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心を捧げた侍女

心を捧げた侍女


発行: ハーレクイン
レーベル: MIRA文庫mirabooks
価格:800pt
形式:XMDF形式⇒詳細 MEDUSA形式⇒詳細
対応端末:パソコン ソニー“Reader” スマートフォン タブレット
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著者プロフィール

 ヘザー・グレアム(Heather Graham)
 新作を出すたびニューヨークタイムズをはじめ数々のベストセラーリストに顔を出す人気作家。作品は15カ国語に訳され、発行部数は世界中で2000万部を超える。フロリダで生まれ育ち、大学では舞台芸術を専攻した。卒業してからは女優やモデルなどの職業を経験し、第三子出産後に執筆を始める。受賞歴も豊富で、テレビのトークショーに出演したり、雑誌で取り上げられたりするなど実力と人気を兼ね備えている。

解説

 1561年、フランス皇太子の夫と死別したスコットランド女王メアリー・スチュアートに付き従い、侍女のグウェニスは久々に祖国の地を踏んだ。港で一行を迎えた貴族たちの中に、ひときわ目を引くローアン・グレアム卿の姿があった。彼は忠臣ながらメアリーの手腕に懐疑的で、グウェニスは猛烈な反感を抱く。女王は珍しく激した侍女に、彼に恋してはだめよ、と意味深な忠告をした。しばらく後、ロンドンのエリザベス女王のもとへ遣わされることになったグウェニスは、メアリーの決定に動揺する。同行の護衛役がローアンだというのだ!

抄録

「入浴中の男に忍び足で近づいてきたじゃないか。どんな反応を期待していたんだ?」ローアンは問いつめた。
「わたしは謝りに来たの。それと説明するために」グウェニスが憤然と言いかえした。
「ぼくに会うことはできないと、誰もきみに教えなかったのか?」
 彼女の頬が赤く染まった。
「真夜中にそんな姿で屋敷を抜けだすだけでも愚かとしか言いようがないのに、許しも請わずにここへ入ったのか?」ローアンはたたみかけた。
 グウェニスは返事をためらったが、やがて肩をすくめた。「頼んだところで拒絶されると思ったから。台所のドアから入ったの。タオルを持ってきてあげたわ」そう言って、ドアを入ったところに置いてある大きなトランクを示した。
 ローアンは顔をしかめた。湯のあたたかさで筋肉の凝りはほぐれたが、今度は別の熱い感覚が体を満たし、再び筋肉という筋肉がこわばってきた。
「そうか、タオルを持ってきたというんだな? それで四人の命を危険にさらした償いは多少できただろう。さあ、出ていってくれ」
 グウェニスがローアンを見つめた。彼はグウェニスの目にさまざまな感情がよぎるのを見てとった。だが、彼女は向きを変えて歩きだした。
 ローアンは自分でもなにを考えているのかわからなかった。
 あるいはなにも考えていなかったのかもしれない。
 浴槽を飛びでたローアンはグウェニスを追いかけ、彼女がドアへ達する前につかまえて振り向かせた。再びふたりの目が合った。ほんの一瞬、グウェニスの目から挑戦的な表情と怒りが消えた。そこに浮かんでいるのは、一糸まとわぬ彼の体と同じくらいむきだしのなにかだった。途方に暮れて懇願しているような、ふたりがともに過ごした時間を語っているかのようななにかだ。
 そしてまた、別のものもあった。
 グウェニスの目は、ふたりのあいだには最初からいさかい以上のものがあったと無言のうちに認めていた。また、性格を理由に彼女を非難するのは間違いだとローアンをとがめ、誠実さゆえに彼を責めるのは間違いだったと自分を非難していた。口を開いたものの、ローアンは言葉が出てこなかった。
 その代わりにグウェニスを抱き寄せ、長いあいだ彼女の目を見つめたあとで唇にキスをした。そんなことをするつもりはなかった。実際のところ、そうしたいと思いながらも誘惑にずっとあらがってきたのだ。グウェニスの指がぬれた胸を伝いのぼって肩の筋肉をなぞり、おずおずと湿った髪のなかへ入ってくる。
 グウェニスの口が熱く煮えたぎるローアンの情熱にこたえてゆっくりとキスを返す。そのキスが突然、熱く激しいものに変わった。キスは甘いミントの味がした。彼女が唇を押しつけてくる。彼はベルベットのガウンとリネンのネグリジェの下にあるあたたかな体を感じて身震いし、グウェニスを抱きしめてその完璧《かんぺき》な体が自分の体とぴったり合わさる感触を味わった。酒は飲んでいないのだから、心と魂をとらえた欲望と狂気の言い訳はできなかった。
 それからグウェニスを抱えあげて大きな四柱式ベッドへ運び、そっと横たえずに一緒にどさりと倒れこんだ。グウェニスの指はおずおずとした動きから自信あふれるものに変わって、ローアンの肩から腕へ、そして背中へと動きまわる。彼は唇を離して再びグウェニスの目をのぞきこんだ。ふたりとも抗議や説明をしようとしなかった。グウェニスがすり寄ってきたので、ローアンはまたキスをした。それはたちまちむさぼるような激しいキスへと変わり、グウェニスのやわらかな口を貪欲《どんよく》に求めるにつれ、彼女の唇が開いて舌と舌が絡まった。
 グウェニスがまとっているガウンの前が開いた。ローアンがグウェニスの喉や胸もとに唇を押しあてて薄いネグリジェの上に手を滑らすと、彼の髪のなかにある指に力がこもった。グウェニスが身をよじらせる様子にますます情熱がかきたてられる。彼女の唇がローアンの肩にふれ、舌が本能に突き動かされて彼の素肌を這《は》う。熱く湿った唇でグウェニスを味わううちに、ネグリジェ越しでは我慢できなくなった。
 ローアンは暖炉の薄明かりのなかで立ちあがった。そして闇のように謎《なぞ》めいたグウェニスの目を見つめたままガウンとネグリジェを脱がすと、ベッドに横たわる彼女を抱き寄せた。熱くぬれた唇で再び愛撫《あいぶ》し、なめらかな肌に両手を滑らせて張りのあるあたたかな感触を味わう。そのときふと、この不謹慎な行為ゆえにふたりとも地獄へ落ちるのではないかと考えた。なにしろグウェニスは女王の侍女であり、ローアンは命を懸けて女王を守ると誓った男なのだ。だが、このすばらしい瞬間と引き替えに地獄へ落ちるのならかまわない。今ほど世界が正しいと思えたことはなく、長年うつろだった心が満ち足りて、彼の存在そのものから失われていた最も大切なものを見いだせた。天にものぼる心地のこの瞬間が味わえるなら、あとはどうなってもよかった。

*この続きは製品版でお楽しみください。

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