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マラカイオスの孤独な花嫁 新妻物語 II

マラカイオスの孤独な花嫁 新妻物語 II


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・イマージュ新妻物語
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ケイト・ヒューイット(Kate Hewitt)
 アメリカ、ペンシルバニア州で育つ。大学で演劇を学び、劇場での仕事に就こうと移ったニューヨークで兄の幼なじみと出会い結婚した。その後、イギリスに渡り六年間を過ごす。雑誌に短編を書いたのがきっかけで執筆を始め、長編や連載小説も手がけている。読書、旅行、編みものが趣味。現在はコネチカット州に夫と三人の子供と住む。

解説

愛する人はみんな去っていく。だから、もう誰も愛さないと決めたのに……。

マルゴは恋人のギリシア富豪レオに、いきなり求婚された。一族の大企業を率いる彼は、跡継ぎをもうける決意をしたという。母親にないがしろにされ、里親を転々として育ったマルゴは、愛する人にはいずれ見捨てられることを思い知っていた。だからこそ、自分は誰とも愛に基づく関係は築けないのだと悟り、やむなく求婚を断ると、レオは最後に体を奪って去っていった。そのときに彼が見せた瞳の冷たさは、本当の終わりを告げていた。だが1カ月後、マルゴは体に変調を覚えた。まさか、赤ちゃん……。予期せぬ事態に、彼女は途方に暮れた。愛を注がれずに育ったからこそ、子供には両親の愛を与えたい。でも、今さら彼にどう告げたらいいの?

■涙なくして読めない物語を紡ぐK・ヒューイットの2部作、〈新妻物語〉第2話をお贈りします。まともに子育てができない母親の出産により、弱冠11歳にして異父妹の面倒を見ていたマルゴ。悲しい過去を背負って生きてきた彼女に、幸せはいつ訪れるのでしょうか?

抄録

「あなたが結婚を望むなんて、思ってもみなかったわ」
 レオが肩をすくめた。「したくなったんだ」
「でも、出会ったころはしたくなかったんじゃない? あなたは結婚に興味がなかったはずよ」
「人は変わるものだ。僕は三十二歳で、君は二十九歳。身を固めて、家庭を築くことを考えるのが当然だろう」
「じゃあ、そこが私たちの違うところね。私、子供は欲しくないの」
 レオが眉根を寄せた。「これからずっと欲しくないのか?」
「ええ」
 レオはしばらくのあいだマルゴを見つめていた。「怖いからそんなことを言うんだ」
「私がどう感じているか、勝手に決めつけないで!」声が震えているのを隠すため、マルゴはわざと語気を強めた。「さっさとあきらめたらどうなの? 私は怖がってなんかいない。あなたが欲しいものが欲しくないだけよ。あなたと結婚したくないの」息を吸ってから彼女は続けた。「あなたを愛してはいないもの」
 マルゴの言葉に傷ついたかのように、レオがかすかに体をこわばらせた。それから肩をすくめて言った。「僕も君を愛してはいない。だが、結婚生活を支えるのはいっときの感情ではなく、もっと別のものだよ」
「たとえば?」
「人生における共通の目標とか――」
「ロマンチックだこと」
「君はロマンチックな演出が欲しかったのかい? そうすれば返事も変わっていたのか?」
「いいえ!」
「だったら、よかったよ。実は、〈ガヴローシュ〉でディナーをごちそうして、ほかの客が見ている前でプロポーズする案もあったんだ」
 軽い口調だが、声にはまだとげとげしさがあった。
「そうしないでくれて私もよかったわ」レオがさらに近づいてくるのを見て、マルゴは両足を踏んばった。彼が放つ熱が感じられ、無意識にそちらに体を傾けてしまったが、すぐに動きを止めた。誘惑に負けてはいけない。
「だったら、これでお別れってことかな」息がマルゴの肌をかすめる。レオは彼女に視線をさまよわせた。「僕たちの関係も終わりか」
「そうよ」マルゴはきっぱりと言った。
 だが、その表情に何かを読み取ったらしく、レオは両手でマルゴの頬を包み、開いた唇を親指で撫でた。「本当にいいのかい?」そっとささやく。
 マルゴは感情を顔に出さないようにしながら彼を見つめた。「ええ」
 レオは手をマルゴの頬から胸に移した。豊かなふくらみを包み込み、頂を親指でなぞる。マルゴは思わず体を震わせた。反応せずにはいられない。出会ったときからずっとこうだった。彼に触れられるだけで、体に火がついてしまう。
「それでいいようには見えないが」
「私たちは肉体的に惹かれ合っているだけよ」
「だが、強い力で惹かれ合っている」
 レオはマルゴの胸からウエストへ手をすべりおろしていき、ヒップをつかんだ。欲望に火がつき、下腹部のほうまで熱いものが駆け抜けた。
「それだけでは十分じゃないの」マルゴは歯を食いしばって言った。
 もっと下のほうに触れてほしくてたまらない。これまで何度もそうしてきたように、巧みな手つきで愛撫してほしい。だが、二人とも動かなかった。
「十分じゃない?」レオは静かな声で言った。「じゃあ、愛が欲しいのか?」
「あなたの愛じゃないわ」
 こんなことを言ったら、二人とも傷つくはめになるし、私は永遠に彼を失ってしまう。でも、言わなければ。これ以上、彼に防御の壁を崩させるわけにはいかない。そんな危険は冒せない。
「私はあなたを愛していないし、今後愛することもないわ。正直に言って、私にとってあなたはただの遊び相手にすぎないのよ。いわば暇つぶしの相手ね。だから、真剣な関係になるつもりなんてなかったの」マルゴがあざけるような笑い声をあげると、レオは彼女のヒップから手を下ろした。「ほんと、プロポーズなんて冗談じゃないわ」マルゴは続けた。「笑っちゃうわね……だって、実は私、来週ローマであなたに別れを切り出すつもりだったんだもの」急いで息を吸い、冷酷に告げる。「ほかにつき合っている人がいるの」
 レオはマルゴをじっと見つめた。顎が一瞬引きつったものの、何も言わなかった。だが、しばらくしてついに口を開いた。「いつからだ?」
 マルゴは肩をすくめた。「数カ月前から」
「数カ月だって……?」
「ほかの人とのおつき合いは禁止じゃなかったでしょう」
「だが、僕は君を裏切ったことはない」レオが低い声で言った。
「浮気しないでと頼んだ覚えはないわ」
 驚いたことに、レオはマルゴの言葉を信じたようだった。私が震えているのがわからないの? あっさりだまされてしまうなんて。
 レオの口元に冷たい笑みが漂った。
「そうか、じゃあ、これでさよならだな」レオはそう言うと、マルゴが返事をする間もなく、彼女を引き寄せてキスをした。
 唇を奪われるとは思ってもいなかった。レオは巧みな口づけでマルゴの欲望に火をつけていく。マルゴは抵抗しようと試みたが、体がいっきに燃えあがった。
 これまでもレオに抵抗することは不可能だったが、今は絶対に無理だ。彼はマルゴから反応を引き出そうと躍起になっている。キスを深め、舌をすべり込ませると、彼女のウエストをつかんで引き寄せ、互いの体を密着させた。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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