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悲しきプロポーズ

悲しきプロポーズ


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ロマンス
価格:600pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャサリン・スペンサー(Catherine Spencer)
 三十数年前にイギリスからカナダのバンクーバーに移り住む。英語の教師からロマンス作家に転身。カナダ人の男性と結婚し子供にも恵まれ、現在は孫もいる。あいた時間があれば、ピアノを弾いたり、アンティークショップをのぞいたり、庭の手入れをしたりしている。

解説

 「きみに頼みがある。きわめて厄介な頼みだ」かつての恋人ディミトリオスの声に、ブリアナは胸を震わせた。モデルとして活躍していた彼女は四年前、ディミトリオスと出会い恋に落ちたが、彼が妻に選んだのは双子の姉、セシリーだった。以来ブリアナは彼を忘れるため、仕事一筋で生きてきた。今ごろになってなぜ? 戸惑うブリアナに、彼は告げた。難病の娘のために骨髄の提供者となってほしい、と。彼と再び会うのはつらいけれど、幼い姪を救うためには仕方ない。ブリアナは二度と行くまいと誓っていたギリシアへ飛んだ。

抄録

 突然、ディミトリオスは口をつぐんだ。ほぐれたリボンのような道をなめらかに走っていた車の調子が悪くなり、エンジンが停止したのだ。彼は悪態をつきながらハンドルと格闘した。そして車が完全に止まる前にどうにか路肩に寄せ、急ブレーキを踏んだ。「やられたな」楽しげとも言える口調だった。
「どうしたの?」
「ガソリンは充分にあるから、ほかに原因があるはずだ」ディミトリオスはヘッドライトを暗くし、ダッシュボードのボタンを押した。「ハザードランプはつくから、電気系統の故障じゃない。たぶん、ほかのコンピュータ部分がおかしくなったんだろう。あいにく、ぼくには車の修理工のまねはできない」
「だったら、どうするの?」
「スピロスを呼んで迎えに来てもらう」ディミトリオスは車の電話を手に取り、手短に話したあとで切った。「十分か十五分後には家に着く」
「この車はどうするの?」
 ディミトリオスは半身になり、彼女の座席の背に何気なく腕をかけた。点滅する黄色のハザードランプのせいでその顔は幻覚めいているが、体から放たれる熱は生々しい。「牽引《けんいん》させて修理に出すよ」
「なるほど」ブリアナは咳払《せきばら》いをした。ここに二人きりでいることがいやでも意識される。最後に通り過ぎた家は数キロ後方にあった。「スピロスが来るまで、車の中で何をすればいいの?」
「待つんだ」
 彼の声が耳を撫《な》で、温かな息が顔にかかる。
「ぼくたちが知っている中で最もすばらしい時間つぶしをしよう」
 ブリアナは息をのんだ。「いい考えとは言いがたいわ、ディミトリオス」
「なぜだい? さっきのきみの話が本当なら、ぼくはほかの男の縄張りを侵しているわけじゃない」
 今も続くハザードライトの点滅は、心臓のモニターのように規則正しかった。しかし、ブリアナの心臓は狂ったように胸の中で跳ねている。さらに下腹部は禁断の喜びに張りつめた。
「それでも、あなたがわたしの義兄であることは確かよ」ブリアナはあえぎ、顔をそむけて片手で彼を押しやった。それが間違いのもとだった。シャツの下の男らしい筋肉は熱くたぎり、鋼のように固い。
 ディミトリオスは彼女の顎に人差し指を添え、再び自分のほうを向かせた。「今はひとり身だ。ぼくの計算では、これでどちらも、心の声に耳を傾けられる。きみの心は読めないが、ぼくのかわいい人《カルスラ・ムー》、ぼくの心は、先に延ばしすぎたと言っているよ」
 彼は唇を重ね合わせた。そのキスは、あまりにも巧みで説得力があった。ブリアナが頭の中でどれほど必死に言い訳をしようとも、兄と妹のキスにはならないだろう。彼の手がブリアナの顔を包み、あらゆる起伏をたどっている。
「これがどこに行き着くか、お互いに知らないふりをするのはやめよう」ディミトリオスがささやく。
 言えるものなら、どこにも行き着かないとブリアナは言いたかった。けれども、これは逃れようのない現実だ。二人は友達の垣根を越え、男女の愛へとあまりにも近づきすぎている。アダムとイブのように。彼はあからさまに誘惑の手を伸ばしている。時をさかのぼり、あの切ない思いをよみがえらせて、わたしに懇願させようともくろんでいるのだ。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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