マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクション恋愛小説ロマンス小説

一度の夏では足りなくて

一度の夏では足りなくて


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


解説

 静寂なクレセント湖畔のコテージに、ケイトはこの夏もやってきた。家族が所有する別荘はテレビも電話もインターネットもなく、まさに陸の孤島。しかも今年は幼い息子と二人きり。新聞記者の職を失った今、将来を見つめ直すいい機会になる。そんな彼女の隣のコテージに、JDという男がひっそり滞在していた。実は彼は大統領の命を偶然救い、マスコミによって国民的ヒーローに祭りあげられた話題の人。だがケイトはそれに気づかず、謎めいたJDと恋に落ちる。秘密をはらんだ二人の愛を連れ、美しい夏が早足で過ぎ去ってゆく……。

抄録

 パーティーの前夜、ケイトはカリーにアーロンの世話を任せて、JDと出かけた――デート、という口実で。その前にふたりで何箇所か立ち寄って、カリーの誕生日プレゼントを選んだ。もちろん、音楽だ。ジミ・ヘンドリックスのコレクションボックスと、JDがきっと気に入るはずだと請けあった最新の電子音楽《エレクトロニカ》。もっとも、後者にケイトはたじろいだのだが。彼女のほうは、カリーが好きだとわかっているネイルカラーの新色を四色選んだあとで、衣料品店の陳列棚をあちこち見て歩いた。「あの娘はジーンズとスウェットとTシャツしか着ないのよ」そうJDに話す。「だけど、わたしがそれにけちをつけているとは思われたくないの」最後に、メッセージカードを決めた。創造性には欠けているが、実際的だと判断したものを。その文具店でさらに、ノートの束とうっすら罫線《けいせん》が引かれたクリーム色の便箋《びんせん》ときれいな色のペンを何本か見つけて買った。
「あの娘のことが、すごく大切になってきているの」そうケイトはJDに話した。
「運のいい娘だ」
「そう思う?」
「そうに決まっている。さあ、夕食を食べに行こう」
 計画では、地元の劇場で新しい映画を観《み》ることになっていたが、ピーチパイ・アラモードを半分ほど食べたところで、疑う余地のない熱い目で彼がこちらを見つめていることに気がついた。その視線から、本当に熱が感じられるような気がする。
「どうかしたの?」ケイトは尋ねた。
「映画の気分じゃないんだ」あっさりした言葉だが、声が底流をはらんで張りつめているのがわかる。ケイト自身もその底流を感じているから、わかるのだ。
「わたしもよ。じゃあ、どうしましょうか?」
「ぼくの別荘へ行こう」
 いつもなら、とくに過激な提案ではない。だが、いまはちがう。それをふたりとも承知している。「いいわ」ケイトは答えた。
 湖までの車中では、ふたりともろくに口をきかなかった。ゆったりした甘いラブソングがラジオのスピーカーから漂ってくる。JDに手を差し伸べられてトラックを降りると、ふたり並んで玄関ポーチに向かった。「今日は物静かだね」彼が鍵《かぎ》を取りだしながら言う。
 ケイトは深呼吸をすると、意を決してこう言った。「あなたはまだキスしてくれてないけど、その理由が知りたいの。何がキスの妨げになっているの?」
 JDはしばらく黙っていた。暗がりに隠されて表情はわからない。「一般的な意味でのキスかな、それとも、きみへのキス?」
「わたしにキスをするのがいやなのね」
「それはきみの言葉であって、ぼくのじゃない」
 もどかしさに叫びだしたくなった。「ねえ、たぶん、わたしは帰ったほうが――」
「ケイト」JDはささやくと、腕をつかんで彼女の体をまわし、顔をのぞきこんだ。「きみは……」せりふを忘れた俳優のようにたどたどしいが、キスにはもどかしさもためらいもなかった。ぐいと体を引き寄せて、もはや前ふりも作法もなしにいきなり口づけてきた。唇を開き、探るような動きで。熱情の鋭いうずきに耐えきれず、ケイトはへなへなと体を預けた。彼が欲しいけれど怖い。だけどもうその気だし、明日のことを心配するのはよそう、いまのところは。
 彼は別人みたいで、刺激的だ。なのに、ケイトはその腕にもキスにもしっくりなじんでいる。ふいに、目のくらむようなロマンチックな考えが頭に浮かんだ。自分は生まれてからずっと彼を待ちつづけていたのだ、と。
「これで、どうかな?」JDはなおもかすめるように唇を這《は》わせながら尋ねた。
「Aプラスをあげる」ケイトはわななきを抑えて、深く息を吸った。「だけど、たぶん、まだわたしたち……わたしには……」

*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

この本を読んだ人は、こんな本も読んでいます

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。