
 エンジンが苦しげな悲鳴をあげ、そして止まった。四回試したあげく、バッテリーが上がったと認めざるをえなくなった。泣きたいのをこらえ、バッグの携帯電話を手探りする。これはひとえに自分のせいだ。ニックから新しいバッテリーに換えるよう勧められたのに、先延ばしにしていたから。でもライランズの光熱費を払い、食卓に食べ物を出すためには、一ペニーも無駄にできない。
 どうやら携帯電話も家に置いてきたようだと結論づけ、アンナは握り拳《こぶし》をハンドルにたたきつけた。気は進まないけれど、あの人たちに頼むしかない。
 フランチェスコと彼の現在のお相手に。ローズウォール夫妻はとっくに寝室に引きあげているだろう。フランチェスコと若い女性客ももしかしたら、と思うと、気が滅入《めい》る。ライランズまでは十三キロの道のりだ。しかも、土砂降りの雨。こんな体でなければなんとか歩くのに……。

 フランチェスコが小さいグラスに入れたグラッパを飲んでいるあいだに、赤毛の女性は居間を出ていった。頭から湯気をたてて。
 神経がとがって落ち着かず、彼はグラスを持ったまま部屋を行きつ戻りつした。女性をかわすのは慣れている。いつもは手際がいい。しかし今夜は違った。別に粗野だというわけではなく、冷たく手短にはねつけただけだ。
 彼女が企画した慈善舞踏会のチケットには興味がなかった。ロンドンに戻ってからあらためて会い、一緒に昼食をとるという案も。彼のスケジュールはここ当分、ぎっしり詰まっていて、どんな社交にも時間を割くゆとりがない。
 その時点で彼女はベッドに行った。ひとりで。
 だから、ゆっくりできるはずだった。それができない。アンナ・メイベリーに再会して屈辱的な記憶がよみがえり、必死に忘れようとしていたものが何もかも信じられないほどの鮮明さでよみがえったせいだ。アンナが身重の体であることも彼の心をかき乱す原因で、ぜひとも答えてもらわなければならない疑問が胸をさいなむ。
 彼女に面と向きあえるのは朝になってからだ。それは耐えがたいほどずっと先のことに思われた。

 玄関の呼び鈴を押すとき、アンナは今にも気持ちがくじけそうだった。髪は濡れねずみの尻尾《しっぽ》のようになっている。仕事着の前がびしょ濡れなのは、おなかが大きいので古いレインコートのファスナーが締まらないせいだ。吐き気がするほど緊張し、ひどい格好だとわかっているだけになおさらだった。
 でも、ニックに連絡して迎えに来てもらうためには、フランチェスコに頼んで、ローズウォール家の電話を貸してもらわなければ。
 ようやく呼び鈴に応《こた》えてドアがさっと開いた。アンナは背筋をこわばらせ、フランチェスコの険しくハンサムな顔を見ることもままならず、みっともなく震える声でなんとか言った。「ライトバンのエンジンがかからなくて。電話を使わせていただけないかしら?」
 沈黙。次に、容赦なく降る雨をついて、鋭く息をのむ音が聞こえた。アンナは思わず彼の目を見上げた。灰色の鋼のような目を。
 魅力的なイタリア語訛《なまり》も、感情をむきだしにした問いかけをやわらげはしなかった。「たまには本当のことを言ってくれ。僕の子なのか?」

*この続きは製品版でお楽しみください。

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