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罪なき誘惑

罪なき誘惑


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン文庫ハーレクイン文庫ヒストリカル
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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解説

 兄の放蕩を止めようとロンドンのとある屋敷を訪ねたルイーザ。だが時すでに遅く、兄はカードで一世一代の賭に出ていた。もし負ければ、唯一残ったサリー州の館も手放すことになる。相手はアリステア・ダンスタン卿。兄がかなう相手ではない。百戦錬磨のダンスタン卿は予想どおり簡単に勝負をものにすると、その傲慢そうな瞳をきらめかせ、ルイーザに視線を送ってきた。まあ、この紳士はわたしを兄の愛人だと思っているんだわ! どうしても館を救いたいルイーザは悩んだ末、ある作戦に出る。「四千ギニーいただけるなら、ひと晩、お相手を務めます」

抄録

「その提案がどれくらい気前のいいものかによりますわ、ダンスタン卿」
「というと?」
「四千ギニーいただけるなら」
 ふたりの目が合い、互いに見つめ合った。アリステアは硬い表情でうなずいた。「ずいぶん高い値段をつけたものだ」
「ええ。きっかり四千ギニーです」
 ははあ、そういうことか。なかなか賢明だ。彼女の狙《ねら》いがわかって、アリステアは愕然《がくぜん》とした。彼は目を細め、怒りもあらわににらみつけた。「それはフレイザーの借金と同じ額ではないか」
「そうです」
 アリステアは冷静な表情で彼女を見ながら、ゆっくりうなずいた。「きみは自分を安売りしてまで愛人の借金を肩代わりしようというのか?」
 ルイーザはダンスタン卿を笑顔で見あげ、自分の口からすらすらと言葉が出てくるのに驚いた。「安売りではありませんわ、ダンスタン卿。ジェームズ・フレイザーの借用証書との交換です。あなたはわたしが欲しいものをお持ちで、わたしはあなたが欲しいものを持っている。そうでしょう?」
「等価交換とは言えない」
「わたしには適当だと思えますわ」
「交換など論外だ」アリステアは事が自分の望まないほうに向かっているのを感じ始めた。
「でも、お金がないのだから、しかたがありません。ジェームズは無一文になれば、わたしを愛人として囲っておけなくなります」
「借金のかたに自分の愛人に売春婦のまねをさせるとは、あきれた男だ」
 ルイーザは肩をすくめた。「ジェームズはなにも知りません。知ったら、怒るでしょうね。でも、レディー・ブリックネルのお屋敷であなたとの賭に負けて全財産を失ってしまったから、領地を売らなければならなくなりました。それでも足りなければ、監獄行きになるのです」
「監獄には彼と同じ立場の者がおおぜいいるから、そこで互いに慰め合えばいい」アリステアは手すりに寄りかかって彼女を見つめていた。「きみは魅力的だ、ミス・ディヴァイン」ちょっと黙ったあと、ぶっきらぼうに言う。「きみのような女性は初めてだ」
「まったく同じ人間などいませんわ」
「初めて見たときから、きみを忘れられなくなった。多くの女性と付き合ってきたのに、こんなことはひさしぶりだ」
 ルイーザは石のように動けなくなった。本能がここから逃げだすよう命じていた。ダンスタン卿はわたしに苦痛を与えることができる。ジェームズが賭に負けて破滅への道をたどることになるとわかったときに感じたような心の痛みを。
「お世辞でもうれしいです」
「きみは紳士の友人が多いのか?」
「いいえ。いつもは忙しいので、お付き合いする暇がありませんの。あなたにはご婦人のお友だちがたくさんいらっしゃいますの?」
「たくさんいるが、愛している女性はいない」
「それではお寂しいでしょう」
「だから、きみともっと親しくなりたい。いつもは適当な女性を選んで付き合うが、すぐに飽きてしまう。だが、きみには飽きないのではないかという気がする。大金を払ってでも、きみをわがものにしたい。家も用意しよう。馬車も召使いも与えよう」
「そんな贈り物に興味はありません。わたしはあなたの魅力にぽうっとなったり、財産に心を奪われるほど世間知らずではありません。あなたがお相手なさるご婦人方はあなたの富と広いお屋敷に目がくらみ、少しでもおこぼれにあずかろうとするかもしれませんが、わたしはそういう人たちとは違います。富やお屋敷には興味がありません」
「わたしにも興味がないのか? もっと知りたいと思わないのか?」
「あなたのことはほとんど存じません」
「親しくなれば、わかってくる」
「そうかもしれませんね」ルイーザは速くなった胸の動悸《どうき》を静めようとした。
「ぼくはジェームズ・フレイザーとは違う」
「それはわかっています。ふたりは住む世界が違います。ところでダンスタン卿、わたしが簡単に言いなりになるとお思いなら、考え違いをなさってますわ。申しあげる意味はおわかりでしょう?」
「交渉の余地はあるのだろうね」
「いいえ。四千ギニーと交換に、ひと晩お相手を務めるだけです」
「それだけの金額にひと晩だけとは、欲ばりすぎではないか?」
「お受けになるか、お断りになるかのどちらかですわ、ダンスタン卿」ルイーザは低い声で言い、挑むようなまなざしを向けた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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