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和書>小説・ノンフィクションハーレクインハーレクイン・ヒストリカル

宿敵との一夜

宿敵との一夜


発行: ハーレクイン
シリーズ: ハーレクイン・ヒストリカル
価格:700pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
みんなの評価 ★★☆☆☆1
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著者プロフィール

 ヘレン・ディクソン(Helen Dickson)
 イングランド北東部サウス・ヨークシャーに、夫と二人の子供と共に住む。緑豊かな土地を耕しながら思索にふけり、作業小屋でロマンス小説の構想を練るという。趣味は読書と旅行。とりわけ田園風景の美しさや歴史的な名所旧跡は貴重なインスピレーションを与えてくれると語る。

解説

 エレノアはある夜、義父に手込めにされそうになり、家を離れ、叔父の家にしばらく住まわせてもらおうと決心する。義理の姉の結婚式に出席し、その夜に出ていこう。だが祝宴もたけなわのとき、乱入してきた男を見て彼女は凍りついた。ウィリアム・マーストン! 父を裏切って処刑台に送り、その後領地を没収されて国外追放となっていた男。かつて宮廷で最も魅力的と言われた彼は、端整な顔で義父をにらみつけ、自分を異国へ追いやった恨みを必ず晴らすと宣言する。二人を見守るエレノアは、次の瞬間、思いがけない行動に出ていた――領地へ帰ると言う彼に、同行させてほしいと頼み込んでいたのだ。
 ★父の死の原因となった憎き男性と一緒に旅をすることになったエレノア。しかし行く先々で起こるさまざまな出来事は、二人の絆を強くするばかり。はたしてこの旅の終わりは?★

抄録

「今夜はそのことを考えないようにしよう。明日もだ」ウィリアムは立ちあがり、冷たい風がエレノアの髪をなぶるのを見下ろした。まつげに縁取られた目が表情豊かに動いている。ウィリアムは息を止めた。彼女をこの腕に抱いてにおいを吸いこみ、きつく抱きしめ、やわらかな体の感触を確かめたい。だが、そんなことはできない。いや、してもいいのでは? ウィリアムは心の中で葛藤《かっとう》した。何が悪いのだ? わたしたちは自由だ。彼女は若くて美しいし、恋をしたがっている。キスをするぐらいどうということはない。そうだろう?
 エレノアは、矢狭間付きの屋根の影の中で彼が近くにいることを痛いほど感じていた。ぞくぞくするような興奮が体を走る。宿に泊まったあくる朝、部屋に入ってきた彼に起こされたときと同じ感覚だ。なんの前触れもなくウィリアムの手が上がり、エレノアの頬を包んだ。エレノアが彼の銀灰色の目をのぞきこむと、奇妙な感覚が体を駆けめぐり、二人のあいだに燃えあがった。
 ウィリアムはどんどんエレノアに引かれていくのに気づいていた。彼女はとても魅力的だ。もっとも、ウィリアムが引かれたのは彼女の顔でも体でもなく、やさしさと勇気だった。ウィリアムは彼女のやさしさに心を慰められ、彼女の勇気に力づけられた。彼女にキスがしたい。明日になれば、キスをしたことを後悔するかもしれないが、どうせするなら、意味のある後悔をしたい。
「エレノア、キスをしたことはあるか?」ウィリアムは目を少し閉じて彼女の唇を見つめた。
 エレノアはおかしなことになりそうで、不安になった。「いいえ、一度もないわ」小声で答える。
「きみなら数えきれないほどキスをしたことがあると思っていた」
「これまで、キスをしてほしいと思った男性に出会ったことがなかったの」そう言った瞬間に、エレノアはウィリアムにキスをされたいと思った。彼にキスをされそうになったら、拒絶するべきなのはわかっている。けれども彼を見ると、息苦しくなった。前かがみになってこちらを見つめる彼の顔はこれまでになくすてきだ。輝く瞳と形のいい太い眉。エレノアは彼に触れたくなった。
 そのとき、両親の顔が目の前に浮かんできて、エレノアはわれに返った。ウィリアムはすぐ近くにいる。エレノアは彼に魅了されていることに気づかれる前に、くるりと背を向けた。だが、彼の手が伸びてきた。エレノアは腕をつかまれて、ウィリアムのほうを向かされた。彼の片手がエレノアの頬を包むように置かれ、ゆっくりうねりながら首のうしろに進み、エレノアを彼のほうに引きよせた。
「それでは、そろそろ経験してもいいころだ」ウィリアムはほほえんだ。「わたしはキスが上手だ。本当かどうか、確かめてみたくないか?」
「経験がないから、上手かどうかはわからないわ」ウィリアムの唇が近づいてくると、エレノアは未経験のことに身構えた。
「それなら、わたしの言葉を信じるんだ」ふたりの息が混じりあった。ウィリアムの目はエレノアの目を見つめたままだ。それは恐ろしくもあり、魅力的でもあった。「キスをされるのが怖いわけではないだろう、エレノア?」
 エレノアは驚きのあまり動けなくなった。首を振ってじっとしていると、ウィリアムの唇が彼女の閉じた唇に撫《な》でるように軽く触れた。ウィリアムの唇は冷たくて、思いのほか滑らかだった。彼の唇がエレノアの唇の上を動きはじめ、やわらかな輪郭をていねいになぞると、エレノアの全身を衝撃が走った。息が苦しくなり、頭がくらくらした。気がついたときには彼の男らしい体に体を押しつけ、胸を彼の胸にぴたりと合わせて、逃げられなくなっていた。大きな波が繰り返し押しよせてくる気がした。それは心をかき乱す感覚でもあった。
 ウィリアムは唇をエレノアの唇から離すことができず、さらに強く押しつけ、巧みに舌の先をエレノアの口に滑りこませた。
 これまで経験したことのない温かさと、ウィリアムの舌の巧みな動きによって体内に生まれた情熱が、血管に入りこんで歓喜と共に弾《はじ》け、エレノアはあえいだ。それは想像もできないキスだった。控えめでありながら迫ってくる口と温かい息に、エレノアは官能の深い穴にゆっくりと落ちていくような感覚を味わった。ウィリアムは両手で彼女の背中とうなじをせわしなく撫で、強く彼女の体を抱きよせた。
 エレノアは生々しい欲望に突き動かされた。ウィリアムの口づけにうっとりとしてうめき声をあげ、彼の筋肉質の胸から肩を両手で撫であげ、縮れたうなじの髪に指をもぐりこませた。体の中にこれまで知らなかった感情が花開き、大きく弾けて、エレノアは体を震わせた。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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