マイリストに追加

和書>小説・ノンフィクション恋愛小説ロマンス小説

修道院で永遠(とわ)の誓いを

修道院で永遠(とわ)の誓いを


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 未評価
◆レビューを書く

¥0サンプル
購入する


解説

神の花嫁になる前夜、乙女は見知らぬ騎士に捧げられた……。愛と微笑みの伝道師、リンゼイ・サンズが贈る中世ロマンス!

イングランド王の愛人だった母を亡くし、修道院で育てられたロザムンド。外界と切り離された静かな日々は、修道女となる前夜、突然終わりを迎える。父王が修道院を訪れ、今夜おまえは勇猛な騎士の花嫁になると宣告したのだ。しかも、会ったばかりの彼とすぐさま結婚を“完全なもの”にしなければならないと。意味もわからぬまま、気づけばロザムンドは誓いの言葉を口にしていた――荒々しくも繊細な顔立ち、歴戦の覇者にふさわしい鋼の肉体をした花婿アリックの隣で。その夜、夫は震えるロザムンドにそっと触れようとしたが……。

抄録

 心のなかでため息をついて、飾り気のない室内を見まわし、ろうそくを置けそうな場所はないかと探した。選択肢はほぼなかった。部屋にあるのはベッドとたんすだけで、どちらも片側の壁際に置かれており、歩く場所は足の幅ほどしかない。慎重にろうそくをたんすに立たせたアリックは、与えられた時間のほとんどをすでに使ってしまったことに気づき、背筋を伸ばしていかめしい顔をつくると、ロザムンドのほうを向いた。「まだ服を脱いでいないね」
 ロザムンドの目がわずかに丸くなった。「それは必要ないでしょう?」
 アリックは顔をしかめた。彼女は修道院育ちなので、裸の状態で夫婦の営みをおこなうのは罪であると教会がみなしているのを知っているのだろう。まったく、教会は楽しみを奪うのが大好きだ。いまは時間がないにせよ、追い追い、そういうことについての考え方を穏やかな方向へ誘導しよう。さもないと、妊娠させる作業が一大苦労になるし、アリックとしても息子はほしい。さしあたり、せめて部分的には服を脱がねば。肌に鎧があたるのは彼女もうれしくないだろう。
 |鎧の上に着る陣羽織《タバード》を脱いでろうそくのとなりに置き、|膝まで届く鎖かたびら《ホーバーク》に取りかかったとき、それをなにかの合図と受け止めたのか、ロザムンドがいきなりベッドによじのぼった。アリックはそのままホーバークを脱ぎつづけ、重たい鎖かたびらを頭から引き抜いたが、ロザムンドがベッドの上で両手両膝をついたまま固まっているのに気づいて、手を止めた。ロザムンドは小さな硬いベッドの中央に陣取って、白いガウンに包まれたお尻を宙に突きだしている。なにをしているのだろう。アリックはしばし無言で丸いお尻を見つめていたが、彼女が動こうとしないので、落ちつかなくなって咳払いをした。「その……どうかしたのか?」
 ロザムンドが不思議そうに首だけ振り返った。「どうかした、とおっしゃると?」
「だって……」短く緊張した笑い声をもらして、手で彼女を示した。「その体勢。なにをしているのかな?」
「あなたの気が向くのをお待ちしてます」穏やかに答えた。
 アリックのまぶたは狭まった。「ぼくの気が向く?」慎重に尋ねる。
「ええ。シスター・ユースティスから、ちゃんと説明を受けました」そう言って首を前に戻した。
 シスター・ユースティスから、ちゃんと説明を受けました? アリックは眉をひそめて、ホーバークをたんすにのせてから背筋を伸ばした。両手を腰に当てて、ベッドの上のロザムンドをしばし眺め、やがて咳払いをすると、ふたたび視線がこちらを向いた。「厳密には、シスター・ユースティスからどんな説明を受けたのかな?」
 ロザムンドの眉がわずかにあがった。「夫婦の床について、アンガスとモードのようなものだと」
「アンガスとモード?」男性名に耳がそばだつ。「アンガスというのは?」
「わたしたちの牡牛です」
「きみたちの牡牛」ぽかんとしてくり返す。「じゃあモードは……」
「修道院の牝牛です」
「だろうね」小声で言った。理解が芽生えて、恐怖が続く。「つまり、そのシスター・ユースティスの説明では――」
「ええ。これも同じようなものだと」冷静に言葉を継いでから、つけ足した。「あなたはわたしに覆いかぶさって、あなたのキュウリを挿入して――」
「キュウリ?」上ずった声でアリックがくり返したので、ロザムンドは恥ずかしさに赤くなった。
「じゃあ、あなたの牡牛の部分」即興で言い換えてみせたが、アリックが小さなベッドにどさりと腰を落として両手で頭をかかえたので、ロザムンドは唇を噛んだ。
「おしまいだ」彼がつぶやいたのが聞こえた気がした。「ぼくの首がウェストミンスターを飾るんだ」
 彼の悲壮感にロザムンドは眉をひそめ、上体を起こして心配そうに見つめた。「どうなさったの?」ささやき声で尋ねる。
「デリアと結婚するべきだった」彼が言う。「たしかに裏切られはしたが、はらわたを引き抜かれて四つ裂きにされるよりましだ」
「デリア?」ロザムンドは少しむっとして尋ねた。
「ぼくの婚約者で、ぼくが死ぬ理由だ」アリックはさらりと答えて、なにげないことのようにつけ足した。「もしデリアが誠実だったなら、ぼくはこんな状況に陥らなかった。いや、せめてもっと抜け目なく不誠実なふるまいをしていてくれたら、ぼくは串刺しにならずにすんだ」
「婚約してらっしゃるの?」ロザムンドは困惑して尋ねた。
「ああ。いや、していたんだが、グランヴィルと厩舎にいるところを目撃して、婚約は破棄した。父に伝令を走らせてそのことを知らせて、馬でシャンブリーへ駆けつけて泥酔していたんだが、バーカート城からシャンブリーまではロスヘンの屋敷へ向かうより一日早く着く。わかるだろう、シャンブリーの父親が忌ま忌ましい城をもう少し遠くに建てていたら、この状況に陥っていたのはぼくではなくロスヘンだった!」
「わかるわ」ロザムンドは慎重に答えた。この男性は頭がおかしいのだろうか。


*この続きは製品版でお楽しみください。

本の情報

形式

【XMDF形式】

XMDFデータをご覧いただくためには専用のブラウザソフト・ブンコビューア最新版(無料)が必要になります。ブンコビューアは【ここ】から無料でダウンロードできます。
詳しくはXMDF形式の詳細説明をご覧下さい。

対応端末欄に「ソニー“Reader”」と表示されている作品については、eBook Transfer for Readerで“Reader”にファイルを転送する事で閲覧できます。
海外版の“Reader”は対応しておりませんので予めご了承くださいませ。

【MEDUSA形式】
MEDUSA形式の作品はブラウザですぐに開いて読むことができます。パソコン、スマートフォン、タブレット端末などで読むことができます。作品はクラウド上に保存されているためファイル管理の手間は必要ありません。閲覧開始時はネットに接続している必要があります。

詳細はMEDUSA形式の詳細説明をご覧下さい。