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永遠の愛

永遠の愛


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・セレクト
価格:500pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 キャロル・モーティマー(Carole Mortimer)
 ハーレクイン・シリーズでもっとも愛され、人気のある作家の一人。1978年にイギリスでデビューして以来、これまでに刊行された作品は実に百冊を超える。十四歳のころからロマンス小説に傾倒し、アン・メイザーの作品に感銘を受けて作家になることを決意した。キャロルは三人兄妹の末っ子としてイギリスはベッドフォードシャー州の小村で育った。一時は看護師を志したが、転倒した際に痛めた背中が治りきらず断念。その後、某有名文房具メーカーのコンピューター部門に勤め、そこで働く間に時間を見つけて小説を書くようになった。物語を書くときに一番楽しいのは、ヒロインとヒーローの性格を考えるとき。書いているうちに徐々に主導権がヒロインとヒーローに移り、いつのまにか彼らが物語を語りはじめるのだという。現在キャロルは“イギリスで最も美しい場所”マン島に、夫と子供たちと住む。

解説

6年前、19歳の看護師オリビアは、恋人だった年上の医師マーカスを深く愛しながらも別れを告げた。彼の心が別の女性にあると知ったから。いまだ傷の癒えないオリビアのもとにある日、マーカスが事故に遭ったという報せが入る。会いに来てほしいと言う彼の娘の懇願に病院に駆けつけると、そこには、視力を失い、心を閉ざしたマーカスの変わり果てた姿が。以前の彼に戻ってほしい!オリビアはマーカスへの愛を痛感し、彼の個人看護師になる決意をした。声を聞いても、彼は私だと気づかなかったけれど……

■ペニー・ジョーダンを超える驚異的な販売部数を記録!1985年に刊行された、キャロル・モーティマーの感涙必至の名作をお贈りします。忘れえぬ男性に再び会えた喜びと戸惑い。ヒロインは、生きる希望をなくした彼への愛の証に、惜しみない献身を捧げます。

抄録

 それからほどなくエミリーは眠りに落ちた。だがオリビアはベッドの脇の椅子に座ったままエミリーのふしくれだった指を握りしめていた。マーカスが再び姿を見せたのはそれから数時間後、夜のとばりが病院をおおいつくした頃だった。オリビアは患者に対するマーカスの職業意識に心を打たれた。外科部長としての彼の分刻みの多忙なスケジュールを知っていたからだ。そのうえ夫の死を患者に知らせるというだれもが嫌がる仕事を買って出たのである。
「どんなようすだ?」カーテンの外に出たオリビアにマーカスがきいた。
「眠っています」オリビアが小声で答える。「ご家族は?」
「娘さんが来たには来たんだが、よほどショックだったんだろう、病院に着くなり倒れてしまって、いま手当てを受けている」そう言うとマーカスはカーテンの中に入った。だが数分とたたないうちに片手をこめかみにあてながら姿を現した。「ミス・キング、もういいよ。あとはきみに関係のない仕事だ」
 その瞬間、オリビアはマーカスを押しのけてカーテンの中にとび込んでいた。血走った目をベッドの上のエミリーに向ける。「うそよ! 死んでなんかいないわ! そんなはずが……」
 揺れ動くオリビアの体をマーカスの両手が支えた。「おそらく一時間ほど前だ。きみが気づかなかったほど安らかに永眠したんだ」
「うそ!」
「ミス・キング……」
「私を一人にさせて!」マーカスの腕から身をよじって逃れると、オリビアは涙を流しながら病室を走り出た。病棟を抜けグラウンドに出る。グラウンドの真ん中で腕をとられるまで、マーカスがあとから追ってきたことを知らなかった。腕をとられ体を回された弾みで、オリビアはマーカスの厚い胸に顔をうずめる格好になった。そのままの姿勢でオリビアは泣いた。マーカスの白いシャツに顔をうずめ、しばらくの間泣き続けた。アフターシェイブローションのかすかな香りが鼻孔をくすぐった。
「泣いてはいけない、ミス・キング」
 マーカスの声でオリビアは顔を上げた。「神さまは不公平だわ。あんないい人たちが……」
 マーカスが白いハンカチを取り出して優しくオリビアのほおをぬぐう。「患者の立場からものを見るべきではないのかな?」
「どういう意味……?」
「彼女はいま夫のそばにいるんだよ。それこそ彼女が求めていたことなのだろう」
「本当に……そう思っていらっしゃるの?」
「もちろんだ」マーカスはうなずいた。「だからもう泣いてはいけない」
「私……」
「実を言うと、彼女は全快する見込みがなかったんだ。できるだけの手は尽くしてきたんだが……」
「でも、やっぱり不公平だわ」
「人生にはそういうこともあるさ」
 気持が落ち着くにつれて、オリビアは自分の行動が尋常でないことに気づいた。患者の死に取り乱して医師の慰めを受ける看護師など、見られた光景ではないはずだ。
「ごめんなさい、私……」
「患者の死にあったのは初めてなんだね?」
「はい」
「まったくの話……」マーカスがオリビアの肩を支えたままつぶやいた。そして吐き捨てるように言った。「何度経験しても嫌なものだ」
 涙にぬれたまつげを瞬かせながら、オリビアは驚いたように顔を上げた。マーカスの顔は青白く、悲しみに耐えているように見えた。「すみません。私、自分の気持ばかり……」
「医者は感情がないと思われがちだけど、人並みな感情は持ち合わせているさ」
「本当にごめんなさい」
「まだ信じかねているようだね」
「信じかねるって?」
「私が人並み以上に感じやすいってことをさ」
「そんな……」だが、言いかけたオリビアの言葉は続かなかった。不意にマーカスの唇が彼女の唇に重ねられたからである。マーカスの口づけは激しかった。それはオリビアの体に、初めは胸が張り裂けるばかりのときめきを、次に無意識の反応を呼び起こしていた。
 ようやく唇が外されたとき、オリビアは長い吐息とともに男の名を口にした。「ミスター・ハミルトン……」看護師たちのあこがれの的であるマーカス・ハミルトンの口づけを受けて驚き、感激したのだった。
「驚いたかい?」
「ええ……」
「私もだよ。自分で自分のしたことに驚いている。きみと六つしか年の違わない娘がいるというのに」
「私にも先生と十五しか年の違わない父がいます。だから父娘のような言い方はなさらないで」
 機転をきかしたオリビアのユーモアに、マーカスの瞳がきらめいた。「ありがとう、ミス・キング。どうやら私は三十三の年齢がまだ充分に若いということをときどき確かめる必要があるようだ。さあ、もう行ったほうがいい。そしてエミリー・ベイトソンはいま、彼女の望むところ、愛する夫のそばにいるのだと信じるんだ」
「はい」オリビアはうなずいた。「ありがとうございます……いろいろと……」


*この続きは製品版でお楽しみください。

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