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誘惑の湖【新装版】

誘惑の湖【新装版】


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 リンダ・ハワード(Linda Howard)
 数々の受賞歴を誇る、世界中で大人気の作家。栄えあるNYタイムズやUSAトゥデイのベストセラーリストにもしばしば顔を出す。読むにしろ書くにしろ、本は彼女の人生において重要な役割を果たしているという。読み始めはマーガレット・ミッチェルの作品。それ以後、広く読書に熱中するようになった。少女のころから書くことが好きだったリンダの作家デビューは三十歳のとき。現在はアメリカの作家大会や授賞式の席に常連の人気作家で、サイン会にもひっぱりだこである。とりわけ、彼女の描くヒーローが魅力的だというファンが多い。現在、生まれ故郷のアラバマ州に夫とともに住んでいる。

解説

その制裁は何よりも甘く、どこまでも冷酷で――ロマンス史に燦然と輝く不朽の名作を、新装版で復刊!

大企業を統括するロバート・キャノンは財界随一の切れ者と評判の男。そんな彼をある日思いがけない事態が襲った。傘下の企業から国家機密のプログラムが流出したのだ。FBIには任せておけず、ロバートはみずから捜査に乗りだすことに。容疑者のひとりは湖畔でマリーナを営むエヴィー。入手した不鮮明な写真を見る限りひどく野暮ったくて田舎くさい女だ。だがさっそく客を装って湖畔に近づいた彼の前に現れたのは、服こそ写真どおり冴えないものの、美しく魅惑的な女だった。ロバートは疼く欲望とともにある計画を思いつき……。

*本書は、MIRA文庫から既に配信されている作品の新装版となります。 ご購入の際は十分ご注意ください。

抄録

 ヴァージルは膝を叩いて、すっかり興に乗っている。頭をのけぞらせて笑うエヴィー・ショーの声は、話し声と同じくらい快い響きだった。
 そういえば、自分はいつの間にか愛想笑いに慣れてしまっている。あの伸びやかで屈託のない笑いに比べたら、自分の声はひどく白々しく、薄っぺらではなかったか。
 エヴィーを見つめたい気持ちをロバートは抑えようとしたが、驚いたことに、それは呼吸を止めようとするのに等しかった。ほんのしばらくは我慢できても、初めから勝ち目のない戦いだった。腹立たしさと好奇心にかられて、ロバートは食いいるような視線を彼女に向けた。
 持ち前の自制心のおかげで、顔や態度に考えが表れることはなかった。が、その考えまでコントロールするのは無理だった。エヴィー・ショーをじっと見つめるうちに周りのものは目に入らなくなり、ヴァージルのしわがれ声も遠くへ去った。
 彼女は自分の好みのタイプとは似ても似つかないうえに、売国奴だ。スパイ事件にかかわっているのは間違いない。必ず化けの皮をはいでやる。そう決めているのに、彼女から目を離すことができない。蒸し暑くて汗をかいていたが、体温が急上昇したためか、周りの空気が涼しく感じられる。下腹部に生じた変化――なじみ深い重みは、気のせいではなく現実なのだ。
 ロバートがこれまでつき合った相手は、性格はさまざまでも皆センスがよく、洗練されていた。贅沢を好む彼女たちを甘やかすのは楽しかった。高価な服や香水をまとった彼女たちのことを、マデリンはマネキンのようねと評したものだが、マデリン自身が着道楽なのだから、そう言われてもロバートは笑っただけだった。
 だが、エヴィー・ショーは着るものにはまったくこだわらないらしい。オーバーサイズのTシャツの裾を結んで色の抜けたジーンズをはき、足にはこれまた年季の入ったデッキシューズだ。明るい茶色や淡い亜麻色、それにさまざまなトーンの金色のまじった髪の毛が、無造作な太い三つ編みになって背中の真ん中あたりまで下がっている。最小限の化粧は暑さのせいで徒労に終わっているが、あの肌ならそもそも化粧は必要なさそうだ。
 まったく、なんであんなに輝いているんだ? 汗が光っているわけではなく、日差しに魅入られたとでもいうのか、スポットライトを浴びているように見える。ほどよく焼けた肌はつややかで、サテンが息づいているようだ。瞳までがトパーズを思わせる深い金茶色にきらめいている。
 ロバートは自分と同じぐらい背丈のある細身の女性が好みだった。そのほうがダンスフロアでもベッドでもしっくりいくからだ。エヴィー・ショーはせいぜい百六十五センチといったところだし、細身でもない。肉感的、美味という言葉が続けざまに頭に浮かんだ。彼女を抱きたいのか、食べたいのか、と半ばやけになって自問する。答えはどちらの問いに対しても、きっぱりとした“イエス”だった。
 彼女の体は、まるで曲線の集大成だ。少年のように引きしまった腰はそこにはない。ウエストはくっきりとくびれ、ヒップは見事に丸い。繊細な小さな胸が好きだったはずなのに、気がつくと、ルーズなTシャツの下で弾む二つの山を凝視していた。あの柔らかく温かい重みはこの手いっぱいに満ちるだろう。ロバートはこぶしを握りしめた。そうでもしないと、腕を伸ばして触れてしまいそうだった。
 彼女のすべてが男を喜ばせるように形作られていたが、ロバートは自分の反応が不愉快だった。自分でさえこんなふうになるということは、マーサーがエヴィーを利用しているのではなく、その逆なのかもしれない。
 ロバートは自分自身に腹が立ってならなかった。ここへ来たのは、エヴィー・ショーを監獄へ送るための証拠をつかむのが目的じゃないか。肉欲にかまけてそれを忘れるな。スパイ行為にどっぷりつかったこの女に、憎悪以外の感情をいだくべきではない。それなのに、欲望に翻弄されて動くこともままならずにいるとは。彼女を口説いたり誘惑したりするつもりはさらさらない。黙ってあの体をかっさらっていきたい。
 ロバートの住まいはマンハッタンの高級マンションだが、これでは洞穴をねぐらにした原始時代の男と変わらない。彼女を自分のものにしたい。そのむき出しの欲望は、ロバートの知性や自制心を嘲笑っていた。無視したくてもできないほど強い欲望だった。負けん気がぐんぐん頭をもたげた。彼女はロバートの存在を無視している。彼の中で激しくうず巻く感情にまったく無頓着だ。
 まるでポストか何かのような扱いを受けて、ロバートの好戦的な細胞がいっぺんに目覚めた。畜生、なんとしてもものにしてやるぞ。


*この続きは製品版でお楽しみください。

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形式

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