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婚礼の夜の過ち【ハーレクイン・セレクト版】

婚礼の夜の過ち【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 アビー・グリーン(Abby Green)
 ロンドン生まれだが、幼少時にアイルランドに移り住む。十代のころに、祖母の愛読していたハーレクインのロマンス小説に夢中になり、宿題を早急に片づけて読書する時間を捻出していた。短編映画のアシスタント・ディレクターという職を得るが、多忙な毎日の中でもハーレクインの小説への熱はますます募り、ある日辞職して、小説を書きはじめた。

解説

こんな結婚、やっぱり私にはできない!誓いの言葉を交わす寸前になって、花嫁のアニーサは逃げだした。婚約者がじつは同性愛者で、それをカムフラージュするためにアニーサをだまして縁談を進めていたと、式の直前にわかったのだ。ウエディングドレスを着たままホテルのエレベーターに乗りこんだ彼女は最上階の豪華なペントハウスで、見知らぬ男性とでくわした。本当はこの人のような男性と、情熱的に結ばれたかった……。彼の青い瞳に誘われて、アニーサは彼と一夜をともにする。彼がそのホテルのオーナー、セバスチャン・ウルフだと知るのは、数週間が過ぎ、お腹に宿した子の父親を捜しているときのこと――

■セクシーなヒーローとドラマチックな作風で人気沸騰中のアビー・グリーン。リン・グレアムとも友人同士という彼女は、ハーレクイン・ロマンスらしい激しい愛を描いて一躍人気作家になりました。今作にも、ひと目で虜になるほど魅力的なヒーローが登場します。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 セバスチャンは理屈抜きの感情がこみあげるのを抑えることができなかった。長いまつげに縁取られたアーモンド形の大きな茶色の瞳にも、あふれんばかりの感情が渦巻いていた。「なんと美しい……」
 かつてのアニーサならそのお世辞を当然のように受け止めていただろう。けれども今、考えつくのはこの言葉だけだった。「あなたも美しいわ」
 セバスチャンはアニーサの顔から手を離し、彼女の手を引いて浴室から連れだした。
 居間に戻ると、アニーサは手を引っこめた。とたんに寂しさを感じたが、この男性にかかると、一瞬にして自分を制御できなくなる。それが怖くてたまらない。スピードが増す一方の暴走列車に乗っている気分だった。「本当にもう行かないと。これ以上、ご迷惑をおかけするわけにはいかないわ」
 彼の目に名状しがたい何かがきらめいた。だが、口ではこう言っただけだった。「今年最も注目されている結婚式から逃げだした花嫁の末路に向き合う覚悟はできているのか? そろそろロビーや玄関にはマスコミの連中が群がっているころだ」
 このスイートルームの外で待ち受ける騒動に思いを馳せるや、アニーサの顔から血の気が引いた。それを見てセバスチャンが小さく悪態をつき、再び彼女のそばに寄ろうとしたが、アニーサは片手で制した。それから目がくらんだかのように下を向いたものの、すぐに顔を上げて苦笑を浮かべてみせた。
「私は小さいころから、花嫁になる日を夢見てきたの。メヘンディの儀式に憧れていた。親戚の女性が集まって、私の手と脚にヘナで細やかな模様を描く……初夜に夫の目に触れるように、そうやって支度をするのよ」笑みが消える。「ところがいざ自分が結婚するとなったら、ボリウッドのメイクアップ・アーティストがいっさいを手がけ、親戚の女性たちは蚊帳の外に置かれてしまったの……」
 そのときふと、アニーサは気づいた。子供のころからの夢だった初夜は二度と訪れそうにない、と。親戚に償いをする機会も。
 アニーサは胸に大きな穴がぽっかりとあいた気分だった。長年の夢は失われた。どのみち、自分が逃げだした結婚は、子供のときに思い描いていたものとは比べようもないけれど。セバスチャンを見て、彼女はかすれた声で言った。「初めての夜を私が夫と迎えることはもうないわ」身につけた衣装を手ぶりで示す。「これ全部が……無駄になるのね」
 セバスチャンの厳しい顔がやわらぐ兆しは見えなかった。この男性が自制を失うことはめったにないのだろう。そう思うと、その自制を失うところを見てみたいという衝動に駆られた。どこからそんな衝動が生まれたのかはわからない。けれども、アニーサのなかでそれは刻々とふくらんでいった。
 半ば無意識のうちに、アニーサはセバスチャンのそばに行った。彼の目に青い炎がまばゆいばかりに燃えあがる。アニーサは心のどこかでそれに励まされ、口を開いた。「もっと早くあなたに出会っていたらよかったのに……初めての夜をあなたと迎えられたら……」
 自分が大それたことを口にしたのはぼんやりとわかっていた。とはいえ、それは紛れもなく本心から出た言葉だった。いくら隠しておきたくても、決して黙っていられなかっただろう。アニーサは彼の口をじっと見つめた。
 かたやセバスチャンは何もかもがこの瞬間に凝縮されている気がした。痛いくらいに激しい欲望がわき起こる。自分で何を言っているのか彼女はわかっているのか? まだバージンなのか? その可能性があるだけで、いつもなら一目散に逃げているところだった。だが、このときばかりはかえって欲望を刺激され、いっそう血が沸きたった。アニーサが僕の口を見ている。彼女の唇は開かれ、瞳は濃い色の宝石さながらに輝いている。セバスチャンは拒みきれなかった。どうしてもアニーサを味わいたい。彼女に触れ、キスをしたい……。
 不意にアニーサが身を引こうとした。我に返ったような目になり、頬を赤く染めている。きっと恥ずかしいのだろう。その気持ちがいじらしく、過剰なくらいに彼女を守ってやりたくなり、セバスチャンは両手を広げて細いウエストに添えた。ゆったりとしたサリーの下は素肌だった。サテンのようになめらかで柔らかい。
 優しく、しかし決然とセバスチャンはアニーサを引き寄せ、顔を下げた。女性に初めてキスをするときに、細かい動きのひとつひとつや甘美な期待をこれほど切実に感じたためしはなかった。
 すでにアニーサにはセバスチャンの魅力に逆らう気力がなかった。彼はなおもアニーサに顔を近づけ、むさぼるようなまなざしを注いだ。その瞬間、アニーサの欲望に火がついた。
 彼の唇がすぐそばにある……アニーサのまぶたは震えながらひとりでに下りた。奥深いところから耐えがたいほどの気持ちがあふれ出る。二人の息が溶け合って唇が重なると、アニーサはめくるめく興奮にのみこまれた。胸に抱える苦しみも頭の混乱も、記憶を失ったかのようにきれいに消えていた。
 キスはゆっくりと優しく始まった。唇を官能的に刺激されるうちに、アニーサの全身が震えだす。セバスチャンの両手はウエストから離れ、彼女の頭をそっと支えながら指でほぐしている。すでに乱れている髪がほどけはじめた。
 セバスチャンが彼女の唇を開かせて舌を差し入れると、アニーサはあえいだ。ますます下腹部が熱を帯び、腿の付け根がうずいて、脚を閉じずにはいられない。
 キスはまたたく間に原始的で差し迫ったものに変わった。セバスチャンは必死に自分を抑えようとしたが、すでに二人はあらゆる自制を失う瀬戸際にあった。彼がこんなにも短時間で女性と一線を越えそうになったのは初めてだった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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