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嘆きのウエディングドレス【ハーレクイン・セレクト版】

嘆きのウエディングドレス【ハーレクイン・セレクト版】


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ミシェル・リード(Michelle Reid)
 1997年の日本デビュー以来たちまち人気を博し、ハーレクイン・ロマンスを代表する作家になる。五人きょうだいの末っ子として、マンチェスターで育った。現在は、仕事に忙しい夫と成人した二人の娘とともにチェシャーに住んでいる。読書とバレエが好きで、機会があればテニスも楽しむ。執筆を始めると、家族のことも忘れるほど熱中してしまうという。

解説

親友ビアンカの結婚式に招かれ、エリザベスはミラノを訪れた。結婚前のパーティが続いたある夜、ビアンカの婚約者――巨大銀行を率いるルチアーノの魅力に屈し、エリザベスは彼にキスを許してしまう。こんなの親友への裏切りだわ!彼女は自分を激しく責めた。ところが挙式直前、エリザベスの兄がビアンカと駆け落ちするという、とんでもない事件が持ちあがった。兄は会社の金を横領したうえに花嫁を連れ去ったらしい。「兄さんを刑務所に送りたくないなら、僕と結婚しろ」脅迫めいたルチアーノの求婚に、エリザベスはなす術もなかった。

■ヒーローに追いつめられ、やむなく彼と結婚式を挙げたエリザベス。盛大な結婚披露パーティのあと、行き先も知らされないまま自家用ジェット機に乗せられてハネムーンへと……。圧倒的な人気を誇るミシェル・リードのドラマティックな展開に目が離せません。
*本書は、ハーレクイン・ロマンスから既に配信されている作品のハーレクイン・セレクト版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 全員がそちらに顔を向けた。ラウンジバーが静まり返り、ほっとした空気が流れる。やっとビアンカが現れたのだ。スカート部分がふんわり広がった、金色のシルクのドレスをまとっている。とても美しい。長い黒髪を驚くほどシンプルに結いあげ、愛らしい顔立ちとほっそりした首筋を際立たせている。耳と首にはダイヤモンドがきらめいていた。
 あとは頭にティアラをのせればお姫様のできあがりね、とエリザベスは思った。
 ビアンカはチョコレート色の大きな目でみなを見まわし、申し訳なさそうに唇をゆがめた。「みなさん、ごめんなさい、こんなに遅れてしまって」
 歌うような澄んだ声に、みながどよめいた。
 それでこそ、怖いもの知らずのビアンカだわ。エリザベスはひそかに称賛した。
 そのとき、ルチアーノがさっと歩いていってビアンカの手を取り、唇に持っていった。彼の言葉は聞こえなかったものの、ビアンカの顔がぱっと輝いた。美しい唇が震えている。
 彼女を愛しているのね。エリザベスは名状しがたい思いに胸をつかれた。眉をひそめて恋人たちから離れると、奇妙な感情はしだいに薄れていった。
 一同は数台のリムジンに乗りこみ、スカラ座へ向かった。ヴィートはエリザベスの今夜のパートナーになるつもりのようで、大いに笑わせてくれた。そのおかげで彼女はリラックスでき、スカラ座の偉容もオペラも心から楽しめた。気持ちを乱されるルチアーノから離れていられたことも幸いした。
 オペラのあとは郊外にある十六世紀の城に赴き、ディナーを楽しんだ。
 エリザベスには、何もかもがすばらしい体験だった。上流階級の暮らしの一端を垣間見た程度だとしても。食事だけでなく、ダンスも楽しめた。ただ、ヴィートが彼女のグラスにワインをつぎ続けたせいで、ルチアーノからダンスに誘われたときは、かなり酔いがまわっていた。
 どう断ろうかと考えるより先に肘をつかまれ、立たされた。「おいで」ルチアーノは言った。「新郎は、少なくとも一度は花嫁の付添人と踊る決まりになっている」
 それは結婚式のあとのことだわ。そう思いつつも、例の震えがまた襲ってきて、エリザベスは何も言えなくなった。気づいたときには彼に引き寄せられ、ダンスフロアに立っていた。
 ほの暗い照明の下、ゆったりした曲が流れ、女性歌手が情感たっぷりに歌っている。エリザベスは心臓が激しく打つのを感じながら、ルチアーノと踊った。男性の肌の温かさや筋肉質の硬い体に、すっかり心を乱されていた。
「力を抜いて」ルチアーノが声をかける。「ダンスは楽しむためのものだ」
 彼の目がからかうようにきらめくのを見て、エリザベスは頬を赤らめた。「私、慣れていないから……」
「こうして男の腕に抱かれることに?」
「こんな靴で踊ることによ!」エリザベスはかっとなった。「そんな言い方は紳士らしくないわ」
 ルチアーノは笑った。そのくぐもった声にはぞくぞくするような親密さがあり、エリザベスは胸の頂が硬くなるのを感じた。
「君は変わった人だな、エリザベス・ハドレー。美人なのに、人からそう言われるのを嫌う。僕がそばにいると緊張して身構えるくせに、ヴィートのような女たらしとは打ち解けている」
「彼は女たらしじゃないわ」
「疑うなら、シドニーのどこへでも電話して、彼の名を出してみるといい」
 これはからかいじゃない。皮肉だわ。「私は彼のことが好きよ」エリザベスは負けじと言い返した。
「つまり、彼は君をうまく引っかけたわけだ」
「またそんな失礼なことを!」
 ルチアーノが不意に身をかがめ、彼女の頬に唇を寄せた。「秘密を打ち明けよう、|僕の美しい人《ミア・ベツラ》。僕は紳士ではない」
 彼の体から立ちぼる男らしい香りに鼻を刺激され、エリザベスは慌てて頭を引いた。「ビアンカには紳士的に接したほうがいいわ」
 ルチアーノは顔を上げ、笑った。さらに彼女を引き寄せ、さりげなく彼女の動きを支配する。身長差があるので、エリザベスの視界いっぱいに力強い顎が広がった。
 二人はもう言葉を交わさなかった。ワインを飲みすぎたせいか、ダンスを続けるうちにエリザベスは彼のすべてを意識するようになった。指をかすめるタキシードのラペルのなめらかさや、喉もとの浅黒い肌とは対照的なシャツの白さまでも。
 ルチアーノはすてきだわ。否定しても無駄よ。すべてが完璧だもの。黒髪のサテンのようなつやから、イタリア人らしい鼻筋や唇の形まで。
 いまも続く官能的な歌声が心を震わせ、体に染みこんでくる。加えて酔いもあり、エリザベスはつい目を閉じて感情に身を任せた。ルチアーノの指が彼女の華奢な白い手を握り、もう片方の手が彼女の腰にあてがわれている。エリザベスはタキシードのラペルを無意識に撫で、首筋に彼の息がかかるほどぴたりと寄り添っていた。肌が粟立つような感覚を味わいつつ、彼に導かれるままに動いた。彼の手が腰から背中に移動し、いっそう強く抱き寄せられる。
 なんてすてきなのだろう。体が宙に浮き、全身がぞくぞくする。
 エリザベスはすっかり気を許していた。そのことに気づいたのは、ルチアーノの喉もとに唇を押しつけ、その温かい肌を味わったときだった。
 彼女ははっと我に返り、ショックに目を見開いて顔を離した。当惑し、自分がしたことの重大さを悟る。たちまち顔が真っ赤になった。
 私ったら、ビアンカの婚約者にキスをして、舌まで這わせてしまったんだわ!


*この続きは製品版でお楽しみください。

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