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クールな秘書は恋に戸惑う

クールな秘書は恋に戸惑う

著: 桑原伶依 画: 祐也
発行: コスミック出版
レーベル: セシル文庫



著者プロフィール

 桑原 伶依(くわはら れい)
 3月7日生まれ。魚座。A型。

解説

 緒方涼夜は、国内有数の化粧品メーカー・クロリスの重役、ニノ宮晃輝の有能な秘書。晃輝とは高校時代からの付き合いで、彼のカリスマに魅せられ、サポートしようとここまでついてきた。いつもクールな顔をして皮肉屋で通している涼夜だったが、実は胸には晃輝への恋心を隠し、一生秘めていくつもりでいた。だが晃輝の弟・響の恋愛話をきっかけに、涼夜の氷の仮面がとけていってしまい!?
※こちらの作品にはイラストが収録されています。
 尚、イラストは紙書籍と電子版で異なる場合がございます。ご了承ください。

目次

クールな秘書は恋に戸惑う
人気俳優は兄を思う

抄録

「お前は本当に可愛いよ。素顔を見るまで、こんなに美形だと気づかなかった。少なくとも俺は、眼鏡を外したお前の寝顔にときめいたし。潤んだ目を見てますますよろめいた。普段のクールで有能なお前と違って、童顔でちょっと頼りなくて、そのギャップがまたいい。俺をこんなに夢中にさせた自分の魅力に、もっと自信を持ったらどうだ?」
 胸の高鳴りが、涼夜を苦しくさせる。
「……手を、離してください。ふざけるのも大概にしないと、怒りますよ?」
「ふざけてなんかいないさ。俺は本気でお前を口説いてるんだ。この間俺は、『お前が泣くほど好きなら、付き合ってもいい』と言った。でも、それは間違いだった。俺がお前と付き合いたいと思ってるんだ。恋人にしてくれないか?」
 恋人に……?
 そんなこと、本気で言っているのだろうか?
「前にも言いましたよね。私はあなたが好きです。あなたを愛しているから、一生かけてあなたを支え、フォローしていく。本当にそれだけで充分なんです。これ以上、心を掻き乱すようなことを言わないでください」
「心が掻き乱されるということは、受け入れる気がまったくないとも言えないんだろう?」
「受け入れる気はありません。あなたは、あなたに見合った家柄のいい女性と結婚して、後継者を残す責任があるでしょう。戯れに男と付き合うなんて、あなたのためにも、将来あなたの妻になる人にとってもよくない……」
 そこまで口にしたところで、怒った様子の晃輝に言葉を遮られた。
「俺は二ノ宮という名を背負った種馬になる気はないぞ! パートナーは自分で選ぶ。戯れだなんて、勝手に決めるな! 十四年間お前と付き合ってきて、生涯をともにしたいと思えるのは、お前しかいないと気づいたんだ。お前が欲しい……!」
 惚れた男にここまで言われたら、さすがに心が揺れ動く。
 しかし涼夜は、愛されることに慣れていない。晃輝に出会って、彼を愛することはできたけれど、こんなふうに気持ちを返されても、どうやって受け取ればいいのか――果たして受け取っていいものかどうか判らない。
 一方通行の想いを胸に秘めておくほうが、どれだけ気が楽だっただろう。
 キャパシティーを超えた脳はフリーズしたまま動いてくれず、涼夜は呆然と立ち尽くすばかり。
 すると晃輝は、突然キスを仕掛けてきた。
 甘く優しいキスに心が蕩けてしまう。気を許してはいけない。抗わなければ――そう思うのに、理性とは別の感情が、すでに晃輝を受け入れている。

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