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十八歳の恋は今

十八歳の恋は今


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ジェニファー・ヘイワード(Jennifer Hayward)
 悩めるティーンエイジャーだったころ、姉のハーレクインをくすねて読んだのが、ロマンス小説との出会いだった。19歳のとき、初めて書いた小説を投稿するも、あっけなく不採用に。そのとき母に言われた「あなたにはもっと人生経験が必要ね」という言葉に従い、広報の職に就いた。名だたる企業のCEOと共に世界中を旅して回った経験が、確かに今の仕事に役立っているという。2012年、ハーレクインの新人作家コンテストで入賞し、ついにデビューを飾った。カナダ、トロント在住。

解説

無邪気な青い情熱を、彼はこっぱみじんに打ち砕いた。

半年前、両親を事故で失って以来、クロエの人生は一変した。父母が築きあげた化粧品会社を、ニコが引き継いだのだ。なぜ父は遺言書で、私ではなく彼を後継者に指名したのだろう。確かにニコは父の亡き親友の息子で、これまで実子同然の援助を与えられてきたけれど、いくらなんでもあんまりよ。クロエの脳裏に10年前の苦い思い出がよみがえった。地味で奥手な18歳の彼女を励まし、自信を与えてくれたニコ。だが無垢な身を捧げたとたん裏切り、冷酷に立ち去ったのだ。もうこれ以上彼に奪われてはだめ。そう、心までは……。

■リアルな現代の男女の機微を、クラシックなハーレクイン・ロマンスにうまく落とし込んだ恋物語を得意とするジェニファー・ヘイワード。今作も彼女の筆致が冴えわたります。お見逃しなく!

抄録

 クロエは礼を言おうとしてラゼロのほうに向かいかけ、ぴたりと足を止めた。ニコが彼の隣に立っている。黒いスーツの上着を脱いで、飲み物を手にしていた。
 とたんに、クロエの鼓動が乱れた。どうしていつもこうなのだろう。シャツとネクタイ姿のニコがあんなにすてきなのはなぜ? ネクタイを緩め、髪が乱れているせいか、初めて会ったときのように若々しく見えて、心がざわついてしまう。
 でも、あのときのニコはもういない。クロエは自分に言い聞かせた。それをよく覚えておくのよ。
 クロエは背筋を伸ばして彼らのほうへ向かった。彼女が礼を言うと、ラゼロはどうってことないと軽く返し、顧客に挨拶をしに人混みのなかに消えた。ニコは貫くような目でクロエを見据えている。
「たしかに僕は彼を‘確保’しろと言ったが、それは広報部を使えという意味だ。自らハリウッドに乗りこめということじゃない」
 彼女は肩をいからせた。「広報部には彼に近づくコネがなかったわ。彼には近寄れないとミレイユが言うから、ラゼロに助けを求めたの」
「それで彼はなんと言った?」
 クロエは勝利の笑みを浮かべた。「イエスと言ったわ」
 ニコは目を見開いた。「本当に?」
「ええ。でも、彼の代理人の許可を取るのが条件よ」
 感心したようにニコのまなざしが和らいだ。「そいつはすごい。どうやって彼を説得したんだ?」
「このキャンペーンについて説明したの。彼からひらめきを得て、ソアを開発したいきさつをね。光栄だと言っていたわ。彼のために香水を作ったことに気をよくしたみたい。男性は自尊心をくすぐられるのが好きだとよくわかったわ。そこが弱点なのね」
 ニコはかすかにほほえんだ。「そうかもしれない。だが、カレロは遊び相手にはならない。噂は聞いているはずだ。彼の代理人から許可をもらったら、もう彼にはちょっかいを出すんじゃないぞ」
「それくらいわかってるわ。だから、私には恋人がいると彼に話したのよ。私がまったくの世間知らずだと思っているの?」
「ときどきは、そうだな」
 クロエは喉を鳴らして息巻いた。「もう帰っていいわ。ショーはおしまい。今夜のあなたの子守役は正式に終了よ」
 ニコは彼女のグラスを顎で示した。「それを空けたら、家まで送っていく」
 群れからはぐれた羊みたいに、家に連れ戻されるなんてごめんだった。今夜の私は勝者なのだ。自力で帰れる。
 クロエはつんと顎をあげた。「私はまだ帰りたくない。せっかくラゼロが招待してくれたのよ。すばらしいパーティだわ。ダンスでも、なんでもできるから残るつもりよ」
 ニコは銀色にきらめく瞳で彼女を見つめた。「では、踊ろう」
 クロエは心臓がひっくり返りそうだった。男らしい筋肉質の体に寄り添うのがどれほど心地よいかは知っている。どんなに興奮することかも。ニコが充分経験させてくれた。それは彼が私を捨て、別の女性を選ぶ前の話だ。
「今、踊りたいと言ったわけじゃないわ」彼女は半分空いたグラスを掲げてみせた。「まだこれが残っているもの」
「もう充分飲んだだろう」ニコはグラスを取りあげると、彼女が反論できないうちに手首をつかんで混んだダンスフロアに向かった。やめるべきだと彼女にはわかっていた。エディにむきだしの腿に触れられたときは何も感じなかったのに、ニコの指が手首に巻きつくと、全身に電流が走ったように感じる。
 二人は優雅なシャンデリアがさがり、モザイクタイルが敷かれたダンスフロアに着いた。ニコは彼女を引き寄せると、背が高く肩幅の広い体で彼女をまわりから守るように、腕のなかに包みこんだ。
 片手を取られ、もう一方の手は彼の腰に添えているので、きつく抱きしめられているわけではない。だが、相手はニコだ。大きくてたくましい体とそっと触れ合っているだけで、肌が熱くなってくる。そのうえ彼の香りが頭を満たし、五感を震わせる。
 煙るようで、とらえどころがなく、ピュアで、そこはかとなく感じさせる官能性。熱帯インド原産のベチバーは、土俗的で、快楽の香りをたたえる植物で、母は最後の作品のボルツオーゾで強調して使用した。以前からクロエはセクシーな香りだと思っていたが、ニコが使うと、隠しようのない男らしさと刺激的な香りが相まって、膝から力が抜けていく。
 一度きりのダンスよ。クロエは彼のエレガントなネクタイの結び目に視線を据えた。彼女には残念なことに、超クールなパーティの雰囲気に合わせて、ジャズ風のセクシーな曲が流れている。天性の踊り手であるニコは見事なリードを取ってステップを踏んだ。
 ヨガのインストラクターは思考をコントロールするのは簡単だと言うけれど、彼女の思いはいやおうなくすべてを変えた、あの蒸し暑い七月四日の夜に戻っていった。
 ニコの腕に抱かれて燃えあがった、禁断の情熱。生きている実感を覚えたのはあれが初めてだった。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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