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月光のレクイエム

月光のレクイエム


発行: ハーレクイン
シリーズ: MIRA文庫
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★★★☆1
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著者プロフィール

アイリス・ジョハンセン&ロイ・ジョハンセン

解説

歪んだ愛をケンドラに捧げるのは、史上最悪の連続殺人鬼――シリーズ最高潮!〈ケンドラ・マイケルズ〉第3弾!!

盲目だったが故に人間離れした五感を持つケンドラは、一流犯罪コンサルタントのアダムと組み、事件を解決してきた。4カ月前には長年の宿敵であった殺人鬼コルビーを処刑場へ送り込むが、平穏を取り戻した世界で、彼女だけがその死を信じられずにいた。猟奇的な事件が起きるたび、コルビーの痕跡を血眼で探すケンドラは嘲笑の的となってしまう。そんな中、ケンドラを揶揄する記事を書いた記者が殺される。その手口は紛れもなくコルビーのものだった。そしてついに、邪悪な求愛者が帰還を果たす。アダムの不在を狙ったかのように。

抄録

「きみが信じているなら、ぼくも信じる」
 ケンドラは車のルーフに両手を叩きつけた。「これまで聞いたなかでいちばんやさしいお言葉だわ。ほんとうよ、目が不自由だったときにはかなり甘やかしてもらったけれど」
 リンチはケンドラに目を戻した。「本気で言ったんだ、ケンドラ」静かに言う。「きみの判断を信じている」
「カリフォルニア州の矯正局が信じていなくても?」
「コルビーは彼らの受刑者で、死にいたらしめるのが彼らの責務だった。へまをして有罪の連続殺人犯を野放しにしたと認めさせるのは、求めすぎというものだろう」
「刑務所づきの医師とその妻の死体が、四十八時間もたたないうちに発見されたのよ。それをまだ偶然と考えているなんて信じられない」
「あれは事故のように見えた。きみだって、そうではないという確証は見つけられなかったんだろう」
 ケンドラはうなずいた。「コルビーと協力者は抜かりなく、いっさい証拠を残さなかった。医師はコルビーの心拍をゆっくりにする薬を注射して、部屋いっぱいの見届け人たちの前で死亡宣告をし、レンタルした霊柩車でサン・クエンティン州立刑務所の正門から堂々とコルビーを運び出したのよ」
「何か証拠さえあれば、みな耳を傾けるよ」
「やってはみたわ」ケンドラはもどかしさに拳を握りしめた。「誰も意に介さなかった」
「ぼくは信じているよ、ケンドラ」
「ある程度は、でしょう」
「火葬業者のほうからも何もたどれなかったんだったな」
「ええ。書類の整った遺体があの晩に運びこまれたというだけ。火葬業者は指紋をとったり身元を確認したりはしない。誰にも捜されない死体をスラム街から手に入れてくる怪物がいるなんて、仕組み上では想定されていないから」
「やはり証拠はなしか」
「追うべき手がかりがたくさんあるのは、あなたも認めざるをえないはずよ。コルビーの協力者だったマイアットは、ゾンビドラッグと呼ばれる薬を所持していたし、刑務所づきの医師の名前が書かれたメモを持っていた。マイアットは死ぬ前に、コルビーはまだ生きているとほのめかしさえしたのよ」
「きみを苦しめようとしたのかもしれない。そういうことが何度もあっただろう」
「FBIはそう考えている」ケンドラは力なく頭を振った。「あなたは味方だと思っていたのに」
「味方だよ。だから朝の四時にここにいる」
「FBIに言われて来たんじゃないの? 波風を立てるのはやめて、おとなしくしていろと諭しに――」
「ちがう。ぼくはFBIの使い走りじゃない」
「あなたがそんなことを言うなんておもしろいわね。報酬を払ってくれるならどんな機関にも仕える、引く手あまたの使い走りなのに。今週はどこに雇われているの? FBI、CIA、それともNSA?」
「どこにも雇われていない。きみのために来たんだ、ケンドラ」
「そう」ケンドラはリンチをじっと見た。これまでの二回の捜査を通じて、リンチのことには詳しくなった。深く知りすぎて、自分の感じているもののどこまでが性的な引力で、どこまでが心と魂に稀有な音を響かせる、タフで知的なパートナーの刺激なのかがわからなくなった。この瞬間にも両方を感じていたが、いちばん強く感じるのは、これまでにはなかった新たな雰囲気だ。リンチは……真剣に心配している。わたしを気遣っている。それに気づいて、ケンドラは心が温かくなるのを感じ、頬をゆるめた。「殺人犯がわたしをつけ狙っていると思っていたときよりも、はるかに心配しているみたいね」
「いまのほうがもっと厄介だ。コルビーはきみのなかにいる。きみの頭のなかに。いまもあの夢を見るのか?」
 ケンドラは答えず、目をそらした。リンチはあの悪夢のことを打ち明けた唯一の相手だ。コルビーが死んだとされている処刑の直後、ケンドラが不安に苛まれ、悪夢を見はじめたときに、リンチはずっとそばにいてくれた。
「何カ月も悪夢が続いて……やつはきみを毎晩あの峡谷に連れ戻した。だが、あの出来事は悪夢なんかじゃない。あの夜、きみはコルビーをつかまえた。勝利を収めたんだ。あのとき、頭蓋骨を砕くのではなく息の根を止めていたらと思わずにはいられない」
「刑務所送りがあの男にはふさわしいと思ったのよ。まちがっていたけれど」
「ぼくの家に戻ってこい。あそこなら安心できるだろう」
「一生あなたの要塞に隠れているわけにはいかないのよ、リンチ。それに、悪夢はあそこではじまった」
「あそこで終わるかもしれない」
「あなたのビキニモデルの恋人も、わたしがいたら煙たがるんじゃないかしら」
「アシュリーは最近この街にはほとんどいないんだ。売れっ子でね。それに、彼女もきみに会いたがっている」
「敵を品定めしたいだけかも。でも、あんなきれいな女性なら向かうところ敵なしでしょう」
 リンチはケンドラに一歩近づいた。「きみもアシュリーに引けをとらないくらいきれいだよ」
 ケンドラはリンチを見あげた。急に距離が近づいて、その親密さに心を乱された。
 動揺しすぎだ、と認めざるをえなかった。ああ、もう。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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