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ナポリの悪夢【ハーレクイン文庫版】

ナポリの悪夢【ハーレクイン文庫版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫コンテンポラリー
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジャクリーン・バード(Jacqueline Baird)
 趣味は油絵を描くことだったが、家族からにおいに苦情を言われ、文章を書くことにした。そしてすぐにロマンス小説の執筆に夢中になった。旅行が好きで、アルバイトをしながらヨーロッパ、アメリカ、オーストラリアを回った。英国に戻ったときに結婚。二人の息子に恵まれ、現在も生まれ故郷のイングランド北東部に夫とともに暮らしている。「二人のバレンタイン」と「恋は強引に」がお気に入りの作品だという。ロマンティックタイムズ誌の賞の受賞歴があり、ベストセラーリストにもたびたび登場する。

解説

サラは、親友夫婦の船舶旅行に同行していた。ある島に寄港した一行の船の隣に、豪華なクルーザーが停泊する。クルーザーの所有者は、ナポリ名門一族の完璧な貴公子らしい。興奮ぎみな親友の言葉を、サラは聞くともなく聞いていたが、夜のパーティに現れた男性を見て、言葉を失うしかなかった。
グイード・バルベリ――二度と会いたくなかった、かつての夫。身ごもっていた子を流産すると、彼の父から手切れ金を渡され、ぼろ屑同然に追い払われたのだから。泥棒猫とまで蔑まれて。身動きできないサラに、彼の怜悧な美貌が平然と微笑んでいた。

*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン文庫版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

「イタリアへ移ったとたん、きみはたちまち興味をなくしたけどね」
「おかしなことを言わないで。ご両親には料理人がいたじゃない」都合よく忘れるなんて。それとも、グイードは気づいてもいなかったのかしら。彼の実家で、わたしはキッチンに入れてももらえなかった。怒りと悔しさがこみあげてくる。「それに、料理人がいないときは、お義母さまやカテリーナが料理していたし」
 カテリーナがいれば、わたしはまったく必要とされなかった。妻としてさえ。それでも、妊娠していたからこそ、わずか数週間だけれど、我慢したのだ。失ったわが子を思うと今でも胸が痛む。
「なんでもない話題だったのに」グイードは肩をすくめた。こんなに怒るとは。そういえば、病的なまでにぼくの従妹を嫌っていた。それは今、どうでもいい。サラを連れていきたい場所はベッドだ。ぼくの家族のもとじゃない。「突っかかるなよ、サラ。古い友人としてダンスを楽しもうじゃないか」
 わたしたちが友人だったことなどあるかしら? サラは自問した。恋人だったことはある。それにほんのいっとき、夫と妻だった。でも一緒に過ごした時間は半年もない。しかも、その半分は最悪だった……。十八歳で結婚して、十九歳で離婚。あの悲惨な年は、思い出すのもいやだ。
「ずいぶんおとなしいね。昔はとても話し好きだったじゃないか」
「ええ。さっきも言ったでしょう、あなたに再会して驚いているのよ」サラはきっぱりと言った。「再婚して子供もいるのかと思っていたわ」
「どうして再婚していないとわかる?」
「わかってないわよ。わかりたくもない。ただ、礼儀にかなった会話を心がけているだけ」つっけんどんな言い方をする。結婚しても、彼はわたしをイタリアの家族のもとに置き去りにして、ひとりアメリカへ行った。あれから十年たって、また妻を迎えたとしても、彼が変わったとは思えない。性格は変わらないものだ……。
「確かに結婚はしていない。あんなもの、一度でたくさんだ」グイードは断言し、彼女のウエストにまわした腕に力をこめた。
 筋肉質の腿が当たるのを感じて、サラの全身が悲鳴をあげそうになった。怒っているからよと自分に言い聞かせる。それ以外に理由があると思うのは屈辱だ。「わたしも同感だわ」
「意見が合うのはいいことだ」グイードはほほ笑んだ。つかの間、唇の端が上がる。「そこをもっと突きつめて、ほかにもどんな共通点があるか、考えてみようじゃないか」彼女をさらに引き寄せ、熱いまなざしで見つめる。「きみと感じあった喜びを忘れたことなどないよ、|いとしい人《カーラ・ミーア》」
 サラは驚きに息をのんだ。彼の親指に背中をなぞられ、ぞくっとする。ああ、だめ! 憎むべき相手なのに、電流が走るように体じゅうが反応する。どうして? 見つめあっているので、彼から目をそらせない。そのせいで、二人のあいだにますます性的緊張が高まる。
「きみとはすごく相性がよかった」グイードがささやいた。あまりに近すぎて、彼の匂いがサラの鼻をくすぐり、温かい息が肌をかすめる。「だから、今だってまたそうなれる」
「あなたの夢のなかでね」サラは言い返した。肌が熱いのは息苦しい夜風のせいじゃない。
「いや」グイードはほほ笑み、片方の眉をつりあげた。「夢は幻想だ……すてきな愛の交歓は現実だよ。正直になれよ、サラ。ぼくたちはベッドでいつも相性がよかったじゃないか」
 彼はわたしが欲しいのだ。サラはうれしくさえあった。だがすぐに思い出した。何があろうと、彼は冷酷なまでに無関心だったことを。こみあげる惨めな思いをサラはのみこんだ。「あなたって、相変わらずね。わたしに求めたのは体だけ」
「今だって欲しいさ」
 グイードがみだらな笑みを浮かべ、彼女にまわしている腕にさらに力をこめて引き寄せた。そのせいで、シャツに隠れた固い胸が、感じやすい胸のふくらみに当たる。黒い瞳に彼の意図を見た瞬間、唇が重なっていた。頭ではだめと叫んでも、やすやすと舌が口の内側にもぐりこんできて、体はその叫びを聞こうとしない。
 竜巻に巻きあげられるのは、こんな感じじゃないかしら。サラは原始的な力が放つ熱気に包まれ、どんどん舞いあがっていった。激しい抱擁にわれを忘れ、昔に返っていく。
 相手を意のままにする舌に口のなかを探られ、温かい手に背中を撫でられる。髪をまさぐりながらキスが激しくなる。サラのなかで堰を切ったように感情があふれだした。欲望が全身を駆けめぐり、ささやかな抵抗も消えうせた。体がうれしさに応え、震えだす。彼のもう一方の手が腰を抱え、ぐいと抱き寄せた。たくましい腿の感じが懐かしい。これでいいのだという気がしてくる……。
 グイードは彼女を強く抱きしめ、唇を重ねたまま、一拍たりとも音をはずさずに踊っている。サラは夢うつつの状態で、昔よくこんなふうに踊ったのを思い出していた。昔もこんなふうに愛され、こんなふうに感じた。まるで、何年も押しこめていた性的衝動がいっきに目覚めたかのようだ。自らグイードの広い肩をつかみ、キスの喜びに身をゆだね、キスを返す。
 彼の唇が少し離れた瞬間、サラが切ない声をもらすと、グイードは腫れた彼女の下唇を軽く噛んだ。サラはなおさらうめいた。
「ここは人目につきすぎる」グイードが彼女の口から耳の下へと熱い唇を這わせる。「ぼくについてきてくれ」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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